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ズタボロでも歩きたかった、焦げた匂いのする街。

今日も目が覚めると昨日と同じように机に座っていた。

僕の夏休みは一体どこに?

自室には砕け散った思い出が所狭しと広がっていたのを思い出しながら一日を終える。今日も疲れた。こんな毎日じゃ思い出に浸る暇もない。

僕は13時を迎えると一番に地獄から抜け出しては自転車にまたがっては坂道を転がる。今の夏の風は思いの外気持ちが良い。しっかり安全運転で家に向かう。時折すれ違う子供想い馳せてしまう。僕も、無邪気に夏を謳歌していた時期があったなと。

信号が危険を示すと僕は街中に悲鳴を響かせて立ち止まる。
目の前には家があるというのに。悲しい。頬に水の結晶が伝う。

そして、僕は意味がないと分かっていても足を踏み鳴らす。
すると、空気を読んだかのように信号は申し訳なさそうに僕を通してくれた。そして、僕は家まで残り僅かな欲望で足を走らせた。

家に着くとガシャンと音を立てて奴を乗り捨ててはドアを開き部屋に籠りヘッドホンを付ける。

僕は流石に光を取り込まないといけない気がして窓に向けてふらふらと歩くき暗い窓を叩き割って街を拝んだ。あの日、僕が精神的に参ってしまった時に見た街よりも少しだけ僕に寄り添ってくれる、そんな気がした。
まったくの根拠はないけれど。

僕はエアコンのスイッチを手に取りボタンを押した。

ピッ

良い街だ。明日の夜は散歩に行こうかな。

なんだろな、どうしてかな、僕はひどく夏が恋しく思えた。

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