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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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2021年7月の記事一覧

知識創造企業 (野中郁次郎/竹内弘高)

知識創造企業 (野中郁次郎/竹内弘高)

日本企業の成功著者の野中郁次郎・竹内弘高両氏は、序文において、本書で明らかにしたひとつの結論を以下のとおり端的に表明しています。

(pⅱより引用) この本の中で我々が主張しているのは、日本企業は「組織的知識創造」の技能・技術によって成功してきたのだ、ということである。組織的知識創造とは、新しい知識を創り出し、組織全体に広め、製品やサービスあるいは業務システムに具体化する組織全体の能力のことである

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悪の読書術 (福田 和也)

悪の読書術 (福田 和也)

 読書案内の類だろうと思って手に取ってみたのですが、期待していたものとは異なる視点で書かれたものでした。

 本書において著者は、「社交的価値」とやらに重きをおいているようです。

(p95より引用) 無垢さや無意識は、社交的価値の世界においては、もっとも恥ずべき、許し難いものなのです。

 その「社交的」という視点(著者によると「世間の視点」)から、著者なりの「読書の見え方/見せ方」を縷々書き連

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新・風に吹かれて (五木 寛之)

新・風に吹かれて (五木 寛之)

 五木寛之氏ももう70歳半ばとのとこと。(本投稿は10年以上前のブログ記事の再投稿なので、今はもう88歳におなりです)

 中学時代に初めて氏のエッセイ(確か「地図のない旅」だったか・・・)を手に取り、今から30年ほど前(これも今では40年以上前です)、大学の入学式の後、記念講演を聞いた覚えがあります。
 五木氏の本は、最近では「蓮如」とか「知の休日」とかを読んでいます。

 今度の本は、五木氏の

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経済学的思考のセンス ― お金がない人を助けるには (大竹 文雄)

経済学的思考のセンス ― お金がない人を助けるには (大竹 文雄)

成果主義 本書のようなコンセプトの経済学入門書は最近よく見られますね。経済学の「実社会への適用例」を説明して、経済学の位置づけ・意味づけを再認識させようという狙いのものです。
 似たようなコンセプトの本としては、以前読んだ「これも経済学だ!」、「ヤバい経済学」といったものがあります。

 著者は、「経済的思考法」として2つの概念を重視します。
 ひとつは「インセンティブ」。

(p xiiiより引

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ニセモノはなぜ、人を騙すのか? (中島 誠之助)

ニセモノはなぜ、人を騙すのか? (中島 誠之助)

 筆者の中島誠之助氏は、人気テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」にも登場している古美術鑑定家です。

 本書は、その中島氏が、「ニセモノ」をテーマに語った軽い読み物です。

 古美術の真贋に限らず、今のご時世、詐欺や詐欺まがいの事件は後を絶ちません。中島氏が語る「ニセモノにひっかかる方程式」です。

(p19より引用) 懐があったかく、骨董をほしがっているが不勉強な人間に、「儲かるよ」と甘く囁く。こ

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日本を教育した人々 (齋藤 孝)

日本を教育した人々 (齋藤 孝)

日本を教育した松陰 著者の齋藤孝氏が、幕末から現代にかけて「日本を教育した」人物4人をとりあげ、それぞれの人物が残した教育的功績を辿ったものです。

 まず紹介されているのは、幕末期の「吉田松陰」です。
 言うまでもなく、吉田松陰(1830~59)は、幕末の長州藩に生れた思想家・教育者です。幼い頃から叔父玉木文之進らから教育をうけ、1839年(天保10)9歳にして藩校明倫館で山鹿流兵学を講義、翌年

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ぼちぼち結論 (養老 孟司)

ぼちぼち結論 (養老 孟司)

個性 著者の養老孟司氏は、「バカの壁」をはじめとして、最近とみに多くの著作が評判になっている解剖学者です。

 本書は、その著者が雑誌「中央公論」連載したエッセイ?をまとめたものです。雑誌の色でもあるのでしょうが、なかなかザックリと思い切った言い様が並んでいます。
 どうにも同意できないというようなものもあれば、なるほどという気付きを与えてくれるコメントもありました。

 たとえば、最近、教育問題

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決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (國貞 克則)

決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (國貞 克則)

 この本も少し前のベストセラーです。

 いわゆる「財務3表」、具体的には、損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)・キャッシュフロー計算書(CF)の仕組みを「3表の『つながり』」に着目して解説した会計の入門書です。

 私もかなり昔になりますが、30年ほど前、会社の資金計画部門に勤務していたことがあり、この3表をセットにした財務の見方の重要性は常々感じていました。
 当時は「資金計画(資金運用表・

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マックス・ウェーバー入門 (牧野 雅彦)

マックス・ウェーバー入門 (牧野 雅彦)

ウェーバーの方法論 マックス・ウェーバーは、現代社会科学の基礎を築いたといわれるメジャーな社会学者なので、常識的なレベルのことは知っておきたいとの気持ちがあります。

 そういう意識から、以前も、何冊かのウェーバーの著作や、「入門」と名のつく本として、山之内靖氏の「マックス・ヴェーバー入門(岩波新書)」を読んでみました。

 本書は、ウェーバーの学問・主張そのものにフォーカスした内容というよりも、

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バカには絶対解けないナゾナゾ (白崎 博史/石黒 謙吾)

バカには絶対解けないナゾナゾ (白崎 博史/石黒 謙吾)

 無節操にあれこれといろいろなジャンルの本を手にとっているのですが、この本もたまたま図書館の新刊書の棚で目にとまったものです。

 直前に読んでいた本が三木清の「人生論ノート」で、これがかなり難物だったこともあり、今度の本は思い切り逆に振ってみました。
 極端な「やわらか系」です

 載っているなぞなぞは、世界史・日本史・地理・文学・化学・生物・物理・美術・音楽・・・といった18のジャンルから、全

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人生論ノート (三木 清)

人生論ノート (三木 清)

 このところ、最近の話題本を手にすることが多かったので、久しぶりに哲学系の定番の著作を選んでみました。

 著者の三木清氏(1897~1945)は兵庫県生まれの大正・昭和期の哲学者です。京都帝国大学哲学科で西田幾多郎に師事し、卒業後ドイツに留学、歴史哲学を学ぶ一方、ハイデッガーの哲学やマルクス主義の影響を受けたと言われています。

 さて、この「人生論ノート」、巻末の解説において中島健蔵氏は「この

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戦略「脳」を鍛える (御立 尚資)

戦略「脳」を鍛える (御立 尚資)

定石+インサイト 著者の御立尚資氏は、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)のヴァイスプレジデントです。

 本書は、御立氏のコンサルタントとしての経験をベースに、「戦略立案のための実践的なノウハウ」を紹介したものです。

(p155より引用) ユニークな戦略=定石+インサイト
=定石+(スピード+レンズ)
=戦略のエッセンス
 +(パターン認識+グラフ発想)×シャドウボクシング
 +(“

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非線形科学 (蔵本 由紀)

非線形科学 (蔵本 由紀)

単純 vs 複雑 「複雑系」に関しては、ちょっと関心があったので、以前も「複雑系の意匠」という本を読んでみたりしました。

 本書の著者の蔵本由紀氏は「非線形科学」の第一人者です。
 氏は、「まえがき」において、デカルトにはじまる近代合理主義精神をベースにした現代科学のあり方に対して、今、「何か足りないのでは」という疑問が感じられ始めていると指摘しています。それが、現代の「複雑系」「非線形科学」へ

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裁判官の爆笑お言葉集 (長嶺 超輝)

裁判官の爆笑お言葉集 (長嶺 超輝)

 著者の長嶺超輝氏は、法学部を卒業の後、弁護士を目指し司法試験に数度挑戦した経歴をもっています。
 そういう著者が、自ら傍聴した裁判や新聞報道の中で、印象に残った「裁判官の言葉」を収録しそれぞれに短いコメントを加えたものです。

 「語録集」の場合、私が気にするのは、
 ・「どういうテーマ」のことばを対象とするか
 ・テーマにあった数々のことばから「どのことば」を選び出すか
 ・選び出したことばに

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