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エッセイ

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ふと思ったことを書いてみたり、 人生を振り返って思うことや、忘れたくない言葉など色々書き綴ったエッセイです
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#エッセイ

貯えナシから始めた新店舗づくり      【エッセイ:カフェ物語】

貯えナシから始めた新店舗づくり      【エッセイ:カフェ物語】

「お願い!筋肉痛にならない程度の事しか頼まないから
 新しい店舗の内装手伝って」
とスタッフに少し控えめなお願いから始まった過酷な三か月

事の始まりは、今年の初め
旧店舗の前に流れる瀬田川からの風は痛いほど冷たくて
肩をすくめながらお店に向かった日
「昨日の定休日に降った雨、強かったけどお店だいじょうぶかなぁ」
なんて少し心配しながらドアを開けてびっくり
あまりのことにしばらく立ち尽くしてしまい

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愛されキャラの自転車おじさん     【エッセイ:カフェ物語5】

愛されキャラの自転車おじさん     【エッセイ:カフェ物語5】

『笑門来福』
を絵に描いたような
見るからに"愛されキャラ"のおじさんが
自転車にまたがり
ヒョッコ ヒョッコ 
体を前後に揺らして
私の方に向かってきました

おじいちゃんと呼んでも失礼にはならないであろう年配のおじさんが
満面の笑みを私に向けて
ヒョッコヒョッコ向かってきます

顔に見覚えはなかったのですが
あまりに親しみのこもった笑顔だったので
きっと ご近所のおじさんに違いないと
お店の前

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理想の男性はビスコッティが教えてくれる    【エッセイ:カフェ物語4】

理想の男性はビスコッティが教えてくれる    【エッセイ:カフェ物語4】

ここは発酵食とスープをメインにした
『Soup Cafe Pono Pono(スープカフェ ポノポノ)』

体の中から元気になってもらいたいと
スイーツも 自然の恵みをギュッと詰め込んだ
体に優しいものばかり

何度も試行錯誤を繰り返し 本気で作ったスイーツたちは
どれも お店で焼いた自信作なのに
どうしてもネーミングで遊びたくなってしまいます

7種類あるビスコッティは
ザクザクと硬い食感が特徴

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応援団長は昭和生まれ          【エッセイ:カフェ物語3】

応援団長は昭和生まれ          【エッセイ:カフェ物語3】

学生の多い街でカフェをやっていると
お会計の時が本当に難しい
今時の デートでの支払い事情 に悩まされる

「今時のデートは 割り勘 ですよ」
と女子学生スタッフからは聞くけれど
「そりゃ 払ってくれると カッコよく見えます」
とも言うし、、

取り敢えずお会計の時は
「お会計は別々でよろしいですか」と聞くようにしている

これなら
たとえ割り勘でも 男性は「はい」だけで済むし 

逆に「いえ ま

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こんなん クマさん じゃないぃー    【エッセイ:カフェ物語2】

こんなん クマさん じゃないぃー    【エッセイ:カフェ物語2】

「ポタージュスープはそのまま付けるとして  キッズモーニングの
パンは 子どもが喜びそうな クマさんかカエルさんに変更しよう」

そう決めたのは
モーニング客を増やすための話し合いをしていたスタッフ会議でのこと

「簡単に作れる?」
「いやぁ、何年もパン教室に通っている私でも毎回同じ形にするのは難しいかなぁ」
「えっ、私にできるかなぁ」

パン作りなんてしたことのない私が
難易度の高いクマさんやカ

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開店準備                【エッセイ:カフェ物語1】

開店準備                【エッセイ:カフェ物語1】

朝八時の街は忙しそうだ
会社に向かう車が行きかい 
イヤホンを耳に付けた学生が猛スピードで自転車をこいでいく
「交通安全」の黄色いベストを羽織ったおじいちゃんが
大きなランドセルを背負った子供たちに挨拶をしている
「一人の目よりみんなの目」そんなスローガンに合わせて
家の前を掃除するご近所さん同士の立ち話

そんな朝の喧騒にまぎれて今日もカフェに向かう

さほど厚くない硝子のドアでも
締め切ると外

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#天職だと感じた瞬間

#天職だと感じた瞬間

昔から 自分好みの空間にいることが大好きでした
陽の光と風が感じられる 明るくて静かな 心地よい空間
人の気配や雑踏を感じつつも そこだけ時間がゆっくりと流れる空間
ゆったりまったり コーヒーの香りに包まれる至極のひととき

特に何をするわけでもなく
その空間にいるだけで
その雰囲気に酔いしれるだけで
この上ない幸せを感じるのです

これはもう自分好みのカフェを作るしかない
そう思い立ちカフェの経

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ー新しい習い事始めますー      【エッセイ】未来のためにできること

ー新しい習い事始めますー      【エッセイ】未来のためにできること

『隔週土曜日はプチ旅行
 年に二回はしっかり旅行』
新しい習い事だと思って 始めます

子育てがひと段落して
時間に余裕が出きたころ

経営していたカフェを閉めて
ひどい50肩と更年期で体調を崩し
誰かに電話をしたりLineをすることさえなくなって
ほとんど家に籠っていたら
元々苦手だった人付き合いが輪をかけてひどくなり
恐ろしいほどの孤独感が襲ってきました

子どもが生まれて会社を辞めてから

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頼りない生命線。ご先祖様に感謝。

頼りない生命線。ご先祖様に感謝。

私の ≪生命線≫ は頼りない。
ひょろっとした山芋のヒゲ根くらい頼りない。その上短い。
手相にはあまり詳しくないが、≪生命線≫と≪運命線≫が長ければ長いほど太ければ太いほど健康でラッキーな人生を送れるような気がする。

テレビの占い番組で生命線の長さと寿命の長さは関係ないと言っていた。
寿命の長さは生命線だけでなく他の線や金星丘のハリなどと考え合わせて導かれるものらしい。
だけど私の左手は、薄くハ

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昭和生まれの味と香り

昭和生まれの味と香り

カフェをオープンさせてからすぐにインスタグラムを始めた。

大学生のバイトの子が
「若者にここのカフェを知ってもらうならインスタですよ」
「毎日写真とコメントを投稿しないとだめですよ」
とアドバイスをくれたからやってみたのだけれど
これが昭和生まれの私にはとっても難しいのです。

流れるようにアップされ続ける凄い数の画像の中から目に留めてもらわなければならないし。その画像を見て〝このカフェに行きた

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平凡な人を平凡だと思わない人が現れる

平凡な人を平凡だと思わない人が現れる

「平凡な人を平凡だと思わない人が現れる、異常な人を異常だと思わない人が現れる」 
このセリフを聞いたときに
私の中でカチッと何かがはまった気がした。
「これだ、私が言いたかったことは」と思った。

これは、ドラマ「初恋の悪魔」の中で
馬淵悠日(仲野太賀さん)が「変わり者派」に対して「普通派」である自分の抱えるコンプレックスを吐き出した時に、摘木星砂(松岡茉優さん)が優しく言ったセリフだ。

二人の

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スライムな息子と全身でブロックな娘

スライムな息子と全身でブロックな娘

私にはスライムな息子と全身でブロックな娘がいる。
ご近所の旦那さんをして「師匠と呼ばせていただきます」と言わしめた息子。ママ友から「○○ちゃん 強烈。」と舌を巻かれることの多かった娘。二人の子育てにはかなり苦労したけれど、全く性格の違うスライムな息子と全身でブロックな娘のおかげで私もずいぶん成長できたと思う。
※≪全身でブロック≫は おもちゃの家なども作れる大きなブロックです

タイミングと忍耐 

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大切な人のセコンドでありたい

大切な人のセコンドでありたい

心が弱って不安と孤独で押しつぶされそうになると
私には決まって二つの症状が現れる。

症状 その1

一つ目の症状は
悪夢にうなされて大きな声で寝言をいうことだ。
毎回必ず同じ夢を見る。
小さな浴室の窓から侵入しようとする泥棒に気付き
うまく出ない声で「どろぼう~」「どろぼう~」と叫んでいる夢だ。

泥棒は少し髪の薄い痩せ気味のおじさん。
一度も姿を見ていないので分からないはずだが
絶対、ひょろっ

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『≪諦める≫の語源は≪明らかにする≫』

『≪諦める≫の語源は≪明らかにする≫』

夢を追いかけて上京

私は今までに大きな挑戦を2度しました。
一度目の挑戦は18歳の時、女優になることを夢見て上京し大物女優の付き人として三年間勉強したことです。
高校三年生の秋、たまたま読んだ雑誌のインタビュー記事を読んで
≪私、この女優さん大好きだ。この女優さんの元で夢を追いかけたい≫
と思ったのが始まりです。思いの丈をしたため送った手紙に
≪三年間の期限付きでよければおいで≫
と連絡をもらい

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