見出し画像

新・風に吹かれて (五木 寛之)

 五木寛之氏ももう70歳半ばとのとこと。(本投稿は10年以上前のブログ記事の再投稿なので、今はもう88歳におなりです)

 中学時代に初めて氏のエッセイ(確か「地図のない旅」だったか・・・)を手に取り、今から30年ほど前(これも今では40年以上前です)、大学の入学式の後、記念講演を聞いた覚えがあります。
 五木氏の本は、最近では「蓮如」とか「知の休日」とかを読んでいます。

 今度の本は、五木氏の真骨頂の「エッセイ集」です。このところなかなか「しっかり目の本」が頭にはいらないので、気分転換に正統派?エッセイを選んでみました。
 クルマの話、靴の話、喫茶店の話・・・。「週刊現代」への連載をベースにした軽いタッチのものが約50編、気楽に読み通せました。 

(p193より引用) モノを捨てるということは、思い出を捨てるということだ。どんな小さなモノにも、自分との縁があってここにある。そう思えば、気軽に捨てていいものなど、どこにもありはしない。だからこんなふうに雑然と周囲につみ重なっているのだろう。

 こういう感じが、すっ~と腑に落ちるようになってしまいましたし、

(p203より引用) 山陰ばかりではない。ずっと旅から旅の暮らしのなかで、どこの地方にいっても、妙に人が少なくなっているような実感があるのだ。
 いくつかのミニ東京に、人が集中してしまっているらしい。・・・
 ニッポン国の根が枯れつつあるような、そんな気がするのは錯覚だろうか。

という想いにも、ふむふむと納得してしまいます。

 五木氏との年の差は、25歳ほどはあるのですが・・・、同種の感覚がほんの少し分かり始めてきてしまいました。
 久しぶりに原点に戻って、学生時代に読んだ「風に吹かれて」も読み直しましょうか。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?