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読んで作品に興味を持った記事

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#読書感想文

人生、やり切った感ありすぎ。『まるごとインドな男と結婚したら』鈴木成子

人生、やり切った感ありすぎ。『まるごとインドな男と結婚したら』鈴木成子

タイトルからすると、今風の若くて強い女性が、インド人の彼と結婚してドタバタ、でもほんわかな『中国嫁』のインド版みたいなのを想像してたら、全然違いました。かなりハードモードです。

著者の鈴木さんは私より20歳以上年上。海外旅行が手軽になる以前に青春を迎えたはず。それなのに、旅行先で知り合ったインド人の彼と一年後に結婚。旦那さんは就職しておらず、鈴木さんは英語しかできない。でも、すぐに子供ができて、

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「辛かったら逃げてもいい」は大人のエゴだよね。【書評】辻村深月『かがみの孤城』

「辛かったら逃げてもいい」は大人のエゴだよね。【書評】辻村深月『かがみの孤城』

「辛かったら逃げてもいい」。生きる術を知る大人の理屈である。しかし、子供はどうだろう。特に中学生の心の悩みは深い。その一言では効かない。「学校」と「家」以外にそんな場所がどこにある。大人になれば辛い目にあったり、理不尽なことをされたら「辛かったら逃げてもいい」とさかんに言われるようになった。その通りなのだが、子供たちのコミュニティは「親」と「先生」で構成される集団にしか属していない。それゆえ、逃げ

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解釈しがいのある古典!『デミアン』(ヘルマン・ヘッセ)

解釈しがいのある古典!『デミアン』(ヘルマン・ヘッセ)

ジェームズ・キャメロンは「12歳の子供とスタンフォードの45歳の英文学教授が楽しめる、二つのレベルでうまくいく映画をつくろうときめた」と言った。『教養の書』に登場する、あるエピソード。

ハリウッド映画における古典の引用を散りばめたような作品とはちがうけれど、表面には見えない作者の深層心理や想いを発見し、それらを解釈する喜びは『デミアン』にも共通しそうです。

話の大筋は複雑ではありません。少年時

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書評 読んだふりしたけどぶっちゃけよく分からんあの名作小説を面白く読む方法  三宅香帆    本を読む楽しみを倍化させる。三宅式の読書術が示されていた。総論より各論の方が楽しい。

書評 読んだふりしたけどぶっちゃけよく分からんあの名作小説を面白く読む方法  三宅香帆    本を読む楽しみを倍化させる。三宅式の読書術が示されていた。総論より各論の方が楽しい。



本書の目的は、小説を面白く読むための方法を示すことだ。
大雑把に説明するとmetaphor。つまり、比喩に注目する。
この話しは何を言おうとしているかを読み取ることが大切だと述べている。

第一部は、小説の読み方をレクチャーしているのだが、それよりも第二部の各論。
実際に名作を例にとり、どの部分に着目し読むと楽しいかの具体例が良かった。

芥川と川端のところが、とくに秀逸で読みながら何度も「そ

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「noteが書けない」と悩む人におススメの書籍はコレ!

「noteが書けない」と悩む人におススメの書籍はコレ!

「noteに記事を書きたいのに書けない」

実際、こんな話はたくさん聞くのです。
実際、かわちゃんの「noteをやめるまでの日数は?」の記事によると、「半分の人が1週間以内に投稿をやめてしまう」という衝撃の結果が。
(注:実際のデータはnoteユーザーの2/3の人が投稿をやめてしまい、そのうちの8割が1週間以内にやめてしまうというもの。
0.66×0.8=約0.52となるので、ここでは「約半数の人

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読むと元気が出る手紙集。『まことに残念ですが・・・不朽の名作への「不採用通知」160選』アンドレ・バーナード

読むと元気が出る手紙集。『まことに残念ですが・・・不朽の名作への「不採用通知」160選』アンドレ・バーナード

これは無名だったパール・バックが、『大地』の原稿を見せた出版社から受け取った不採用通知。信じられないけれど、本当だとか。あの壮大な物語が、こんなきつい一言でボツとは信じられない。数年後にノーベル文学賞を受賞した作品が、ほぼ読まれもせずボツ。ああ……

他にも、この本には文学史の教科書に出てくるような『白鯨』や、誰もが知っている『アンネの日記』、映画化された『チャタレイ夫人の恋人』や『宇宙戦争』、の

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