![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125565765/rectangle_large_type_2_d52e4627fd7ad6edf0d2b782f6d85a61.png?width=1200)
Photo by
naofujisawa
大丈夫(詩)
悲しみを流し去った君の少し腫れた瞼が
桃色に染まっているのを見て
僕は思わずその瞼に唇をあてがう
君は最初イヤイヤをした後
僕の唇を素直に受け入れた
「ごめんね」
君は聞こえるか聞こえないかわからないくらいの声で言う
僕はまだ潤んでいる君の瞳から
涙を舌で掬いとる
やや塩からいその一滴で
僕は君を愛おしく思う
君を力いっぱい抱きしめると
君の体重が僕に身をまかせる
柔らかい時間が流れた後
君はやっと笑顔を取り戻す
「ごめんね」
今度は澄んだ声で
君は僕の耳元に唇で触れながら言う
「大丈夫?」
「大丈夫」
「ほんとに大丈夫?」
「ほんとに大丈夫」
君の笑顔に引きずられて
僕は笑い声をあげる
君の笑い声がそれに重なり合う
君はひとつ悲しみを乗り越えた分
大人に見えた
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?