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記事一覧
ジエゴ クラッキ列伝 第158回 下薗昌記 月刊ピンドラーマ2022年12月号
「ペレの未亡人」。2002年12月15日、サンパウロ市内のモルンビースタジアムに足を運ぶコリンチャンスサポーターは、34年間ビッグタイトルから遠ざかるサントスを揶揄するコールをし続けた。
舞台はブラジル全国選手権の決勝セカンドレグ。総当たり方式のリーグ戦で行われる現在と異なり、2002年の全国選手権はリーグ戦の上位8チームが再び決勝トーナメント方式で優勝を競う方式だった。
この大会で旋風を巻き
第81回 実録エッセー『やっちまった!!』 カメロー万歳 白洲太郎 月刊ピンドラーマ2022年12月号
『ブラジルという国に住んでいる以上、一瞬たりとも気は抜けぬ』
常日頃、自分にそう言い聞かせ、注意深く生活をしているつもりであるが、どんなに警戒していても、ふとしたときに事件は起こるものだ。2022年の10月23日、ボクは突然、絶望のどん底に突き落とされてしまったのである。
その日は例によって自宅から約50キロほど離れた町で仕事をしていた。爽やかな日曜日、さんさんと降り注ぐ日光と、大統領選を1週
「Camélia Ododo」&「Metzi」 さんぱうろぐるめをっちゃー 宮本碧 月刊ピンドラーマ2022年12月号
Camélia Ododo
R. Girassol, 451B - Vila Madalena
Tel: (11) 3815-7987
カメリア・オドドという不思議な名前を持つヴィーガンレストラン。このレストランを開いたのは著名な黒人アーティスト、ジルベルト・ジル氏の娘で料理研究家のベラ・ジルさん。カメリアは椿の意味もあるが、ベラさんの両親が夕食後にいつも飲んでいた緑茶の学名の一部でもあるとい
アルチュール・ド・ゴビノー(フランス人作家・外交官、1816-1882) ブラジル版百人一語 岸和田仁 月刊ピンドラーマ2022年12月号
2007年から14年にかけてロングベストセラーとなった、ラウレンチーノ・ゴメスの歴史三部作(『1808』2007年、『1822』2011年、『1889』2013年)はジャーナリスティックな読みやすい文体で読者を惹き込んだ歴史作品であったが、ここには1889年の共和派クーデターで皇帝の座から追放されたペドロ二世に関する様々なエピソードも“面白可笑しく”書き込まれていた。例えば、1825年生まれのペド
もっとみる「Razoável」 ポルトガル語ワンポイントレッスン リリアン・トミヤマ 月刊ピンドラーマ2022年12月号
Nextopが行ったブラジル市場についての調査結果を読んでとても悲しくなりました。消費者がスーパーのレジに買わずに置いていく商品の量が、前年同期比で63.32%も増えているのです。お客さんがレジに来て、お会計の段階で全額払えないとなって、諦めて商品をいくつか置いていくのです。置いていく商品のトップ10には、米、油、牛乳、砂糖といった基礎食材も含まれます。
こうした悲観的な段階にあるのはブラジルだ
現役の洗染業者の和田佐代子(わだ・さよこ)さん 移民の肖像 松本浩治 月刊ピンドラーマ2022年12月号
「とにかく忙しくて、子供をかまっている暇がなく、立ってご飯を食べていたこともありました」―。今も夫婦で現役の洗染(クリーニング)業を営む和田佐代子さん(71、長崎県出身、旧姓・中村)は、夫が独立してクリーニング店をサンパウロ市内に出店した1970年代当時のことを、そう振り返る。
重労働だが資本金が少なくても「腕」があれば商売になったことで、ブラジルでは戦前から洗染業に従事する日本人は数多かったと
ラミレス クラッキ列伝 第157回 下薗昌記 月刊ピンドラーマ2022年11月号
元ヘビー級王者のモハメド・アリはこう評されたものだ。
「蝶のように舞い、蜂のように刺す」。
ブラジル代表として2度のワールドカップに出場し、チェルシーでは欧州王者にも輝いたラミレスは、中盤で守備的な役割を果たす選手だったが、その役割は多岐に渡っていた。
アリ風にそのプレースタイルを語るなら、こうである。
「サイドバックのようにピッチを疾走し、ストライカーのように点を決める」
1987年、
第80回 実録エッセー『甘いスイカの見分け方』 カメロー万歳 白洲太郎 月刊ピンドラーマ2022年11月号
10月を迎え、少しずつ暖かくなってきた今日この頃、ボクらの町の青空市場では、ポツポツとスイカを見かけるシーズンになった。スイカといえば、分類上は野菜であるとか、そんな話を聞いたことがあるが、それを承知の上であえて言わせてもらおう。スイカは『フルーツの王様』であると。
先日も近所に住むジョゼとその家族、隣人などが集まり、真っ赤に熟れたスイカをぱっくり割って、美味しそうに頬張っていた。偶然とおりかか
エドゥアルド・コブラ 『世界に開かれた窓』 ブラジル美術の逸品 おおうらともこ 月刊ピンドラーマ2022年11月号
エドゥアルド・コブラ 『世界に開かれた窓』 736㎡ 壁画 2022年 サンパウロ市
Eduardo Kobra, " Janelas Abertas para o Mundo ", Mural, São Paulo
コブラの愛称で知られるブラジルの著名ストリートアーティスト、エドゥアルド・コブラ氏が、8月27日に新作壁画をお披露目した。サンパウロ市ブラス地区にある移民博物館前に面する736平
「Cais」&「Curry’s Culinária Indiana」 さんぱうろぐるめをっちゃー 宮本碧 月刊ピンドラーマ2022年11月号
Cais
R. Fidalga, 314 - Vila Madalena
Tel: (11) 3819-6282
ヴィラ・マダレ―ナにある埠頭を意味するCais。その名前が示すとおりシーフードレストランであるが、ベジタリアン料理もある。ミニマリストのインテリアと間接照明のくつろげる雰囲気。見た目はシンプルな料理であるが、食べると手が込んでいることがわかる。マグロに豚の脂身を混ぜ込んだソーセージ
ペルー編 せきらら☆難民レポート 第29回 月刊ピンドラーマ2022年11月号
◆フジモリ元大統領に敬意を表する
「フジモリ元大統領(1990-2000)はテロを縮小させた立派な管理者でした。今も尊敬しています」
と話すのは、サンパウロ在住のペルー人カルロス・エルネスト・ドゥラン・リャノスさん(69歳)。1980〜90年代にかけてペルー各地でテロを引き起こしていたセンデロ・ルミノソ(ペルーの極左武装組織)の恐怖から、妻や子供たちが安心して生活できる場を求めて、ブラジルに逃れ
「食べ物にうるさい」 ポルトガル語ワンポイントレッスン リリアン・トミヤマ 月刊ピンドラーマ2022年11月号
パウロ・エドゥアルド・ノゲイラ(Paulo Eduardo Nogueira)がジャーナリスト、パウロ・フランシス(Paulo Francis)の伝記「パウロ・フランシス-論争を巻き起こすプロ」を著しました。パウロ・フランシスは1970年代から1980年代にとても影響力を持っていたジャーナリストで、多くの人から愛され、多くの人から憎まれていました。
私はまだこの伝記を読んでいないのですが、ある時