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愛おしい本たち

noteを始めてから、なにかと紙の本が懐かしくなって
書庫という名の物置に潜りこんでいる。

古本やら、譲っていただいた本やら
私の本棚には昭和の本が並んでいる。





時に、こんな本に出会う。

最初からドッグイヤー


右上が折り返しになった形で印刷されているページ。

1980年発行、精神科医だった神谷美恵子の著作集。

こういう装丁のミス、昔は結構あった。
「乱丁・落丁本は…」という一文は今も巻末にあるけれど
最近でもこういうミスってあるのかなあ。
電子書籍ではありえないけど。

レア物に当たった気分。


 RM3.00の値札シール 定価は¥180

これはバンコクの古本屋の、20バーツ均一の棚で見つけた本。
3RM (=3マレーシアリンギット)のシールが貼ってあった。
日本からマレーシア経由でタイの古本屋に流れついたらしい。

田中英光『オリンポスの果実』 
奥付は昭和五十五年 42刷

オリンピック代表の青年が、女性の意思も思惑も全て無視して
全編 好きだ好きだと叫ぶ今ではありえないような青春小説。
(太宰治に賞賛されたたそうだ)
私の手元に入るまで、印刷されてから30年以上の歳月
どこを流離って、どんな人が読んだのだろう。
古本はこんな想像も楽しい。



作者がいて、読者がいて、その間にある作品が本という形態になる。

でもそれだけじゃない。
編集や印刷や校正や製本や運送や。。。
多分、私が知らない、気が遠くなるような幾つもの段階を経て
一冊の本がここにあるのだ。

そうして日本で発行された一冊の本が、
巡り巡って私の手元にやってきた。

本という形で誰かと繋がるこの奇蹟。
いつでも本が身近にあるという幸運に、感謝しよう。

私は、本が愛おしくてたまらない。




本に関わる全ての方々、ありがとうございます。








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