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本棚の無い家

本屋に行けなかった。。。

3年ぶりに日本に帰ったのに、とうとう本屋に行かずじまいに
なってしまった。
10日も日本に居たのに。

なぜなら、近所の本屋が軒並み無くなっていたのだ。
ショック❗️

私の実家は小さな地方都市だけれど、
子供の頃はたくさんの本屋さんがあった。
小学生が歩いて回れる距離に
大きめの書店が3軒、小さい書店が2軒。
古本屋が2軒。
確か貸本屋もあったはずだ。
それが
“〇〇高校 教科書取扱店”
の貼り紙がある、文房具屋兼業のような小さな店が1軒あるきり。
心底寂しかった。

「郊外のショッピングモールに行けばブックコーナーがあるよ」
そう言われたけど、私が行きたいのはそういうのじゃなくて
街の本屋さんだったんだけど。。。

私が思い描く本屋さん。
ちょっと薄暗くて、天井まで届くような本棚に本が並ぶ。
学校帰りの小学生がランドセルのまま座り込んで
高校生は手提げ鞄を置いてうろうろしている。
レジには、本好きな店員さんがいて
脚立で棚の上の方の本を取ってくれたり。
上の方はもう、古書の領域かもしれない。


先日、朝日新聞のポッドキャスト「ニュースの現場から」を聞いて
とても共感したことがある。
(2時間37分という長いながーい番組の最後の7分くらいだったけど(笑))
それは、電子書籍は便利だけれど、
紙の本というものが無くなり、本棚がなくなったら
本と出会う機会が無くなってしまうのでは、という話。

確かに。

従姉妹の家の子供向け世界文学全集。羨ましかったなあ。
ケストナーも、ジョルジュ・サンドもそこで出会った。

家にあったのは昭和のお決まり日本文学全集。
山口百恵の『春琴抄』にうっとりして、続けて読んだ谷崎潤一郎は
『卍』『蓼食う虫』
「なんか違う…」
小学生にわかるはずがない(笑)

大学生の姉の本棚には埴谷雄高があり、澁澤龍彦があって
こっそり読んだ。
都会の大人になった気がした。

もし、紙の本がなくなって、家から本棚が無くなったら。
誰かの本棚からちょっと背伸びして、一冊抜き出してみる機会も
そこから広がる世界に会う機会も、無くなってしまうのだろう。

noteには、たくさんの本屋さん記事がある。
本屋さんのある街の風景、お気に入りの古本屋さん、
書店経営の体験記、本に埋もれて眠るホテル。。。
どれもこれも、息が詰まるような本への愛にあふれて羨ましい。
こんな情熱がある限り、紙の本がなくなってしまうことはないだろう、と
思いたいけれど。

本棚の無い家、もうありそうだよなあ。。。


タイに戻って来て、kindleを開いたら
ポイント還元やら、半額やら、夏のセールがてんこ盛りではないか!
思わず、ポチっと押し続けてしまった。

落ち着け、自分。
Amazonの企みにハマっているぞ😩

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