odayaka_kion
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日記_2024/02/17
知人が亡くなった。本を読んでもらおうと思っていた。
書くのを数ヶ月前から先延ばしにしていた。途中まで書けてたけど、納得できていなかったから、手直ししようと思っているうち日々は過ぎ、タイムリミットも過ぎた。
昨年、養父も亡くなった。
寝たきりになるひと月前、浦安へ一緒に行こうと話していたが、連れて行けなかった。
養父は浦安での "密漁" が好きだった。現行の漁業法は昭和24年に定められたが、施行以
貝と人間の陽気なパーティー
ベッドで目覚めた男は天啓を得た。
── オレはもうなにも食わなくていい。
暴走トラックに撥ねとばされて、生死の境をさまよった彼の身体は変質していた。
もはや昔の彼ではなかった。
どうしてなにも食わなくていいなどと言うのですか?
問われた男はこう返す。
頭のなかでそう言われたから。
彼は悟った。オレはなにも食わなくても生きていけるのだと。
病院食を突き返し、ただ水だけを口にして、それでも彼は死な
『冬の旅』感想:この肉を引き摺って
1985,フランス
冬の旅(Sans Toit Ni Loi(屋根も法もない))
監督・脚本:アニエス・ヴァルダ
※ネタバレを含みます※
アブラハムの宗教と大乗仏教には似通った小噺(説話)がいくつかある。
説話には大衆向けのプロパガンダの側面があるので、おおよそ善行には報いがセットで付いてくる。
プロパガンダは悪ではない。
共同体の秩序を維持するための作り話は苦しみの総量を減らすだろう。
『J005311』感想
よかった。
順次全国で公開とのこと。
いまは渋谷ユーロスペースで4/27まで公開しています。
以下感想なので、観てないけど興味あるな〜って人は読まずに観にいくといいんじゃないかな
どんな映画でもだけど、前情報って邪魔にしかならなくないすかって思ってるのと、アタリだとかハズレだとかはその人次第とも思ってるので、オススメだとかは言えないです
でもなんか生きづらい感じの人に見てほしい気持ちになりま
『ラブレス』感想:カメラの外で
『ラブレス』2017 ロシア
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
脚本:アンドレイ・ズビャギンツェフ、オレグ・ネーギン
寒々とした湖のカットから始まる。
酷寒のユーラシア北部の冬、積もる雪は都市のコンクリートも郊外の森林も区別なく冷え込ませる。
その厳しさは住まない者にはわからない。
大勢の子供たちが下校するのに紛れて、少年アレクセイは独り、ときたま道草しながら家路をゆっくりと歩く。
彼の家
『グッドナイト・マミー』感想:物語における対立と緊張
2015,オーストリア
『グッドナイト・マミー』(原題:Ich seh, ich seh、英題:Goodnight Mommy)
監督・脚本:ベロニカ・フランツ、セベリン・フィアラ
双子の美少年と母親。
鮮やかなトウモロコシ畑で兄弟が遊ぶ。姿は見えないが草むらが揺れる。
見えないものを人は恐れる。未知への恐怖は疑心と繋がり、疑心は人を攻撃的にする。
オーストリアの自然を背景に、印象的な構図を意
『タコピーの原罪』感想:わたしたちの無力さ
※ 作品のネタバレを含みます。
あっという間に年の瀬。
タコピーが完結したのは3月25日で、その時に走り書きした感想を整理してみる。
走り書きのままにしていたのは、疲れきってしまっていたから。
体力がない。
ちいさいころから疲れやすく、なにをするにも億劫だった。
そして、億劫そうにしているガキは可愛げがない。
家族、先生、クラスメイト、地域の大人、誰からも疎まれるガキだった。
給食はぐちゃ
マインレンデル『救済の哲学』を読む:素人邦訳
はじめに
動機云々の私的な補足を記します。
記事の末尾に草稿へのリンクを記載しています。
1.動機
生来ロクデナシでございます。
日々だらだら過ごしとるのですが、
芥川をまだらに読み散らかしてた折、
気になったのがこんな一節。
不意に出てくるマインレンデルという名。
芥川がマインレンデルに親しむようになったきっかけは、
森鴎外『妄想』を読んでだという。
たしかに、
上記『侏儒の言葉
ゆるやかになぞられていく周縁:『グレーな十人の娘』観劇録
劇団競泳水着『グレーな十人の娘』を観てきました。
素敵な劇でした!
ついつい笑いが漏れてしまう場面も多く、90分の公演の間ひとときも目を離せぬままドキドキしたりしんみりしたりして、とてもたのしかったです。
演者さんがみなそれぞれの配役にハマっていて、すんなりお話に入り込んで観ることができました。
いくつかの謎を中心に、コメディタッチでゆるやかに周縁がなぞられていく本作。
まったく気負わずにた