小舟

詩の近くにいる。少し働いてあとは一人で家にいるか旅先にいる。散歩と本と猫が好き。意外に…

小舟

詩の近くにいる。少し働いてあとは一人で家にいるか旅先にいる。散歩と本と猫が好き。意外にゲームもすき。 実は人生だいぶ後半。

マガジン

  • 小説

  • 詩、言葉たち。

    詩作品をここにまとめようかと思います。 以前の作品、未発表作品など。 書きかけの言葉たちをすくいあげて形にすることができれば。

記事一覧

お弁当事件

ちょっと早めに東京に戻ってきて10日が過ぎた。やっぱり一人暮らしのこの部屋が落ち着く。 今日は長女が来てたくさんお喋りして楽しかった。 娘がくる時はたいてい簡単でも…

小舟
3日前
2

雑木林の中にある船

以前、夫が連れて行ってくれた鰻屋さんが 美味しかったので今年も予約して貰った。 伊豆高原、洗濯船Ⅱ。 林道を走っていると、この看板と白い木の船が見えるけどなんだろ…

小舟
3週間前
5

いつかのメリークリスマス

3日程東京に戻って用事を済ませてから、 また高原の家に来た。 夫はやはり自分の家が良い、東京は暑いし部屋は狭いし3日が限度だと言う。 ただ、今回初めて私のマンション…

小舟
3週間前
1

移動手段について

さすがに高原の家も暑い。 強い日差しはしっかりと森を抜けて わたしのいる二階の部屋を覆っている。 窓から入るはずの涼風はどこかへ行ってしまったようだ。 諦めてクーラ…

小舟
1か月前
2

別居生活6年め

高原の家に来ている。 前回、当日まで着ていたパジャマや普段着を洗濯して干してから東京に帰った。 それらはきちんとたたまれてわたしの部屋に置いてあった。 使用した寝…

小舟
1か月前
3

不在者投票

日曜日の七夕都知事選の不在者投票をしてきた。 長く生きてきてこれまで棄権したことは殆どないと思う。 長男を出産した時も病院で不在者投票をした。 普段それほど政治に…

小舟
1か月前
1

これ以上何を望む 3

両方手放さないということは、いずれどちらか或いは両方を失う事になるのだろうと思っていた。 ふと、道を踏み外した時から「何がおきるか分からない、何があっても受け入…

小舟
1か月前
7

ゲームするおばあさん(私)

スマホでするゲームが好きだ。 ちょっとした空き時間、本を読むかゲームをするかその時の気分で考える。 写真の「モニュメント.バレー」というゲームがとても好きだった。…

小舟
1か月前
6

50年目の桜桃忌

昨日6月19日は太宰治の命日、桜桃忌だった。 三鷹市に生まれ育ったわたしは、太宰の墓がある禅林寺もすぐに行けた。若い頃、考え事をしたり何となく寂しいけどべつに誰かと…

小舟
2か月前
5

小説家になるという夢

東京に帰ってきた。 美容院に行ったり歯医者に行ったり 習い事に行ったりしている。 帰京する前に飲料や米等重い物やパンや卵などすぐに欲しいものはネットスーパーで注文…

小舟
2か月前
9

雨上がり、鹿にあう。

昨夜から降り続いた雨が、今朝は濃い霧になって大室山を覆っている。 窓をあけるとひゅーっと冷たい風が入ってきてからだの隅々まで新緑がゆきわたる。 いまがいちばんいい…

小舟
2か月前
2

びわの話(3)と小さな木の椅子

びわを「自分で」買った。 夫のところにいると会計は夫なのだけれど 嗜好品は自分で買う。飲料やお菓子など。 それで今日、農産物市場みたいな所に行ったら小さなびわがあ…

小舟
2か月前
2

山が見える窓

静岡県に来ている。夫の家は丘の上にある。 2階の窓から大室山が見える。 お椀を伏せたようなまるいフォルムに心が和み、ここに到着するとすぐに2階に行って窓を開ける。 …

小舟
2か月前
2

びわはやさしい木の実だから 2

前回、創作大賞2024 エッセイ部門に応募するという試みで「枇杷はやさしい木の実だから」という長ーいブログを書いた。 常々考えていた事をどうにか文章にしたいという気持…

小舟
2か月前
7

枇杷はやさしい木の実だから

 枇杷(びわ)を買って貰った。 今が旬の果物。さくらんぼもメロンも店頭には並んでいる。今しか買えないから枇杷が欲しい。でも年金生活の慎ましい暮らし。少しでも安い物…

小舟
2か月前
11

いろんな理由がある

訳あって、再びここにきて自分が書いたものを読んだ、全部。すっかり忘れていたが下書きにして未公開のものも五つあった。 そのひとつは昨年、転倒して左肩を剥離骨折した…

小舟
2か月前
3
お弁当事件

お弁当事件

ちょっと早めに東京に戻ってきて10日が過ぎた。やっぱり一人暮らしのこの部屋が落ち着く。
今日は長女が来てたくさんお喋りして楽しかった。
娘がくる時はたいてい簡単でも好みのランチを作っておく。「ママランチのプレート」は
プチデザートも添えて完成する。
闘病中の長女には食事制限がある。
だから少しは気をつかうが慣れているので
タイヘンではないし、普段パパッと簡単に
済ませてしまう事が多いのでたまに、ま

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雑木林の中にある船

雑木林の中にある船

以前、夫が連れて行ってくれた鰻屋さんが
美味しかったので今年も予約して貰った。
伊豆高原、洗濯船Ⅱ。

林道を走っていると、この看板と白い木の船が見えるけどなんだろう?と思っていた。

調べたところ名古屋に本店がある鰻屋さんで「せんだくせん」と読む。完全予約制。
入店するとすぐにカウンターにおばんざいがたくさん並んでいてそこから三品選ぶ。

それから鰻巻きと和風サラダがセットになっていてメインはひ

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いつかのメリークリスマス

いつかのメリークリスマス

3日程東京に戻って用事を済ませてから、
また高原の家に来た。
夫はやはり自分の家が良い、東京は暑いし部屋は狭いし3日が限度だと言う。
ただ、今回初めて私のマンションから最寄り駅までバスで行き「ここはすごく便利で良い所だ!」と実感したらしい。
小さなマンションだけどエレベーターがある。目の前にコンビニがある。
徒歩1分にバス停がありバスがすぐ来る。
最寄り駅までバスで5分。
マンション1階に医院があ

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移動手段について

移動手段について

さすがに高原の家も暑い。
強い日差しはしっかりと森を抜けて
わたしのいる二階の部屋を覆っている。
窓から入るはずの涼風はどこかへ行ってしまったようだ。
諦めてクーラーをつけた。

そして車内は冷房が効いてるから大丈夫と言われたので先日、夫とドライブにでかけた。
と言っても行く先を考えるのはわたしで、
夫にはとくに目的もない。
地図を広げたりスマホ検索をして行く先を考えるのはいつでもどこでも、もう何

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別居生活6年め

別居生活6年め

高原の家に来ている。
前回、当日まで着ていたパジャマや普段着を洗濯して干してから東京に帰った。
それらはきちんとたたまれてわたしの部屋に置いてあった。
使用した寝具類もコインランドリーを経てちゃんと収納してある。
わたしはベッドをセットして洗濯された山から衣類を引っ張り出して着替えた。

東京を出る時から左肩が少し痛かった。
いつもの肩こりかと思っていたがだんだんひどくなってきて首筋が痛くて「寝違

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不在者投票

不在者投票

日曜日の七夕都知事選の不在者投票をしてきた。
長く生きてきてこれまで棄権したことは殆どないと思う。
長男を出産した時も病院で不在者投票をした。
普段それほど政治に関心がある訳でもないし、特定のどこかに所属していたり支持したりはしていない。
ただ、女性の参政権は長い歴史の中で先達者達が必死になって勝ち取ってきたものである。その事を考えると棄権するのはもったいないと思う。
何らかの意思表示をする。

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これ以上何を望む 3

これ以上何を望む 3

両方手放さないということは、いずれどちらか或いは両方を失う事になるのだろうと思っていた。
ふと、道を踏み外した時から「何がおきるか分からない、何があっても受け入れよう」と一生懸命考えた。それを「覚悟」とよんでいいのならわたしはその「覚悟」のあやふやさ、先の見えないもどかしさ、姿のみえない怖さにいつも怯えていた、いや、今も慄いているといえる。
これ以上何を望むと自問しながら毎日が曇り空なのはたぶんそ

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ゲームするおばあさん(私)

ゲームするおばあさん(私)

スマホでするゲームが好きだ。
ちょっとした空き時間、本を読むかゲームをするかその時の気分で考える。
写真の「モニュメント.バレー」というゲームがとても好きだった。エッシャーの騙し絵のような不思議な世界を小さな女の子を導きながら進む。
各章ごとに物語があり癒される音楽がある。
複雑な建物があり雨に打たれる海には小舟がある。辿り着くためのドアがあり目指す階段を見つけたら駆け上る。
幻想的な脱出ゲームだ

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50年目の桜桃忌

50年目の桜桃忌

昨日6月19日は太宰治の命日、桜桃忌だった。
三鷹市に生まれ育ったわたしは、太宰の墓がある禅林寺もすぐに行けた。若い頃、考え事をしたり何となく寂しいけどべつに誰かと会いたい訳じゃない時「太宰さんのところに行こう」と思った。
太宰治と向かい合って森鴎外の墓がある。
森林太郎と太字で彫ってある。

墓のそばに座って、何となくぼんやりしたり煙草を吸ったりしていた。
ほとんど誰にも会わなかったが、一度だけ

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小説家になるという夢

小説家になるという夢

東京に帰ってきた。
美容院に行ったり歯医者に行ったり
習い事に行ったりしている。
帰京する前に飲料や米等重い物やパンや卵などすぐに欲しいものはネットスーパーで注文しておいた。
それから図書館に予約してあった本が
受け取り期限ギリギリだったので慌てて借りに行った。
「私たちの金曜日」というアンソロジーと
林真理子さんの「奇跡」。

本といえば先日、若竹千佐子さんが出演しているテレビをみた。芥川賞受賞

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雨上がり、鹿にあう。

雨上がり、鹿にあう。

昨夜から降り続いた雨が、今朝は濃い霧になって大室山を覆っている。
窓をあけるとひゅーっと冷たい風が入ってきてからだの隅々まで新緑がゆきわたる。
いまがいちばんいい季節なのかなと思う。

ここは高原の別荘地なので、散歩をしている人や犬を連れている人たちは皆「こんにちは」と挨拶して行き交う。
でもほとんど会わない。夏になるとそれなりに車や人も増えるが、居住者は少ないのかもしれない。

一昨年、散歩をし

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びわの話(3)と小さな木の椅子

びわの話(3)と小さな木の椅子

びわを「自分で」買った。
夫のところにいると会計は夫なのだけれど
嗜好品は自分で買う。飲料やお菓子など。
それで今日、農産物市場みたいな所に行ったら小さなびわがあった。たくさん入って180円!喜んでそれを買おうとしたら夫にこれにしなよ、と勧められてそれよりちょっとだけ粒が大きい250円のにした。

スーパーで買えばまるっと美しい枇杷は1パック5個入って500円位はする。
小さくても美味しければ安い

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山が見える窓

山が見える窓

静岡県に来ている。夫の家は丘の上にある。
2階の窓から大室山が見える。
お椀を伏せたようなまるいフォルムに心が和み、ここに到着するとすぐに2階に行って窓を開ける。
「やあ、きたね」と言ってくれるようだ。

朝も午後も夕方も山を見ている。
とても気持ちの良い風が入ってくるので夏でもあまり冷房をつけない。

その大室山に今日はじめて登った。
朝「今日は行くよ~」と遠くの山に声をかけた。
車で15分も走

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びわはやさしい木の実だから 2

びわはやさしい木の実だから 2

前回、創作大賞2024 エッセイ部門に応募するという試みで「枇杷はやさしい木の実だから」という長ーいブログを書いた。
常々考えていた事をどうにか文章にしたいという気持ちと、シッカリ自分の気持ちに向き合おうとするスタンスでどうしても、端折るような事が出来なかった。

 内容が内容なだけに、読者に不快感を与えないように、けれど事実を正直に書こうとしたらずいぶん長くなり、書きながらどうしようかと思ったり

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枇杷はやさしい木の実だから

枇杷はやさしい木の実だから

 枇杷(びわ)を買って貰った。
今が旬の果物。さくらんぼもメロンも店頭には並んでいる。今しか買えないから枇杷が欲しい。でも年金生活の慎ましい暮らし。少しでも安い物をカゴに入れる身なれば果物は贅沢品。キズ物特価品の棚は必ずチェックする。
 そして今日、わたしは東京を離れ地方にきた。別居中の夫がマイカーで迎えにきてくれた。「卒婚」と流行りの台詞にうまく夫をのせて東京とS県で別居するようになり6年が経っ

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いろんな理由がある

訳あって、再びここにきて自分が書いたものを読んだ、全部。すっかり忘れていたが下書きにして未公開のものも五つあった。
そのひとつは昨年、転倒して左肩を剥離骨折した時に書いたもの。何故公開していないのかと読みながら考えた。
気持ちが未整理?いや、未整理のままいつも多分書いている。書きながら考えて、そのままアップしてしまう。
完成形でなくて良い。
でも、下書きのままなのは、迷う気持ちをそのまま公開するこ

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