Pino

詩を書いたり、ジェンダーレスな被写体したり、フィルムで写真を撮ったりしています。

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なんだかんだお正月って特別感があっていい

年末年始の、ちょっと慌ただしくてふわっとした幸福感が好きだ。 毎年、もう12月?もうクリスマス?もう大晦日!!!!!?なんてやってしまう。 そして、進まない大掃除と束の間の冬休みがやってくる。 年越しそばを食べて、紅白を流し見して、23時30分くらいに外出の準備をする。 我が家の徒歩圏内に小さな神社があるので、年明けと共に初詣へ行くのが恒例だ。 今年は、いつもよりずいぶん暖かい気候だった。 手袋がいらないねぇ、なんて言いながら歩く。 周りの景色が少しずつ変わり、メンバーも少

    • 映画の冒頭、記憶の断片。

      映画が始まって最初の数秒、或いは数分、場合によっては数十分かも。 美しい空、お菓子や食事、街や人の流れ、主人公の生活風景。 そんなものが、代わる代わる画面いっぱいに広がる。 それをただ、見ている自分。 私は、あの時間が好きだ。 それは物語の気配が、香り始める時間。 映画館では、まるで一瞬。 家で見ていると、ちょっと長く感じて。 ふわふわとした、カーテンを捲るような高揚感。 期待と緊張が、溢れる瞬間。 早く先を覗きたい、子どものような自分。 あの感覚を何度でも味わいた

      • 硬質な食卓

        • 生きているだけじゃ、だめかな

          生きているだけじゃ だめかなと 君が言った 生きているだけじゃ 努力にならないかなと 君が言った あの時 どうして何も 言えなかったのだろう 生きている「だけ」じゃ まるで悪か? そんなひとは、要らないか? 君は確かに 訊いていたのに 答えが分からない 生きているだけじゃ 答えはまだ分からない

        なんだかんだお正月って特別感があっていい

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          美しかったもの:20210607

          美しかったもの:20210607

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          過ぎ去りし白日の夏

          夏期休暇はあの子の故郷 水面は静かな音楽を奏で 白い衣は陽射しに溶ける 翠と手をつないだ逃避行 あの日見た青い蝶たちは 僕らの胸の中で輝く宝石 瞳に刻まれた想い出は愛 この永遠を忘れないため 吐息で磨き続ける夢の名 其は過ぎ去りし白日の夏 撮影:大澤 瞳さん 被写体:ゆうがさん&Pino

          過ぎ去りし白日の夏

          空と窓が特別だった

          空と窓が特別だったあの頃 確かに私の背中には翼があって 何処にだって飛び立てた 生まれながらの 原始的な美しさを信じ ただそこに立っていられる 無条件の安心と偽物みたいな幸福 あの頃を宝物と呼ぶには 記憶がやわらかすぎて これから先に期待をするには 自分があまりに薄っぺらい 空と窓が特別だったあの頃 確かに私の背中には翼があって 強い風さえも味方のようで 空と窓が特別だったあの頃 今はもう過ぎ去ってしまった日々 あそこに 一握りの輝きを置いてきた 駆け足の日々たち

          空と窓が特別だった

          胸に大きな裂け目があって 何度か繕ってはみたものの いつかはほころびが出来て 血潮に染まった糸が垂れる 針の通る様は痛々しいのに どこかでそれを望んでいて 裁縫道具は優しい色のまま 指ぬきには鈴蘭が彫られて 真っ白な絹糸は束ねた姿で まだ何も知らない夜のなか

          架空のもの

          なんとなく、『架空のものにしか興味が無い』という時期がある。 本当に美しいものとか本当に素晴らしいものとか、どうしようもなく自分とは正反対に思えて全部が嫌になる。 それはたぶん、嫉妬や焦燥で。 でも、格好をつけて知らんぷりをしたい。 そんな、時期。 『架空のもの』は、本当のものよりも少しだけ優しい。 架空の唄をうたって 架空の声を聞き 架空の色を見て 架空の映画を作り 架空の自分が笑っている 間違っていても美しくなくても面白くなくても、何もかもが許される。 これ

          架空のもの

          零れ落ちた瞬間を忘れない

          神様が掌で命を掬った時に 指の間から取り零した命が 私だったのなら悔しいかと 誰かに尋ねられたとしても 私は私で良かったなと思う たくさんの中から零れた私 でも私は私のちょっと歪な 透明な愛も中途半端な心も 弱くて優しい振りもぜんぶ 全然悪くないと思えるから 一匙の葛藤は良いスパイス 生きる上では必要な味付け それ位の事だと思っている

          零れ落ちた瞬間を忘れない

          透過する春の夢

          透過する春の夢

          きっと限りなく透明なのだと思う

          愛ってなに? それは『幸せってなに?』という質問と、良く似ている。 誰かを愛して、誰かに愛されて。 家族をつくり、子孫を残す。 ひとりではなくて、誰かのそばにいて。 そうやって過ごす。 そうじゃないと、幸せじゃないみたいな。 世の中のそんな雰囲気が、ただひたすらに苦しい。   溢れる人間の中から、たった1人を選ぶ。 そして、特別な愛を交わす。 そんな事、別にやりたくない。 私はそういう人間で、そのままで。 別に、いいはずなのに。 愛することが自由なら、愛さないこと

          きっと限りなく透明なのだと思う

          最後の頁

          本を読み終わる時、寂しくて泣いてしまいそうになる。 手の中に、大好きな世界があって。 私はその物語を追いかけて駆け回り、思い切り息を吸い込んで、そこに居るから。 それが、終わってしまう。 ずっとこのままでいたい。 そんな風に思う事が、何度もある。 恋人との、別れ際のような。 テーマパークから、帰る時のような。 素晴らしい夢から、醒めてしまうような。 その寂しさが、たまらなく嫌いで。 その寂しさが、たまらなく好きで。 たぶん、本の中で最後の頁が一番好き。 本当はそれ

          最後の頁

          夜の香り

          季節ごとに違う香りがする、夜の香りが好きだ。 春は花たちの。 夏は緑たちの。 秋は果実たちの。 冬は枯れ木たちの。 夜は人も草木も、何もかもが眠っていて。 季節の香りが、一等強い。 私が孤独でも、私が役立たずでも、誰も気にしない、夜。 暗闇がぜんぶ包んでくれる。 だから、夜は優しい。 だから、夜は好きだ。 いつか夜の香りを纏ってみたい。 私は、夜が香る人でありたい。

          夜の香り

          朝と夜の隙間

          眠れない夜。 午前4時過ぎ。 窓からうっすらと差し込む朝日。 夜が逝ってしまったと気付いて、絶望する。 その絶望を知って初めて、夜の優しさを知った。 特に、真夏の夜。 昼の暑さを和らげて、草木の匂いが強く薫る。 早々に輝き出す太陽は、希望のような色で私を照らすから。 隠してくれる宵闇が、たまらなく好き。 あの明るさに絶望した人間は哀しい優しさを知っていて、朝と夜の隙間に絶望がある事を一生忘れられない。 希望とは、それ以外のすべての事。

          朝と夜の隙間

          春に終わりを見るという事

          春に終わりを見るという事