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日記_2024/02/17

知人が亡くなった。本を読んでもらおうと思っていた。 書くのを数ヶ月前から先延ばしにしていた。途中まで書けてたけど、納得できていなかったから、手直ししようと思っているうち日々は過ぎ、タイムリミットも過ぎた。 昨年、養父も亡くなった。 寝たきりになるひと月前、浦安へ一緒に行こうと話していたが、連れて行けなかった。 養父は浦安での "密漁" が好きだった。現行の漁業法は昭和24年に定められたが、施行以前から日常として釣りや素潜りをしていた人間にとって「 "密漁"か否か 」は興味の

    • セサミ ストリート

      すぐ目が覚めた。 腹痛。スマホ、アラーム鳴る5分前。バイトいかなきゃ、でもまだ二度寝できる。アラーム数個消して目をつむる。腹に手を乗せる。20分後に鳴る。寝れるはず。昨夜も寝れなかったから。二度寝なら。 まぶた裏の明滅。動悸がする。いつもこう。なんなんだ。寝させてくれ。目をつむったって寝れないのに。いらつく、天井を眺める。なにも考えない。動悸がする。眠れない。アラームが鳴る。止める。天井。アラーム。止める。一瞬意識が飛び、5個めのアラーム。意識がなくても勝手に止めてる、やんな

      • 頭蓋をこそいで

        にゃおにゃお! ( ※「こンにちヮ!」の意) みなさんお元気ですかにゃ? 今日はみなさんに 🉐自己流ライフハック🉐 をお伝えするにゃ! にゃーはコレをためしてから、 寝る前に頭がちょっとかる〜くなって、 起きてる時のしにたさがちょび〜っと軽くなったにゃん! とりま、どゆことやってるか、開始初日のおためしメモを転記しとくにゃ! みんにゃも気軽に ためしてにゃ〜!🐾 某日 怠惰な自分のツケを払うため26:00までバイトをし、布団に倒れ込む。 29:00に起きねばな

        • 貝と人間の陽気なパーティー

          ベッドで目覚めた男は天啓を得た。 ── オレはもうなにも食わなくていい。 暴走トラックに撥ねとばされて、生死の境をさまよった彼の身体は変質していた。 もはや昔の彼ではなかった。 どうしてなにも食わなくていいなどと言うのですか? 問われた男はこう返す。 頭のなかでそう言われたから。 彼は悟った。オレはなにも食わなくても生きていけるのだと。 病院食を突き返し、ただ水だけを口にして、それでも彼は死ななかった。妄想で片付けるには奇妙なことに、たしかに彼は水だけで十分生きていけるよ

        日記_2024/02/17

          金曜日の海ゼリー

          学校も終わって、夕飯のおつかいも終えた。 で、いつもの帰り路なんだけど、脚がなんだか萎えちゃって、それきり道路端にしゃがんでる。白線をなんとか越えて。 夕日なんて雲に隠れてみえない。ここらへんは街灯ないから、海岸沿いの国道はあっというまにうす暗くなって、僕の手のひらはゾンビみたいな色をしている。スーパーの惣菜が入ったビニール袋を道に投げ出して。 なんで急に疲れちゃったかわからない。ずっと疲れてただけかも。 海はシケていて、ときおり強まる潮風にビニール袋があおられ、アスファル

          金曜日の海ゼリー

          🩸血糊のつくりかた🩸

          流血シーンを表現する際に欠かせない血糊。 血糊をどう調達するか迷っている人むけのメモです。 市販もされてますが、大量に必要な場合や低予算の場合は自作することも多いです。 ホラー作品の隆盛を祈って、血糊についてご紹介します! おどろおどろし〜作品、バリバリ作ってこ〜! 記憶だよりで書いているので、補足や最近の血糊トレンドとかあったら気軽におしえてください〜! なお、全体的に映画での演出部による使用を想定してまとめています。 そのため、各手法を推奨する理由や用語などに偏

          🩸血糊のつくりかた🩸

          前貼りのつくりかた

          シャワーシーンの撮影とかで必要になる前貼り。 自分向けの古いメモが出てきたのでせっかくだし加筆して作り方の一例をメモったわよ〜 前貼りのつくりかた 〜男性編 用意するもの 作業の前に 他人の肌に触れるものです。衛生面に気をつけましょう。 作業にあたっては手袋を着用ください。 材料はジップロックに入れて保管ください。 完成品もそれぞれ別のジップロックに入れて保管しましょう。 完成イメージ 素材がちがうけど、形のイメージとしてはこんなかんじ! ガーゼで局部を覆い、そ

          前貼りのつくりかた

          『冬の旅』感想:この肉を引き摺って

          1985,フランス 冬の旅(Sans Toit Ni Loi(屋根も法もない)) 監督・脚本:アニエス・ヴァルダ ※ネタバレを含みます※ アブラハムの宗教と大乗仏教には似通った小噺(説話)がいくつかある。 説話には大衆向けのプロパガンダの側面があるので、おおよそ善行には報いがセットで付いてくる。 プロパガンダは悪ではない。 共同体の秩序を維持するための作り話は苦しみの総量を減らすだろう。 俺は作り話を憎んでいるけど、実話と同程度にしか憎んでいないし、大好きだ。 なか

          『冬の旅』感想:この肉を引き摺って

          『J005311』感想

          よかった。 順次全国で公開とのこと。 いまは渋谷ユーロスペースで4/27まで公開しています。 以下感想なので、観てないけど興味あるな〜って人は読まずに観にいくといいんじゃないかな どんな映画でもだけど、前情報って邪魔にしかならなくないすかって思ってるのと、アタリだとかハズレだとかはその人次第とも思ってるので、オススメだとかは言えないです でもなんか生きづらい感じの人に見てほしい気持ちになりました ※ネタバレ含みます※ さっき観てきた。 すこし疲れてしまって道端すわっ

          『J005311』感想

          『ラブレス』感想:カメラの外で

          『ラブレス』2017 ロシア 監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ 脚本:アンドレイ・ズビャギンツェフ、オレグ・ネーギン 寒々とした湖のカットから始まる。 酷寒のユーラシア北部の冬、積もる雪は都市のコンクリートも郊外の森林も区別なく冷え込ませる。 その厳しさは住まない者にはわからない。 大勢の子供たちが下校するのに紛れて、少年アレクセイは独り、ときたま道草しながら家路をゆっくりと歩く。 彼の家には両親がいる。 喧嘩の絶えない、冷え切った両親が。 ※ 以下、ネタバレを含み

          『ラブレス』感想:カメラの外で

          『グッドナイト・マミー』感想:物語における対立と緊張

          2015,オーストリア 『グッドナイト・マミー』(原題:Ich seh, ich seh、英題:Goodnight Mommy) 監督・脚本:ベロニカ・フランツ、セベリン・フィアラ 双子の美少年と母親。 鮮やかなトウモロコシ畑で兄弟が遊ぶ。姿は見えないが草むらが揺れる。 見えないものを人は恐れる。未知への恐怖は疑心と繋がり、疑心は人を攻撃的にする。 オーストリアの自然を背景に、印象的な構図を意図的に多く取り入れつつ構成も丁寧な映画。 ※ ネタバレを含みます 低評価のレ

          『グッドナイト・マミー』感想:物語における対立と緊張

          『タコピーの原罪』感想:わたしたちの無力さ

          ※ 作品のネタバレを含みます。 あっという間に年の瀬。 タコピーが完結したのは3月25日で、その時に走り書きした感想を整理してみる。 走り書きのままにしていたのは、疲れきってしまっていたから。 体力がない。 ちいさいころから疲れやすく、なにをするにも億劫だった。 そして、億劫そうにしているガキは可愛げがない。 家族、先生、クラスメイト、地域の大人、誰からも疎まれるガキだった。 給食はぐちゃぐちゃに混ぜられていて、クリスマスのチョコレートケーキはシチューの中でどろどろに

          『タコピーの原罪』感想:わたしたちの無力さ

          マインレンデル『救済の哲学』を読む:素人邦訳

          はじめに 動機云々の私的な補足を記します。 記事の末尾に草稿へのリンクを記載しています。 1.動機 生来ロクデナシでございます。 日々だらだら過ごしとるのですが、 芥川をまだらに読み散らかしてた折、 気になったのがこんな一節。 不意に出てくるマインレンデルという名。 森鴎外の『妄想』を読んで芥川が彼を知ったらしい。 たしかに、 上記『侏儒の言葉』からの引用部は、下記の鴎外『妄想』抜粋部に似ている。 芥川の自殺を後押ししたっぽい、というエピソードが日本におけ

          マインレンデル『救済の哲学』を読む:素人邦訳

          ゆるやかになぞられていく周縁:『グレーな十人の娘』観劇録

          劇団競泳水着『グレーな十人の娘』を観てきました。 素敵な劇でした! ついつい笑いが漏れてしまう場面も多く、90分の公演の間ひとときも目を離せぬままドキドキしたりしんみりしたりして、とてもたのしかったです。 演者さんがみなそれぞれの配役にハマっていて、すんなりお話に入り込んで観ることができました。 いくつかの謎を中心に、コメディタッチでゆるやかに周縁がなぞられていく本作。 まったく気負わずにたのしめる作品でしたので、ちょっとでも気になる方はぜひ4/29(金)までの公演にネ

          ゆるやかになぞられていく周縁:『グレーな十人の娘』観劇録

          『さよなら絵梨』感想と備忘

          再読するときに気をつけたい点と感想のメモ書きです。 『さよなら絵梨』『ファイト・クラブ』「シックスセンス』についてのネタバレと勝手な感想を含みます。 ---------- 物語に登場する要素 "演出"される情景(現実との相違) 主人公(優太)は映像を撮り、編集をする。 最初は母から強制され、父や絵梨から価値を承認され、その後ライフワークのように過去の映像に囚われる。 撮影も編集も、見たいものを見て、見せたいように見せる"演出"であるという点で、"恣意的なまなざし"だ

          『さよなら絵梨』感想と備忘

          寺山修司『レミング』脚本の差異について:B機関2021年公演 観劇録

          2021年、B機関『レミング』公演を観ました。 力強い劇でしたので、私的な備忘を記します。 はじめに 本公演は、舞踏と劇、双方への興味を強く惹きたてる劇でした。 寺山修司の脚本『レミング』を観るのは初めてだったけれど、幕ごとの挿話同士を行き来する(フィクション同士の壁をまたぐ)のが楽しかった。 こうして備忘を書く気になったのもひとえにこの公演の力強さにアテられたから。 観劇後、その力強さは何処に由来しているか考えたくなった。 劇は総体として成り立つから、要素を分解するの

          寺山修司『レミング』脚本の差異について:B機関2021年公演 観劇録