マガジンのカバー画像

水木三甫の心葉♡♧詩集

344
心葉♡♧詩集では、心に感じたままを言葉に置き換えて表現した詩を掲載します。 まだまだ表現力不足で、うまく伝えられない未熟な僕ですが、進化していく姿を追いかけていただき、感想などを… もっと読む
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

人生ゲーム(詩)

人生ゲーム(詩)

体中がムズムズすると思ったら
突然細胞分裂が始まった
僕の体の一部が二つに割れて
もう一人の僕が組み立てられていく
一瞬頭が真っ白になり
気がつくと僕は僕の隣に立っていた
クローン人間を作るのは
倫理的にいけないことになっていたはずだが
自分の意志とは関係なく
もう一人の僕が出来てしまったのだから
僕が責任を負わなくてはならないとしたら
それは道徳的に問題のはずだ
とにかく僕が二人存在してはいけな

もっとみる
冬の朝(詩)

冬の朝(詩)

窓から射しこむ太陽の光が
私の胸のあたりを照らしている
凍っていた体のその部分だけが熱を帯びる
私の体はその熱に向かって収斂されていく
まるで外で遊んでいた猫たちが
競って炬燵の中へ飛び込むように
私は胸の中から指を出して
テレビのリモコンをオンにする
胸の中から目の高さまで頭を出す
昨夜起きた殺人事件について
犯罪心理学者が犯人や動機について推測を述べている
私はテレビをオフにして風呂に入る

もっとみる
イチョウ並木(詩)

イチョウ並木(詩)

冬の風に手を引かれて
黄葉が宙を流されていく
引力に耐えきれなくなった黄葉が
地面に積み重なっていく
銀杏の木から旅立った黄葉を
待っているのは死のみ
銀杏の木にとって
光合成ができない黄葉はただの排泄物
朽ち果てようが気にもしない
銀杏の木はまた来年
たくさんの緑葉で着飾るだろう

片思い(詩)

片思い(詩)

あなたの視線は
いつも私の頭上を通りすぎる
あなたの心が
私の心から遠く引き離されていくように
私はいつもあなたの心と視線を追いかけるが
ある距離に迫ると立ち止まってしまう
背の低い女性は嫌いですか
おとなしい女性は嫌いですか
昨夜胸の奥にしまった言葉たちは
いつも唇に行き着くまえにUターンしてしまう
私の恋は片思い
あなたの胸には届かない

大丈夫(詩)

大丈夫(詩)

悲しみを流し去った君の少し腫れた瞼が
桃色に染まっているのを見て
僕は思わずその瞼に唇をあてがう
君は最初イヤイヤをした後
僕の唇を素直に受け入れた
「ごめんね」
君は聞こえるか聞こえないかわからないくらいの声で言う
僕はまだ潤んでいる君の瞳から
涙を舌で掬いとる
やや塩からいその一滴で
僕は君を愛おしく思う
君を力いっぱい抱きしめると
君の体重が僕に身をまかせる
柔らかい時間が流れた後
君はやっ

もっとみる
宝物(詩)

宝物(詩)

砂時計の中でしか満たされない時間のように
窮屈なこの世界で
君は健気に生きている

ガチャガチャの中のカプセルに収まった商品のように
身動きできないこの世界で
君は必死に生きている

絆という名の校舎に詰め込まれたように
息苦しいこの世界で
君は苦しみながら生きている

それは君がまだ大人になりきれていないから
でも君には世間に溢れているような大人になってほしくない
君の辛さの元にある子ども心を捨

もっとみる
季節は流れて(詩)

季節は流れて(詩)

君の触れた花びらが散ってしまったよ
二人の愛が散ったように
季節が来たからしかたないね
僕たち二人の季節も終わりだったんだね
来年君は誰と花を咲かせるのかな
僕はたぶん蕾にもなれないよ
このまま枯れたままでもいいから
君にはきれいに咲いてほしいな

最後の花火(詩)

最後の花火(詩)

かすれてゆく景色の中で
僕だけが鮮明になってゆく
僕を見たくない僕が
僕のことしか見えないなんて
僕はどんな罪を犯したの?
どうして償わなきゃいけないの?
過去に戻ってやり直したいのは
神様じゃなくて僕のほうさ
過去の罪を未来まで引きずらなきゃいけないの?
今の変わった僕をもっと見てくれないの?
もしそうならば
自分が大嫌いだった昔のままで
化石にならなきゃいけないよね
そんな未来は嫌だから
今の

もっとみる
色づく世界に(詩)

色づく世界に(詩)

うるさすぎるほど静かな夜に
眠りたくないほど眠りたいのに
天井を見つめたまま
僕は中途半端な世界にいる

白か黒か決められないまま
長い時を過ごし
白か黒かわからないままに年老いた
赤や青や黄色もあったはずなのに
僕には白と黒しか見えなかった

もっと若いときに虹を見ていたならば
もっと前向きに生きられたのかもしれないが
あの頃は白と黒しか気づかなかったのは
まだ僕が若かったからなのか
まわりのみ

もっとみる
ハッピーエンド(詩)

ハッピーエンド(詩)

いくら物語がハッピーエンドで終わったとしても
物語のその先までハッピーエンドだとは限らない
幸せの次には不幸がやってくる
世の中ってそんなもんじゃないかな

観覧車(詩)

観覧車(詩)

観覧車の大きな輪を指差しながら
君はこれに乗りたいと言った
切符を買って球体の中に二人は入る
僕と君は円周となって昇っていく
二人は空に近づき
小さくなった町を見おろす
神様から見たら人間なんてちっぽけなものねと君は言った
せっかく神様に近づいたのだからお祈りをしようと僕は言った
一番高いところに着いたとき
二人はさらに上を見つめて
お祈りをした
何をお祈りしたかは二人とも内緒にした
僕は君の祈り

もっとみる
風見鶏(詩)

風見鶏(詩)

いつも風の来る方向を見つめ
風を正面から受け止めて
風の行方を追うことはない

いつも過去から現在までを見つめ
現在が過去に変わっていくのを見つめ
決して未来の行方を追うことはない

君の名は風見鶏

すれ違い橋(詩)

すれ違い橋(詩)

その橋で待ち合わせると出会えない
そんな迷信が今でも信じられている

その橋で恋を語り合うと結ばれない
そんな迷信が今でも信じられている

その名はすれ違い橋
いつ名付けられたかは記録にないという
すでに古くなったため
進入禁止の看板が立てられている
誰も通ることのないすれ違い橋

橋が壊されてしまえば
迷信も橋の名前とともに忘れ去られるだろう
来年には現代的な橋が出来るという
その橋で待ち合わせ

もっとみる
本を読む(詩)

本を読む(詩)

本が逆さまだよと友だちに言われ
僕は逆立ちすることにした
でも頭に血が上って
本を読むどころではなくなった
そこで僕は逆立ちをやめ
立って本を読むことにした
でもやはり本を読めなかった
なぜならその本はスペイン語で書かれていて
僕はスペイン語をまったく理解していなかったから
僕は選ぶ本を間違えたのか

結局僕はスペイン語の辞書を買い
2年かけてその本を読んだ
そして今ではスペイン人の妻と3人の子供

もっとみる