思いつき短編：島人

とある国の話をしよう。

その国はウソで全てが構築されている。

その名もウソの国だ。

非常にシンプルな名前である。

国そのものの情報から国民の個人情報、生活等々、あらゆる事柄が虚偽でできている。

正直なのは産まれてすぐの新生児くらいだ。

学校での教育は国と大人が、良いように言うことを聞かせるために子供達を学ばせる。

その子供達がやがて大人になる。

 今度はその大人が結婚し、子を産む。

 成長過程の中で幼稚園や保育園に入る前にウソの絵本やしつけでウソの常識を教える。

入園するとウソで元気よく遊ぶようになる。

学校へ入るとまずは国が公認している教材を学ぶことになるがもちろん全てウソ。

それを小学校から大学までの教員が教える。

生徒達が社会へ飛びたつと、ウソの職務につく。

それから人々へサービスを提供をするのだが、表示されている内容もウソで出来ている。

だからこの国の人は本当は何を食べ、何を飲み、何を身につけ、誰と会話し、誰と遊び、 誰と恋に落ち、結婚しているか分からない。

ここはそういう国だ。

国の一番の長がそのように国民を操り人形に仕立てあげた。

その国が隣国と揉めた。

世界中から批判的な目で見られ、差別され、ウソの国の人々はあまりにも自分達の国の思想を強く非難されていることに混乱している。

それもそのはずだろう。

ウソを普段から言っているのは他国からしたら異常なのだから。

ん？

なんでこんな詳しいのかって？

そりゃアンタ、俺はウソの国の出身だからな。

アンタ、俺の話をどう思う？

嘘かな…？

事実かな…？

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