Pino

詩を書いたり、ジェンダーレスな被写体したり、フィルムで写真を撮ったりしています。

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なんだかんだお正月って特別感がある

年末年始の、ちょっと慌ただしくてふわっとした幸福感が好きだ。 毎年、もう12月?もうクリスマス?もう大晦日!!!!!?なんてやってしまう。 そして、進まない大掃除…

Pino
6か月前
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映画の冒頭、記憶の断片。

映画が始まって最初の数秒、或いは数分、場合によっては数十分かも。 美しい空、お菓子や食事、街や人の流れ、主人公の生活風景。 そんなものが、代わる代わる画面いっぱ…

Pino
9か月前
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硬質な食卓

Pino
3年前

生きているだけじゃ、だめかな

生きているだけじゃ だめかなと 君が言った 生きているだけじゃ 努力にならないかなと 君が言った あの時 どうして何も 言えなかったのだろう 生きているだけは まるで、…

Pino
3年前
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美しかったもの:20210607

Pino
3年前

白日の夏

夏期休暇はあの子の故郷 水面は静かな音楽を奏で 白い衣は陽射しに溶ける 翠と手をつないだ逃避行 あの日見た青い蝶たちは 僕らの胸の中で輝く宝石 瞳に刻まれた想い出は愛…

Pino
3年前
2

空と窓が特別だった

空と窓が特別だったあの頃 確かに私の背中には翼があって 何処にだって飛び立てた 生まれながらの 原始的な美しさを信じ ただそこに立っていられる 無条件の安心と偽物み…

Pino
3年前
5

胸に大きな裂け目があって 何度か繕ってはみたものの いつかはほころびが出来て 血潮に染まった糸が垂れる 針の通る様は痛々しいのに どこかでそれを望んでいて 裁縫道具は…

Pino
3年前
2

架空のもの

なんとなく、『架空のものにしか興味が無い』という時期がある。 本当に美しいものとか本当に素晴らしいものとか、どうしようもなく自分とは正反対に思えて全部が嫌になる…

Pino
3年前
2

零れ落ちた日の景色

神様が命を掌で掬った時に 指の間から取り零した命が 私だったとしたら悔しいか 誰かに尋ねられたとしても 私は私で良かったなと思う たくさんの中から零れた命 それでも私…

Pino
3年前
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透過する春の夢

Pino
3年前
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きっと限りなく透明なのだと思う

愛ってなに? それは『幸せってなに?』という質問と、良く似ている。 誰かを愛して、誰かに愛されて。 家族をつくり、子孫を残す。 ひとりではなくて、誰かのそばにいて…

Pino
3年前
6

最後の頁

本を読み終わる時、寂しくて泣いてしまいそうになる。 手の中に、大好きな世界があって。 私はその物語を追いかけて駆け回り、思い切り息を吸い込んで、そこに居るから。 …

Pino
3年前
3

夜の香り

季節ごとに違う香りがする、夜の香りが好きだ。 春は花たちの。 夏は緑たちの。 秋は果実たちの。 冬は枯れ木たちの。 夜は人も草木も、何もかもが眠っていて。 季節の香…

Pino
3年前
1

朝と夜の隙間

眠れない夜。 午前4時過ぎ。 窓からうっすらと差し込む朝日。 夜が逝ってしまったと気付いて、絶望する。 その絶望を知って初めて、夜の優しさを知った。 特に、真夏の…

Pino
3年前
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春に終わりを見るという事

Pino
3年前
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なんだかんだお正月って特別感がある

なんだかんだお正月って特別感がある

年末年始の、ちょっと慌ただしくてふわっとした幸福感が好きだ。

毎年、もう12月?もうクリスマス?もう大晦日!!!!!?なんてやってしまう。
そして、進まない大掃除と束の間の冬休みがやってくる。
年越しそばを食べて、紅白を流し見して、23時30分くらいに外出の準備をする。
我が家は徒歩圏内に小さな神社があるので、年明けと共に初詣へ行くのが恒例だ。
今年は、いつもよりずいぶん暖かい気候だった。
手袋

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映画の冒頭、記憶の断片。

映画の冒頭、記憶の断片。

映画が始まって最初の数秒、或いは数分、場合によっては数十分かも。

美しい空、お菓子や食事、街や人の流れ、主人公の生活風景。

そんなものが、代わる代わる画面いっぱいに広がる。
それをただ、見ている自分。
私は、あの時間が好きだ。

それは物語の気配が、香り始める時間。

映画館では、まるで一瞬。
家で見ていると、ちょっと長く感じて。
ふわふわとした、カーテンを捲るような高揚感。
期待と緊張が、溢

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生きているだけじゃ、だめかな

生きているだけじゃ、だめかな

生きているだけじゃ
だめかなと
君が言った
生きているだけじゃ
努力にならないかなと
君が言った

あの時
どうして何も
言えなかったのだろう

生きているだけは
まるで、悪?

君は確かに
此処にいて
呼吸をする

それって
素敵だね

さっき
風がそう言った

白日の夏

白日の夏

夏期休暇はあの子の故郷
水面は静かな音楽を奏で
白い衣は陽射しに溶ける
翠と手をつないだ逃避行
あの日見た青い蝶たちは
僕らの胸の中で輝く宝石
瞳に刻まれた想い出は愛
この永遠を忘れないため
吐息で磨き続ける夢の名
其は過ぎ去りし白日の夏

撮影:大澤 瞳さん
被写体:ゆうがさん&Pino

空と窓が特別だった

空と窓が特別だった

空と窓が特別だったあの頃
確かに私の背中には翼があって
何処にだって飛び立てた

生まれながらの
原始的な美しさを信じ
ただそこに立っていられる

無条件の安心と偽物みたいな幸福

あの頃を宝物と呼ぶには
記憶がやわらかすぎて
これから先に期待をするには
自分があまりに薄っぺらい

空と窓が特別だったあの頃
確かに私の背中には翼があって
強い風さえも味方のようで

空と窓が特別だったあの頃
今はも

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傷

胸に大きな裂け目があって
何度か繕ってはみたものの
いつかはほころびが出来て
血潮に染まった糸が垂れる
針の通る様は痛々しいのに
どこかでそれを望んでいて
裁縫道具は優しい色のまま
指ぬきには鈴蘭が彫られて
真っ白な絹糸は束ねた姿で
まだ何も知らない夜のなか

架空のもの

架空のもの

なんとなく、『架空のものにしか興味が無い』という時期がある。

本当に美しいものとか本当に素晴らしいものとか、どうしようもなく自分とは正反対に思えて全部が嫌になる。

それはたぶん、嫉妬や焦燥で。
でも、格好をつけて知らんぷりをしたい。

そんな、時期。

『架空のもの』は、本当のものよりも少しだけ優しい。

架空の唄をうたって
架空の声を聞き
架空の色を見て
架空の映画を作り
架空の自分が笑って

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零れ落ちた日の景色

零れ落ちた日の景色

神様が命を掌で掬った時に
指の間から取り零した命が
私だったとしたら悔しいか
誰かに尋ねられたとしても
私は私で良かったなと思う
たくさんの中から零れた命
それでも私のちょっと歪な
透明な愛や中途半端な心も
弱くて優しい振りもぜんぶ
全然悪くないと思えるから
一匙の葛藤は良質な香辛料
生きる上では必要な味付け
それ位の事だと思っている

きっと限りなく透明なのだと思う

きっと限りなく透明なのだと思う

愛ってなに?

それは『幸せってなに?』という質問と、良く似ている。

誰かを愛して、誰かに愛されて。
家族をつくり、子孫を残す。
ひとりではなくて、誰かのそばにいて。
そうやって過ごす。

そうじゃないと、幸せじゃないみたいな。
世の中のそんな雰囲気が、ただひたすらに苦しい。
 
溢れる人間の中から、たった1人を選ぶ。
そして、特別な愛を交わす。

そんな事、別にやりたくない。

私はそういう人

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最後の頁

最後の頁

本を読み終わる時、寂しくて泣いてしまいそうになる。

手の中に、大好きな世界があって。
私はその物語を追いかけて駆け回り、思い切り息を吸い込んで、そこに居るから。
それが、終わってしまう。
ずっとこのままでいたい。

そんな風に思う事が、何度もある。

恋人との、別れ際のような。
テーマパークから、帰る時のような。
素晴らしい夢から、醒めてしまうような。

その寂しさが、たまらなく嫌いで。
その寂

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夜の香り

夜の香り

季節ごとに違う香りがする、夜の香りが好きだ。

春は花たちの。
夏は緑たちの。
秋は果実たちの。
冬は枯れ木たちの。

夜は人も草木も、何もかもが眠っていて。
季節の香りが、一等強い。
私が孤独でも、私が役立たずでも、誰も気にしない、夜。
暗闇がぜんぶ包んでくれる。
だから、夜は優しい。
だから、夜は好きだ。

いつか夜の香りを纏ってみたい。

私は、夜が香る人でありたい。

朝と夜の隙間

朝と夜の隙間

眠れない夜。
午前4時過ぎ。
窓からうっすらと差し込む朝日。

夜が逝ってしまったと気付いて、絶望する。
その絶望を知って初めて、夜の優しさを知った。

特に、真夏の夜。
昼の暑さを和らげて、草木の匂いが強く薫る。
早々に輝き出す太陽は、希望のような色で私を照らすから。
隠してくれる宵闇が、たまらなく好き。

あの明るさに絶望した人間は哀しい優しさを知っていて、朝と夜の隙間に絶望がある事を一生忘れ

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