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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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2024年2月の記事一覧

おじさんはどう生きるか (松任谷 正隆)

おじさんはどう生きるか (松任谷 正隆)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 軽い読み物はないかと、いつもの図書館の新着書リストを覗いていて目に留まった本です。

 著者の松任谷正隆さんは音楽プロデューサー、奥様は言うまでもなくシンガーソングライターの松任谷由実さん。このエッセイでも随所に登場します。

 本書は、読売新聞で連載されたコラムに数作の書下ろしエッセイと対談とを加えて構成された著作ですが、全体は「マナー

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土偶を読む ― 130年間解かれなかった縄文神話の謎 (竹倉 史人)

土偶を読む ― 130年間解かれなかった縄文神話の謎 (竹倉 史人)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 著者の竹倉史人さんは、私の会社関係の知人の弟さんだということもあり、本書が出版されたときから大いに気になっていました。

 従来タイプの “考古学の専門家” ではない立場から、日本古代史上の大きな謎に学際的立ち位置で相対し、「ゼロベース」からの発想で提示した大胆な仮説を丹念に検証していくチャレンジングな姿勢はとても魅力的だと思います。

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ガラスの城 (松本 清張)

ガラスの城 (松本 清張)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 このところ図書館で予約している本の受取タイミングはうまくいかず、また読む本が切れてしまいました。ということで、昔読んだ本を納戸の本棚から引っ張り出してきました。

 選んだのは、今から30年近く前に買った松本清張さんのミステリー小説です。ちょっと前にも同じような動機で「点と線」を読み返したのですが、この本もそのときと同じく、内容は全く覚え

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日当りの椅子 (佐藤 愛子)

日当りの椅子 (佐藤 愛子)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 このところ図書館で予約している本の受取タイミングがうまくいかず、また読む本が切れてしまいました。
 ということで、納戸の本棚を探って、家族の古い蔵書の中から気軽に読めるエッセイを取り出してきました。

 作者は佐藤愛子さん、北海道浦河に建てた別荘での暮らしを材料に、その地の人びととの暖かな交流の様子を書き綴っています。

 発行は1987

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ルワンダでタイ料理屋をひらく (唐渡 千紗)

ルワンダでタイ料理屋をひらく (唐渡 千紗)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着書リストの中で目に留まりました。
 ちょっと前に服部正也さんの「ルワンダ中央銀行総裁日記」を読んだところだったので、“ルワンダ” という文字に反応して手に取った本です。

 内容は強烈です。似たようなテイストの旅行記ならそこそこありますが、これは、シングルマザーである唐渡さんが、旅行で一度行ったことがあるだけのルワンダ

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岸惠子自伝 (岸 惠子)

岸惠子自伝 (岸 惠子)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 著者の岸恵子さん。日本を代表する女優のおひとりですが、エッセイストとしても何冊も著作を世に出しています。

 私としては、岸さんが出演された映画は「悪魔の手毬唄」「女王蜂」「たそがれ清兵衛」ぐらいしか観てはいませんが、それでも流石の存在感でした。

 本書は、ご本人による自伝。岸さんの様々な面を垣間見ることができるとても興味深いエピソード

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墨子よみがえる (半藤 一利)

墨子よみがえる (半藤 一利)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 著者の半藤一利さんの著作は、今までも「聯合艦隊司令長官山本五十六」「昭和・戦争・失敗の本質」「ぶらり日本史散策」「幕末史」「日本史はこんなに面白い」等々を読んでみていますが、今回の著作は、それらとはちょっと毛色が異なったテーマを扱っていたので気になって手に取ってみました。

 ご存じのとおり「墨子」は、古代中国戦国時代、諸子百家の墨家の開

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北斎のデザイン 冨嶽三十六景から北斎漫画までデザイン視点で読み解く北斎の至宝 (戸田 吉彦)

北斎のデザイン 冨嶽三十六景から北斎漫画までデザイン視点で読み解く北斎の至宝 (戸田 吉彦)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着書の棚で目についた本です。

 「北斎のデザイン」というタイトルがまずは私の興味を惹いたのですが、さらに「カラー図版」がたくさん掲載されているので見やすいかと思い借りてきました。

 著者の「デザイン」という視点からの専門的な解説は、美的鑑賞力のない私にとっては、なるほどと思えるものばかりでした。
 「第1章

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昭和の名人この一席 (稲田 和浩)

昭和の名人この一席 (稲田 和浩)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 落語を聴くのは好きです。ただ、好みの落語家さんは数人に限られているんですね。三代目古今亭志ん朝師匠、三代目桂米朝師匠、二代目桂枝雀師匠・・・、と並ぶとかなりオーソドックスです。

 本書は、いつも利用している図書館の新着本リストで見つけたのですが、もっといろいろな落語家さんのことを知っておきたいと思い手に取ってみました。

 柳家金語楼を

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旅人よ!(五木 寛之)

旅人よ!(五木 寛之)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 このところ図書館で予約している本の受取タイミングがうまくいかず、また読む本が切れてしまいました。

 ということで、久しぶりに納戸の本棚を探ってみて、肩肘張らないで読めそうな昔の本を引っ張り出してきました。
 選んだのは、今から30年ほど前に買った五木寛之さんのエッセイです。最近「こころの散歩」という五木さんのエッセイ集を読んだところなの

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ゼロコロナという病 (藤井 聡・木村 盛世)

ゼロコロナという病 (藤井 聡・木村 盛世)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 時節柄、この手の本をまずは何か1冊読んでみておこうと思っていたのですが、ちょうどいつも利用している図書館の新着書のリストに載っていたので手に取ってみました。

 コロナ禍対応については、様々な意見が飛び交う “百家争鳴” 状態にあります。現時点の政府の対応姿勢は、新型コロナウィルス感染症対策分科会の提言等も踏まえた「非常事態宣言発出」に代

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数学物語 (矢野 健太郎)

数学物語 (矢野 健太郎)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 図書館で予約している本が切れたので、だいぶ以前にダウンロードしていた電子書籍のコンテンツを読むことにしました。

 矢野健太郎氏と言えば高名な数学者ですが、私の中では「高校参考書の著者」としての印象が強いですね。お世話になったのは、もう40年(注:初投稿時)以上前になりますが。

 本書は、その矢野教授による数学の初心者を対象にした軽い読

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ポアロとグリーンショアの阿房宮 (アガサ・クリスティー)

ポアロとグリーンショアの阿房宮 (アガサ・クリスティー)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 久しぶりにいつもの図書館に顔を出したところ、アガサ・クリスティーの文庫本シリーズが特設棚に並んでいました。

 彼女のミステリーものは映画やテレビではいくつも観ているのですが、そういえば「書物」としては読んだことがありませんでした。流石に「これはまずい」ということで、(私にとって)有名ではない中ぐらいの長さの作品を手に取ってみたのがこの本

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京大式 おもろい勉強法(山極 寿一)

京大式 おもろい勉強法(山極 寿一)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 著者の山極寿一さんの著作は今までも何冊か読んでいるのですが、この本はミーハーながらタイトルに惹かれて手に取ったものです。

 ただ、内容は、私が勝手に想像していたものとはかなり違っていました。

 書かれたのは、山極さんがまだ京都大学総長だったころ。
 山極さんのこれまでの研究生活の実体験から紡ぎ出された「人間関係形成のヒント」がストレー

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