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思いつき短編:自殺村
俺らが大学に通っているときの話だ。
大学が比較的大自然に囲まれているところにあり、地元の人達とも交流が多く、よく森の中のゴミ拾いのボランティアや除草作業などをやっていた。
夏休みのその日も仲間と集まってゴミ拾いや除草作業をしていた。
ある程度、時間や範囲を決めて作業をしていたのだが、いつの間にか辺りが薄暗くなって夕暮れになっていた。
森の中の夜は危険だ、野生動物が、特に熊なんかに襲われでも
思いつき短編:事故不動産
チリンッチリンッチリンッーーーー。
店内に来客用ベルの音が鳴り響いた。
二人の男女カップルが来店したようだ。 「いらっしゃいませ、今日はどんな物件をお探しで?」
上から下までピシッと決まった接客社員が対応する。
「あの、なるべく駅の近でーーーーー」
客が色々条件を述べた。
どんなに苦しい条件を言われてもニコニコして話を聞いている。
一通り聞き終わると、3件のお部屋を提示した。
思いつき短編:続毛人様
山の中は林業が盛んなためか意外にも整っており、刑事の足取りを邪魔するものがなかった。
それでも足跡を見つけるのは容易だった。
なぜなら、その足跡の部分だけ土や植物が枯れていたからだ。
どんどん、どんどん、奥へ進んでいく。
景色は変わって、人間の手が加わっていないありのままの山中へ入った。
変わらず足跡は目立つが、刑事の額には汗が滲み、疲労が出てきた。
一体どこまで続いているんだと愚痴を
思いつき短編:迷う家
それは、都市開発中の住宅地の中にポツンと立っている。
周りは土地の買い手がまだ見つからず、空き地となっていた。
いや、もしかしたらもはや買い手は見つからないかもしれない。
なにせ、その家の周辺以外はもう、家が立っているから。
それだけ曰く付きだということだ。
黒ぐろとした瓦屋根はひび割れが起きており、隙間からは雑草が生えている。
白壁も少し黄ばんでいて、つる草が壁を登るように茂る。
思いつき短編:嘘のようなウソの国
とある国の話をしよう。
その国はウソで全てが構築されている。
その名もウソの国だ。
非常にシンプルな名前である。
国そのものの情報から国民の個人情報、生活等々、あらゆる事柄が虚偽でできている。
正直なのは産まれてすぐの新生児くらいだ。
学校での教育は国と大人が、良いように言うことを聞かせるために子供達を学ばせる。
その子供達がやがて大人になる。
今度はその大人が結婚し、子を産む。
思いつき短編:サイレンの記憶
小高い山の上、海に面したこの場所で私は景色を眺めるのが好きだ。
遠くにはたくさんの漁船と白く大きな橋と本土が見える。
時折、強く吹く風が潮の香りを運んできてくれる。
警報を鳴らす小さな鉄塔に登って高い所から景観を楽しんでいる。
良い子は真似しないでほしい。
眼下には狭い地域に隙間なく建てられている家屋が太陽の強い陽射しを浴びて、反射している屋根の光をまともに見て目を細めた。
少し体制が
思いつき短編:セントエルモ号の話し
この漁村を行き来している船、セントエルモ号は唯一の遊覧船でもあり、定期客船でもあり、一般貨物船でもある。
中学生の私はその船で向こうの街にある学校へ通っている。
すごいのは大きさだけでなく、泊まれるのはもちろん、食堂も完備されている。
意外にその食堂は船を利用する人以外にも人気で特にカレーライスが一押しメニューだ。
毎週、土曜学校の帰りに昼ご飯をそこの食堂でカレーライスを食べるーーーーーー
思いつき短編:世直したい隊
どうも~、こーんばーんわっ!
不意に声をかけられた。
振り返るとそこには全身黒尽くめの二十歳だろうか、若者がそこに立っていた。
私はその時は金曜日というのもあって、同僚とはしご酒をしていたのでかなり酔っ払っていて千鳥足になりながらも自宅へ向かっていた。
そこにたまたま最近話題になっている電動キックボードがあり、それを借りて帰ることにした。
その時に例の若者に声をかけられる。
お兄さん、
思いつき短編:料理人
業務用の冷蔵庫を開ける。
中からは白い冷気がふわりと厨房へ広がった。
今日もお客様に振る舞う食材を吟味する。
太ももの肉とむね肉と腕の肉っと…。
昨日、仕入れた新鮮な肉達。
色がとても鮮やかな赤身の色。
味もこの世で人生の中で絶対に味わえない。
それを私は地表から奥深くの地下でレストランを開いている。
そう…、ずーっと奥深くに隠れた名店なのである。
それこそ一般人は来ないでしょう
思いつき短編:潜水士
今、水深300メートルの海の底に私はいる。
この時点で気がつくだろうが、私はもう生きてはいない。
幽霊と言ったほうが、適切だろう。
現に、潜水服をまとっている私は海の底で暮らしている。
いつも何をしているかと言うと、上から降ってくる死骸を掻き集めて1箇所まとめたり、仲良しの深海魚と日がな一日寝そべっている。
まぁ、いつも真っ暗なんだけど。
その代わり、光るクラゲがいる日は星空を見ている
思いつき短編:番犬の独り言
今、俺は冷たい檻の中にいる。
俺の他に何匹か一緒に収容されている。
何故俺がここにいるのか、それは人に噛み付いたからだ。
俺はただ、ご主人を守ろうとしただけだ。
大好きなご主人が危険に晒されると思った。
すると俺は即座に捕獲され、今に至る。
他の犬に聞くと、ここでは各々のある時期が来るとある部屋に入れられる。
大きい悲鳴が聞こえてくるのだが、段々小さくなってそこから帰ってきた犬はいな
思いつき短編:先輩後輩
先輩、先輩。
何だよ。
俺らここに監禁されて何年になりますぅ?
知らねーよ、いちいちそんな数えてられるか!
そーっすよねぇ。
先輩先輩。
何だよ!
俺らここに監禁されているわりには手厚くお世話されてますよね。
それが何だ。
いやぁ、なんか俺らそんなお世話されることしたかなって。
何いってんだお前、それは俺らがめーっちゃ偉いってことだよ、だから監禁されてんの!
はあー、さすが先