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「Deseo」シリーズ

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「Deseo」と書いてデセオと読む。 そしてスペイン語では「欲望」という意味を持つ。
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#創作

送り火(Deseo)

送り火(Deseo)

神無月のとある場所。
あれ、季節外れの送り火が。

今宵集いし莫迦共に。
独り酌す者がいた。

あいあい よいそれ 寄っといで
黄泉の國から寄っといで

老いも若きも寄っといで
彷徨う霊をも寄っといで

亡霊妖(あやかし)皆歓迎!
至福のひとときどうぞお過ごし!

さぁさぁ盃 交わせれりゃ
あれよあれよと酔っ払い

ここに集いし無謀者に
ちょいとひとかけ音頭を鳴らそう!

「急急如律令」

そぅれ

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倒れた男(Deseo)

倒れた男(Deseo)

今にも死にそうな面持ちの、鎧を身につけた厳つい男が一人ぽつんと地べたに倒れている。
助けを呼べる環境にいるのに助けは何も呼ばず、ただ呆然と仰向けになり空を見上げている。
草原に転がる男の周りは何も無く、空には星空のみが広がっている。

『もしもここで死んだら』

と声も出ずに心だけで考える。

部下は何人かはいれど、助けは求めない。
声をかければ人は集まるが、声もかけない。
遺言書も書く気力は無け

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甘い魅惑の美に堕ちて(Deseo)

甘い魅惑の美に堕ちて(Deseo)

(この世には「好きです」と言われた時にとても憂鬱な気持ちになる人種が存在する。)

(決してモテるからという意味ではない。)

(そう、彼女みたいに。)

〜甘い誘惑の美に堕ちて〜
(貴方はとあるBARに迷い込んだ)

(そこは「恋愛話」ができるBARである)

(ワインレッドの長髪に、白い肌黒い瞳をした女性が貴方の隣に座っている)

(そして女性はほろ酔いしているのか、グラス片手に貴方に淡々と喋

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英雄なんかに成り果てた(Deseo)

英雄なんざは成り飽きた。
神だの教祖だの教師だの。

廃墟に佇む神様成り飽きた。
己を赦してやれよと投げかけた。

救い続ける呪いを解いてやれ。
随分足掻いてきたもんだ。

与えられなきゃ切り捨てられる。
長年見てりゃそれを感じる。
与えられるから大切にされる。
神サマ、お前もそう思うだろう?

胡座をかいて座り、チラリと後ろを見ては嗤う語り手は、京の宮にある神社に住んでいるとある妖である。

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「Deseo」シリーズ

「Deseo」シリーズ

Deseoとは、スペイン語で「欲望」という意味があります。

スペイン語というものは「神と対話する言語」と言われており、己の欲望を表現するという意図であるこのシリーズを表現する為にスペイン語は1番似合うのだなと感じてスペイン語にしました。

このシリーズは「己が世界線を問わず好き勝手生きた妄想」をガンガン語るものであり、自分本位のもので読んでいる人が面白いかどうかも横に置いておくという何とも自分勝

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