お題

#私の作品紹介

作品紹介だけでなく、制作のきっかけや裏話など、なんでもかまいません。あなたのつくった作品について、noteで発表してみませんか?

人気の記事一覧

✩ 文学夜話 ✩ インスピレーションを与えてくれる息子

子供たちからインスピレーションを受けて作品を書くことが時々あるので、今日はそのお話しをしたいと思います。 小学生の娘と、2歳の息子がいます。歳が結構離れていますね。 娘から影響を受けて書いた詩もありますし、息子から影響を受けて書いたものもあります。最近は息子について書くことが多いですが、それは単にまだ2歳なので色々手間がかかるからでしょうね。娘も息子も同じぐらい大切にしています。 娘についてはまた別の機会に書くことにして、今日は息子にインスパイアされた作品をご紹介します

鼻にフォークを刺された話98

ここで小噺をひとつ・・・。 98話1枚目ですが、こちらのSNS版が現実で実際に舞能さんに言った発言内容です。 書籍だと少し変わってます。 ここは話の肝部分でもあったので本当は変更したくなかったシーンでもあったのですが

¥200

【短歌】足跡 3首

足跡が  あなたの中に  残るなら  それだけでいい  今は静かに ため息の  味にも慣れて  一人きり  恋の終わりの  苦さのみ知る 置いて行く  終わった想い  振り向いて  涙で見えず  あなたが見えず 詩集が出ました

【詩】月を殺す

窓辺には 男が切り取った月の欠片たちが 寂し気な輝きを放ちつつ 整然と並べられていた 彼は冷徹な瞳で月を刺し殺し その刃は月を切り取りながら冷たく笑う 男はしかし 欠片たちを決して売ることはない ただ窓辺に立つことが 彼の生の証 満月の夜も 新月の夜も 男は月を刺す そして彼は肥え 生きるのだ だがついにある夜 彼は月殺しのかどで 捕えられた 月を殺して生きるということは 男が予期できぬ未来の憐憫の中で 立ち往生しているという 厳しい現実 彼は自分を取り巻くその

ねこ、ぽつりと

次に、ニンゲンをやるときは 万引きなんてしなさそうな外見に 産んでもらえるといいのになあ ぽつり ひとり言のような けれど 誰かに向かって 言っているような そんなことを ねこが口にしました しばらくして また、ねこが ぽつり 口にしました 放っておいてほしい と思っているわりに あたかも、そこに人なんかいない みたいなあつかわれ方をされると 不機嫌になるよねえ キミは、ねこか? ねこは、自分で、自分に 言っていたのかもしれません でも、わたしにも 言ってくれていたの

【詩】やさしい月

秋の風に雲が揺れ 隠れた月を待つ間 寂しくなった夜を見る 流れる季節に 上手く時間に 乗ってたつもりが 少しずつ 時から私が零れ落ち 知らないふりだけ上手になる 弱さも嘘も寂しさも 全部揃って私だから 月が出たなら そのやさしさで 私を拾い集めよう

ふりかえって、夏

冷房と間違えて 暖房を入れてしまう 加えて そのことに気がつかず しばらくそのままでいる といったようなヘマを ひと夏のうちに 最低でも一回は お決まりのように やっていたのは ほかでもない マナモだった けれど 今年にかぎっては そんなことにはならず ひどく暑く つらくもあったのだけれど そういった意味においては 例年になく いい夏だったんじゃないのかなあ と 遅ればせながら 今年の夏を ふりかえってみて そのように思ったのも

あせらないように、とは思ってる

精神的におかしい おかしいのは 前からなのだけど 今日は、やけに、おかしい 体と気持ちが一致していない のではなく 気持ちと気持ちが一致してない感じ よくわからない 自分でも、何を言ってるのか よくわかっていない この先、何かおかしなことになる前に はやいとこ死んでしまいたい との思いが、こころの底にあって それは、ここ数年、変わらず強くある おいていくんじゃあないぞ ねこに言われたことがあった そんなことしないよう 言ったのだけれど 正直、考えてしまう ねこ

【詩】あの夏を連れて

空色が澄み始め 浮かぶ雲もやさしくなって 涼しそうに風が吹く きっと 過ぎた程には 過ごせなかった 夏の忘れ物が多いほど 心はカラカラ音を立て 切なさを響かせる 一人には大きすぎた夏 何時かの夏の面影が 何時かのあなたの面影が 心に顔を覗かせて カラカラとさらに響かせる あの夏を連れ また一つ夏が往く 詩集が出ました

理想に近い目玉焼き

写真が好き 人が撮ったのも 自分で撮ったのも 花の写真は 青い花が多くって 橋の写真は 青空を背景に撮って 空の写真は 毎日 撮っている 写真以上に あの人のことが 好き あの人が 撮るのが 好きだから わたしも 撮りはじめた けど あの人を 撮ったことは まだ 一度もない この前 久しぶりに つくったにしては ちゃんとしたのが できた その目玉焼きは わたしとしては だいぶ 理想に近いもので 見本として ずっと 手元に保存しておいても なんて 思ってしまうく

往く雲に 【短歌3首】

往く雲に  預けた思い  風に乗り  そっと届けと  あの人の街 明日を見て  遠いと思う  日々の中  見つけた恋が  照らす行き先 8月の  風に揺られて  見る夢は  遠くに過ぎた  初恋の人 詩集が出ました。

【短歌】夏だった頃 3首

夏の声  思い出すのは  暑さより  熱く想った  あなたの笑顔 夏の陽に  焦がれた恋の  傷跡を  抱きしめている  まだ大切に 見つめれば  はにかむ君の  眩しさに  ずっと続けと  夏に祈りて 詩集が出ました

【短歌】また明日 3首

また明日  言える今日が  いつまでも  続くと信じ  笑っていた頃 またいつか  その言葉には  意味はなく  さよなら言えず  さよならをした 元気でと  想いを残す  別れ道  涙隠して  日傘差すふり

【短歌】つま先 3首

往く夏を 見送りながら つま先は 終わった恋に 向かうばかり はにかんで  差し出された  左手の  やさしさだけは  消えることなく 愛情を  出し惜しみした  後悔も  もう遅すぎる  戻らない人 詩集が出ました

小さな望み

ひとりで暮らしている、けれど、部屋に帰ってきたら ただいま を言う ひとり暮らしではあるのだけれど、ひとりではないから マナモがカギを回し、扉を開ける、そこには、ちょこん、礼儀正しく座っている白ねこがいる マナモは、その白ねこに ただいま を言っている ドアを開け ただいま と言ったら、ちょうど、からあげをつくっているところで、わあー、と顔で言って、手を伸ばそうとする ダメよ とか 手、洗ったの? と、マナモは、言われたい 白ねこが、それらしいこ

言葉遊び | 風呂上がり

ちょっとフラフラ 風呂上がり なんかモヤモヤ 風呂の湯気 クラクラしたら クーラーへ

舞能さん先行公開分-後編-

ラフでの先行公開となります! 絵がきったなくてもいいから発売前に見たい方向け。 内容は大幅には変わらないとは思います。 前編はこちら▼ ご購入いただく際の注意事項(必読) ※「鼻にフォークを刺された話」SNS版・書籍版、ともに読んでいただいた方向け ※舞能さんとの直近でのやり取りです。 ※スピンオフ完全版にも本話は収録予定ですが切り分けて単発で先行同人販売する予定のものです ※ラフ段階での先行公開なので完成版をご希望の方は 電子書籍ストアでの発売を待っていただいた方が断然

¥300

【創作】寂れた映画館で【スナップショット】

好きなところに座って ありがとうございます いいんですか 一人だけなのに いいさ 今日が最後の日だからね 観たいものは? お任せします でも、どうせなら 絶対他で観られないような 本当に古い映画がいいですね いいね ではサイレントの 古い外国のメロドラマにしよう サイレント、ということは 音がないんですね そうさ、モノクロで、 音楽はない 大変美しく撮られた 真珠のように輝く作品だ 白黒の映画って 観たことがないんです ちょっと緊張する そんな

『結ばれない恋に約束をする』ー詩ー

結ばれない恋に約束をする おしたり ひいたり 二人の気持ちは いつも 迷っていた 本当はわかっているのに 恋に痛みをおぼえた心は 臆病になりすぎて 手を伸ばすことを躊躇う どれほどそれを求めていても 想う気持ちは 蕾の花さえ咲かせ 雨の日に虹を咲かせる 一日があっという間に終わる理由を 知っている また会える日まで 本心を言えないまま お互いの指を絡める 手を握られるよりも それは きつく 私はあなたと居る時が 幸せなのに ✴︎✴︎✴︎ #詩 #poetr

浮気、本気、お遊び

秋というのは、いったい いつから秋なんだろう 秋に限ったことではないけれど いついつから、と はっきりしてくれないとこが もどかしいような そうあってくれてて、いいような 来たなあと思ったら 戻っていったりと その押し引きが 男女のカケヒキみたいで やけに、もどかしい 恋に恋しちゃいがちな身としては そのもどかしさが たまらなかったりもする ウチのねこの機嫌がよくない 最悪の状況だ 原因は、わたしにある 浮気をした いや、浮気というか 本気というか お遊びというのか

いっぱい泣いたな

いままで流してきた涙を集めたら、学校のプールがいっぱいになるかなあ、家のお風呂くらいにはなるのかなあ、とイチゴマイマイマイが言ったから、マグカップくらいでいいんじゃない、と、わたしは言ってあげた ライカ様が、近所のねこに集合を命じてみたところ、まったく集まらなくって、こんなんじゃあ野球なんてできっこないわね、とライカ様は思ったりもしたみたいなのだけど、そもそも野球なんて、はなっからやるつもりはなかったわけだから、そもそも野球なんて、はなっからやるつもりなんてなかったじゃない

今日の短歌 5首

🍁お題『器』 丁度いい私に馴染む 器型 手にも程良く食を楽しむ 🍁お題『掴む』 掴む手に消えゆく影と 秋の風 もう戻らない君との時間 🍁お題『美しさを感じた瞬間』 夕焼けの金色の空  美しき こころ洗われこころ清らか 🍁お題『怪我』 怪我しても心の痛み  癒えぬまま 季節巡れど傷痕消えず 🍁お題『転』 コロコロと転がり続け 穴に落ち 大喝采よホールインワン

【詩】重ねた時間

夏が 往く夏になっていく 変わり始めた風の音は まだ少しよそよそしい 過ぎる時を 共に重ねたあの人を 想い出が守っている 時に時は 人を別つけれど 閉じた時間には 触れられない これ以上私から あの人がいなくなることはない 私は少し安心する 詩集が出ました

【創作】城の地下通路で【スナップショット】

すごい埃だ 本当に この先に倉庫などあるのだろうか この古地図ではそうなっている 何か魔物でも出そうではないか 見たことがないから分からない あるいは宝箱でも それはあるかもしれない これだけ古い城なのだから だが我らが探しにいくのも ある種の宝と言えるかもしれない この国の地形、鉱脈、気候といった 古代の先人が国を治めた知恵がつまった 文書だ これがあれば 多くの問題は解決する 大臣閣下に多くの策を上申できるし 戦争にはやる騎士団連中を

キッチンペーパーアート①

趣味で、低コストでつくるキャラクターフィギュアを作っています! 材料は、キッチンペーパー・木工用ボンド・セロハンテープ・お菓子の箱(又はヨーグルトのカップ)・アクリル絵の具・発電キット 制作日数: 約10日(ボンドを乾かす日数を含む) キッチンペーパーはあらかじめ細かくちぎっています。 今回は、手回し発電の要素を入れました。 発電キットなどは、東急ハンズなどで低価格で購入可能です。 今後、他のキャラクターのキッチンペーパーアート(制作過程)を公開予定です。

【短歌】雨音に 3首

雨音に  探す声は  あらねども  心に響く  あの時の曲 足音に  まだ期待する  ドアの外  通り過ぎるは  思い出の跡 静かな夜  一人の部屋の  息遣い  寂しさもまた  生きてる証 詩集が出ました

『窓』ー詩ー

春の間だけ 満開の桜を 見せることができる 雨よ降るな 風よ吹くなと 祈りながら 花柄の掛け布団に 寝てる君は まるで花の妖精のようで この切なさは どこで拭えばいいのだろう あなたが瞳を閉じても 桜の美しさは同じだけれど やりきれない心は 花びらを頬張ることも いとわない そう遠くはない いつかを 思う日々に 少しの気の迷いが あなたの寝息を耳にするたびに 襲ってくるのです ✴︎✴︎✴︎ 季節外れの詩ですが。 #詩 #poetry #lyric #私の作品紹介

【詩】秋の帰り道

響く虫の音に 宵闇が深まって そっと秋が傍に寄る 肩に揺れる 使い古しのカバンでも 来る季節が舞い込めば 明日が新しくなりそうで 今日の荷物を少しずつ 心の荷物を少しずつ 風に任せる帰り道 秋が寄り添う帰り道 詩集が出ました

『私はブランコ』ー詩ー

できることと できないこと の 境目を消したくて どれが自分なのか 見失うこともあって したいことと したくないこと の 境目はハッキリしているのに 誰かの目ばかり気にして 気づけば心はそこにはない 私はゆらゆら揺れるブランコ シーソーする相手はいない 私はゆらゆら揺れるブランコ 涙も呆れてるね ✴︎✴︎✴︎ #詩 #poetry #lyric #私の作品紹介

求む いいこと

買いもののおり あの角を曲がる いつかの雨の日 傘をさして曲がった あの角 自転車とすれ違った あの角 自転車の者がさしていた傘が わたしの傘に 強く ぶつかってきた あの角 自転車の者は 何も言わず 少しも振り返ることなく 行ってしまった あの角 まあ いいさ 許してやる 引きかえに わたしに いいことがあることを 強く 求める

【詩】夢の星

寄せる夜に佇んで 肌に響く涼しさが 過ぎる夏を惜しんでいる いつかの夏の約束は 叶える二人がいなくなり 手の届かない星になる 心の澄んだ晴れた夜は そっと瞬く想い出を 遠いここから眺めてみる 光が揺らいで見えたのは どこかであなたも見ていると 思いたかった私の涙 叶わなかった夏の夢 遠くなった夢の跡 詩集が出ました

そういった気持ちもあったりで

夜、カエルの声が きかれなくなって久しい なんて思っていたら 虫の声がやってきた 間違ってもらっちゃあ困る 苦情を言っているのではない ただ、事実を言っているだけ なんにも音がきこえてこなくって かすかに不気味が漂ってるみたいな ああいう夜もいいんだけれど 騒がしくないくらいの音が つねに耳にふれているというのも あれはあれで、いいのかな ほしいと思ってる本は だいぶ前のもの だいぶ前のものなら 古本で安く買えるか と、思っていたのだけど だいぶ前すぎて、逆に高い うー

『Boro boro』歌を作ってみた

どうもcofumiです。 過去に書いた『愛異常』という歌詞をタイトル、歌詞一部改変してsuno様を使って歌にしました😁 なんと、無料版から有料版(楽曲はクリエイターに帰属するんだそうです。)に変更し、楽曲制作楽しんでます。 なんか、自分のYouTubeチャンネルも折角あるので、試行錯誤、調べて調べてYouTubeの動画を手短なcanvaで作りました。 22時から歌詞の見直しとか始めて、気づいたら夜中の25時を回ってました。初めての動画です。笑 創作物は満足することないので、

創作大賞中間選考通過のお知らせが届きました!

久しぶりに嬉しいことがありました。 小説「愛も夢も手に入れた後」が、 note創作大賞の中間選考を通過した、 というお知らせをいただきました。 皆さまが応援してくださったおかげです。 本当にありがとうございます!

悲しい残暑

激しく動かしすぎた扇風機 ついに 吹っ飛ぶ 吹き飛んだ扇風機の破片が 足元に ちらばる ちりぢりになった破片に近より ウチのねこは 悲しそう 悲しそうなねこを見て わたしも悲しくなる 残暑が厳しいざんしょ あえて いまの この空気に ふさわしくないことを 言ってみる そう あえてね きこえているはずなのに ねこは 知らんぷり ちょっぴり 悲しくなる 扇風機の破片を ひろい集める 悲しみを ひろい集めているようで いっそう 悲しくなる 残暑が厳しいざんしょ

なんやかや

夏の疲れからか 体調やら、気持ちやらが あんまり上がっていかない それで、おかゆにしてみた おかゆにしたからといって 食べたそばから元気になっていく なんてことには、ならないわけだけど 少しは、ほっとできたのかな わたしの人生がセツナイからなのか 創作物がセツナイ内容になってしまう といった説を、ウチのねこが言っていた なら、物語がハッピーになるように わたしの人生もハッピーを目指すかなあ けど、そもそも 何をもってのハッピーなのか と、早々に、大きくつまずく 目に

お笑いを好きな人はやさしい

金曜日、有給を使って会社の先輩とKOC(キングオブコント)準決勝を観に行った。僕はかなりのお笑いオタクで、毎月なんかしらのお笑いライブを観に行ってるのだが、このKOCの準決勝だけはずっと行ったことがなかった。 毎年応募し続けて、吉本が運営しているFNAYのプレミアム会員にもなっているのに当たらない。超プレミアムチケット。 お笑いファンの間では、準決勝が事実上の決勝戦と認識されている。35組のうち決勝に行けるのはたった10組。決勝に行くために芸人たちはこの準決勝に今年出来た

最上の贅沢 手の届かない場所

山で育った いまはない山で育った 山がなくなったわけではない 育ったとこが なくなった 山というか、山の奥だ ずっと、ずっと 山の奥だ ダムの下だ ダムの水の下だ たぶん そうなんだ 家も 学校も そのほか いろいろと 学校の生徒は わたし、ひとりだった ひとりで学校に行って ひとりで家に帰った 学校の帰り 木の実をとって 食べたりした 川で魚をとって 焼いて 食べたりもした それが、わたしの おやつだった となりの家なんてない 近所なんてものもない 幼馴染

『不』ー詩ー

太陽を突き破るほどの 嘆きであっても 声に出さずにいれば 晴々とした空よ 私は砂漠に虹を 探しているのかもしれない ✴︎✴︎✴︎ この画像を選んで全体を眺める。 不思議な感覚になりました。 #詩 #poetry #lyric #私の作品紹介

強い根拠はないのだけれど

気持ちだけが、どっかに 行っちゃってるみたい かといって、ふわふわと 軽々しいものではなくって どんよりと、重い感じが やけに、居心地よくない   居心地よくない   なんて言い方   するのかなあ   意味は通じるか   まあ、いっかな 外でごはんを食べること ほとんどない、お弁当を 買ってくるとかも あんまりない、自分が 食べるものは自分で つくりたい、それがいい ような気がしている 肝要である部分は ような気がしている というところ それがあるべき姿だ なんて、重く

信じる人は疑い多き人

仮に完全に正しいことだと思うなら わざわざ「信じる」なんて 言う必要はない。 目の前に壁が見えるなら 壁はそこにあり いちいち自らの身体をぶつけて 痛い思いをして 「ここに壁があります」なんて 言う必要はない。 「私は神を信じます」と言う者は 神がいることに疑いをもっているから いちいち信仰の告白を しなければならない。 神がいることに対して 心の底から何の疑いをもたない者は いちいち「神を信じます」とか 「神を信じます」という者と 教団をつくり群れる必要はない。 誰

『そんな朝』ー詩ー

部屋のあちこちに置いてある 小さなゴミ袋を集めて 一つにまとめる いつかのプリンは 余裕のない自分へのご褒美 使い慣れたボールペンは 私の日記の秘密を知っている 捨てるものが無くなれば 淹れたてのコーヒーを飲むように 穏やかな時間が来ることを 約束されているのだろうか 捨てきれないものがあるとしたら 長過ぎたグズな恋。 抽出した後のコーヒーは いつか再利用できる そのいつかはいつも来ない 捨ててしまえばいい  ー捨ててしまおう。 袋をきつく結ぶ 何度も かたくかたく 決

【短歌】薄れゆく 3首

薄れゆく  とどめられない  残り香に  夢の中さえ  眠れぬ淋しさ 想えども  聞こえる声は  鳥ばかり  呼ばれてみたい  もう一度だけ 遠い日の  心ときめく  残り火に  良い恋だったと  涙弾ませ 詩集が出ました

『廃墟』ー詩ー

いつか、そう いつか そう思いながら 薄い日々を重ねている まるで色を持たない記憶は 使い古したハンカチのように 綻びかけて 丁寧に皺をのばし 陰干しをする これ以上色が褪せないように 窓から入る風は 心地よく体を吹き抜けてゆく ✴︎✴︎✴︎ X投稿 サラリと書きながら頭は時々立ち止まりました。 #詩 #poetry #lyric #私の作品紹介

【詩】夢のあとさき

〜ルビを振り、再投稿です〜 ひとしずくの中に 果てなき夢を見る まどろみに堕ちてゆく 儚く暗き夢の底で 自ら鳴らす鐘の音が 永遠の涙をわたしに保証した ざわめきに溶けゆく煙と 黒白の奏に戯れて わたしはしばし 悪魔的な動揺や 虚飾の暗算から解き放たれ 甘美な嘆息の中で 安堵の上に曖昧なほおづえをついていた 夢のあとさきに漂う このひとしずくとわたしは 美しい合目的性によって結ばれ その固き絆が ほんの少しわたしを救ってくれる

フレンチコネクション

銀行で、順番を待ちながら、思う ドーナツ食べたいなあ 銀行の帰り、ドーナツ屋さん行ってみるかなあ でも、遠まわりになっちゃうなあ わたしが、いま、まばたきを一度するあいだに この銀行が、ドーナツ屋さんになっちゃったら いいんだよなあ 全員、動くんじゃねーぞ キャー 銀行強盗だ でも、この銀行は、わたしのまばたきで ドーナツ屋さんになっちゃってる だから、銀行強盗じゃなくって ドーナツ屋さん強盗だ そのドーナツ屋さん強盗は 大きなバッグにたくさんのドーナツをつめこん

【創作】ダリの贋作目録【幻影堂書店にて】

※これまでの『幻影堂書店にて』 「偽物の方が真実より真実らしい」 ノアは、静かにそう言うと、紅茶のカップを傾けて、帳面をめくった。光一は、今日は店の手伝いとして、椅子に腰かけてレコードを磨いていた。ノアは光一に問いかけた。 「君はどう思う」 「あまり、そうは思わないな。偽の宝石は本物の宝石にはなれない。昔、見たことがあるんだけど、輝きが全く違う。本物の宝石は、夜に光を当てると、本当に闇の中で燃えているように感じるんだ」 ノアは、一瞬ほうけたよう

【短歌】文字の海 3首

文字の海  私が息を  出来たのは  あなたの紡ぐ  詩の中だけ 触れもせず  過ぎた想いの  行き先は  心の中の  特等席に 散らすのは  涙の数と  さよならと  思い出だけは  華やかであれ 詩集が出ました 素敵なレビュー,コメントも届いています 感謝感謝です

山とともに

山奥で暮らす魔法つかいは 今日も季節の監視に余念がない 季節の監視をしてるもんだから 山奥で暮らす魔法つかいが 季節を決めているのだと 思っている者も多くいるようだ けれど、そういったことではない 季節を決めているのは、季節自身 山奥で暮らす魔法つかいは、あくまで 季節の監視をしているにすぎない 次の季節がやってきたと分かると 山の草木や動物たちに、いち早く そのことを教えてやる 山の草木や動物たちは ヨソオイを新たにし 新しい季節に合わせ 新しい生活へとうつっていく

夏のしっぽ

夜、歩くの 久しぶりかな 夜だから、あたり前に 暗いわけだけど そのわりに 明るい気もする はっ、と顔をあげてみると 月がきれいによく見える そりゃあ明るいわけだあ すぐ納得しちゃう やっぱり、わたしって 単純にできてるんだろう まだ、しばらく 暑さが続くのかな 今年のしっぽは 長いのかな 短いのかな 長いのでも 短いのでも もうちょっと ねこのしっぽみたいに かわいげがあったら はやいとこすぎてくれ、なんて 思われないんじゃあないのかなあ 夏は、夏なりに 与え