マガジンのカバー画像

本が好き

11
本が好き、ただそれだけです。
運営しているクリエイター

記事一覧

読書感想文〜いまさら読んだ「深夜特急」〜

読書感想文〜いまさら読んだ「深夜特急」〜

何となく読みそびれてしまった本、というのが誰にでもあると思う。
話題になっていたり、人に勧められたり、気になっていたのに
きっかけが掴めずに読まなかった本。

この度、沢木耕太郎「深夜特急」を読んだ。
バックパックを担いでいた頃は
この人の見方で旅をしてしまう気がしてずっと読めなかったけれど
さすがにもう解禁というわけで。

1巻「香港、マカオ」をUnlimitedで読んで、香港の熱気に圧倒された

もっとみる
芋づる読書日記 記憶の中の正月〜向田邦子、幸田文、佐々木邦〜

芋づる読書日記 記憶の中の正月〜向田邦子、幸田文、佐々木邦〜

正月になると読みたくなる随筆ふたつ。

『お正月と聞いただけでため息が出る』
向田邦子 「お軽勘平」(「父の詫び状」収録)

『正月というものを、私はちいさいときから楽しいものとばかりは
 受け取っていなかった』
幸田文 「正月記」(「父・こんなこと」収録)

子供の頃、元旦の朝は、他の日とは くっきりと違っていた。
昨日までの雑然とした空気が除夜の鐘と共に全て消えて
まっさらな陽が登る。
昨日の

もっとみる
読書感想文 浅生鴨「あざらしのひと」

読書感想文 浅生鴨「あざらしのひと」

いろいろとムカつく事があって、ざらついた気分で読んだ 
浅生鴨「あざらしのひと」
衝撃だった。
笑って、笑って、笑いながら落ち込んだ。

例えば「たんと者」
クライアントの意を汲むことが習い性になって
レストランでも心配のあまり山ほど頼んでしまう人を、鴨さんはそう名付ける。
「たんとお上がり」の“たんと者”だという。
私だったらなんていうだろう。
「クライアントばっかり見てる、小心者」

「のほほ

もっとみる
kindle unlimited は私の図書館

kindle unlimited は私の図書館

本屋も図書館もない。
そんなところに住んでいる。

在留邦人数が世界の都市でも有数というバンコクでさえ、
日本語の書籍を扱う書店は数件で
しかも輸入価格なのでかなり高い。
本の種類も限られている。
活字中毒者にはかなり辛い状況だ。
幸い、今は電子書籍の普及で日本国内と同じ価格で
本を読むことができるようになっている。

以前はebookJapanをメインに使っていたが
2019年にYahoo! J

もっとみる
芋づる読書日記  荻窪風土記〜母〜党生活者 

芋づる読書日記  荻窪風土記〜母〜党生活者 

井伏鱒二の随筆「荻窪風土記」を読む。
戦前からの荻窪界隈の移り変わりが語られるが
昔の荻窪も今の荻窪も知らない、土地勘の無い身は置いてきぼりになる。
しかし、関東大震災、二・二六事件などは
リアルにその事件を体験した人の記録で面白かった。
特に二・二六事件は、同時に読んでいた浅田次郎の「兵諌」のキーワードに
なっていたので、こういう事件だったのかと興味深い。
昔、母が熱心に読んでいた「妻たちの二・

もっとみる
積読するのはなぜか、という言い訳を考えてみた

積読するのはなぜか、という言い訳を考えてみた

あー、またやっちゃった。買ってしまった。

noteを何気無く見ていたら 
電子書籍フェアの記事が出てくる出てくる。

うわあ、「名画で読み解く」シリーズが半額!

幻冬舎も!

電子書籍というのは場所を取らない。
だから困る。
紙の本なら「もう置き場所がないだろう」と踏み留まるのに。

私のKindleとebookの電子書籍本棚には既に500冊近い本があるのだ。
(青空文庫は別勘定。それも入れた

もっとみる
本棚の無い家

本棚の無い家

本屋に行けなかった。。。

3年ぶりに日本に帰ったのに、とうとう本屋に行かずじまいに
なってしまった。
10日も日本に居たのに。

なぜなら、近所の本屋が軒並み無くなっていたのだ。
ショック❗️

私の実家は小さな地方都市だけれど、
子供の頃はたくさんの本屋さんがあった。
小学生が歩いて回れる距離に
大きめの書店が3軒、小さい書店が2軒。
古本屋が2軒。
確か貸本屋もあったはずだ。
それが
“〇〇

もっとみる
40年探した小説

40年探した小説

40年以上探していた小説に、ようやく巡り合った。

それは、中学の時の国語のテストで出会った、小説の一場面。

ー2人の女の子が鼓を打っている。
多分、競技会のようなもの。
ひとりの子が、何かの想いに囚われて、はたと打つのを止めてしまう。
彼女はもうひとりの少女の顔を見る。
緊張し、引き攣った醜い表情で鼓を打つライバル(だろう、多分)
主人公の少女は鼓を置いて眼を閉じる。
彼女はその時、ある人を思

もっとみる
愛おしい本たち

愛おしい本たち

noteを始めてから、なにかと紙の本が懐かしくなって
書庫という名の物置に潜りこんでいる。

古本やら、譲っていただいた本やら
私の本棚には昭和の本が並んでいる。

時に、こんな本に出会う。

右上が折り返しになった形で印刷されているページ。

1980年発行、精神科医だった神谷美恵子の著作集。

こういう装丁のミス、昔は結構あった。
「乱丁・落丁本は…」という一文は今も巻末にあるけれど
最近でも

もっとみる
2021年に読んだ本 【橋本治 「生きる歓び」】

2021年に読んだ本 【橋本治 「生きる歓び」】

本との出会いはタイミングがあると思う。
今、この時に読むことで一生の糧になる、そんな出会いの瞬間がある。

橋本治の短編集「生きる歓び」を読んだ。

「にしん」「みかん」「あんぱん」「いんかん」「どかん」「にんじん」
「きりん」「みしん」「ひまん」の9篇。

どれも主人公はふつうの人。
何の事件も起こらない。どんでん返しもない。「ちょっと良い話」にならない。
ただ、何でもない日々が重ねられていく。

もっとみる

noteで知った読書の楽しみ方

noteを始めて嬉しかったのは本好きな人が多いこと。

話題の本、おすすめ本の話ばかりでなく

本の選び方
本の買い方
本の読み方
本を読む環境
本へのこだわり
本にまつわるあれこれ
現在の出版事情
書き手の想い

思い入れが様々で、読んでいてうれしくなる。

実は 友人と本の話をするのは苦手だ。

「この本、すごく良かった、読んでみてよ」
そう言われて読まないのは申し訳ない。
でも読んでみて、好

もっとみる