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生きているだけじゃ、だめかな

生きているだけじゃ、だめかな

生きているだけじゃ
だめかなと
君が言った
生きているだけじゃ
努力にならないかなと
君が言った

あの時
どうして何も
言えなかったのだろう

生きているだけは
まるで、悪?

君は確かに
此処にいて
呼吸をする

それって
素敵だね

さっき
風がそう言った

白日の夏

白日の夏

夏期休暇はあの子の故郷
水面は静かな音楽を奏で
白い衣は陽射しに溶ける
翠と手をつないだ逃避行
あの日見た青い蝶たちは
僕らの胸の中で輝く宝石
瞳に刻まれた想い出は愛
この永遠を忘れないため
吐息で磨き続ける夢の名
其は過ぎ去りし白日の夏

撮影:大澤 瞳さん
被写体:ゆうがさん&Pino

空と窓が特別だった

空と窓が特別だった

空と窓が特別だったあの頃
確かに私の背中には翼があって
何処にだって飛び立てた

生まれながらの
原始的な美しさを信じ
ただそこに立っていられる

無条件の安心と偽物みたいな幸福

あの頃を宝物と呼ぶには
記憶がやわらかすぎて
これから先に期待をするには
自分があまりに薄っぺらい

空と窓が特別だったあの頃
確かに私の背中には翼があって
強い風さえも味方のようで

空と窓が特別だったあの頃
今はも

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傷

胸に大きな裂け目があって
何度か繕ってはみたものの
いつかはほころびが出来て
血潮に染まった糸が垂れる
針の通る様は痛々しいのに
どこかでそれを望んでいて
裁縫道具は優しい色のまま
指ぬきには鈴蘭が彫られて
真っ白な絹糸は束ねた姿で
まだ何も知らない夜のなか

零れ落ちた日の景色

零れ落ちた日の景色

神様が命を掌で掬った時に
指の間から取り零した命が
私だったとしたら悔しいか
誰かに尋ねられたとしても
私は私で良かったなと思う
たくさんの中から零れた命
それでも私のちょっと歪な
透明な愛や中途半端な心も
弱くて優しい振りもぜんぶ
全然悪くないと思えるから
一匙の葛藤は良質な香辛料
生きる上では必要な味付け
それ位の事だと思っている

【私の夜には星が無く、君の夜には月が無い】

【私の夜には星が無く、君の夜には月が無い】

夜の帳をかき集め
閉じ込めたような
薄暗い詩を
君のために
綴っている

夜が明ける頃
その言葉たちを
青い封筒に入れて
記憶の棺桶へと
そっと仕舞う

私の夢の続きを見る君へ

宛先の分からない
小さな手紙

それが私の詩

すべての夢と記憶が
葬られる日
この手紙の封は
君のナイフで
開いてみせて

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短歌 習作のまとめ

短歌 習作のまとめ

【少年】

星降る日白いシーツを抜け出して
夜空の下は君と僕だけ

もし君が嘘つきの眼で僕を見て
微笑むのならそれは真実

夢の淵扉が開けばあの時の
ベルガモットの君がいる

神様はさっき僕から消えたので
それから僕は嘘を愛した

一粒の葡萄に込めた僕の闇
艶めく光飲み干して

香草をひとさじ含む君の口
残り香だけが永遠のゆめ

今朝の事僕は気付くと海の中
クジラの骨に成る夢をみた

【月】

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