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#夢
【夢日記】不完全な創世記
かつて彼の双子の兄に絞首台に送られた彼は、稲穂が黄色い音を互いに擦り付けている間、鈍い笑い声をあげていた。彼が笑えば笑うほど、ピアノを聴かせようとしていた彼の手は冷たくなって、関節と関節との間が硬くなっていく。その目はガラス玉のようで、そこに映る生体というのもはどこか機械じみているのであったが、このようにアイツの冷血で楽しそうな様子は、僕にとっては嬉しいものだった。
彼は依然として音楽が好きだ
【夢日記】吸血鬼の料理人
ある少女が線路沿いに住んでいた。鍵もろくにかけずに一人で暮らしており、彼女の家から線路をまたいだ反対側に僕も住んでいた。彼女には名前がなかったから、僕は彼女のことを「君」と呼ぶしかなかったが、彼女はとても美しく、声をほとんど聞いたことがないほど彼女は寡黙だった。度々彼女は僕の家にやってきたが、僕の家にはベットしかなく質素なもので、特にやることもなく、話すこともなく、何もない空間を彼女がただ埋めて
もっとみる【夢日記】窓のレストラン
僕は八王子駅のホームで、リューヌと肩を寄せ合い腕を組みながら、僕はかつて行ったこともないどこか遠くの地へ向かう特急列車に乗り込んだ。見知らぬ地に彼女と行けるからだっただろうか、僕はいつもより気分が高まり、彼女の背丈が少し小さいように思えた。リューヌは、黒いドレスの上にダウンを着ており、右手にはエナメル質の白の紙袋を持っていたが、列車に乗り込むと、彼女はダウンと手荷物を預けたようだった。彼女のドレ
もっとみる【夢日記】邪魔なラテ
どこか遠くまで、出かけることになった。駅でナジェーテと待ち合わせて、駅の南のロータリーを歩こうとした。俺は彼女がちょっと疲れているようだったから、他愛もない話をしながらさりげなく彼女の手を甲の方から優しく握った。彼女は特に反応することなく話し続けるから、俺は彼女の手を握り続けた。彼女の小さくて、少し冷たい手が、細長くこんなにも綺麗な指が小刻みに震えていた。この震源がどんなものだとしても必ず駆逐し
もっとみる【夢日記】アスファルトに願いを
僕は真っ黒なビルにいた。そのビルは高校の友達のウーリのマンションによく似て、20階以上あるマンションだった。おそらく4階か5階くらいには、エントランスがあり、沢山の人がいた。たぶんそこの住人だったのだろうか。その人たちはロビーのドアとエレベーターを行き来していた。
僕はそれを遠目で見ていた。そして僕は手にしていたナイフで無感動にその人たちを次々に刺していった。例えるなら、まさに呼吸のようで、意
【夢日記】水に流されて
勝田駅の東口を出て少し北上したところに位置するダイソーの前のベンチに僕は腰掛けていた。時刻は18時前後で周りは薄暗く、店の上部に付けられている明るすぎる照明に、蛾や蝿が集っている。コンビニでは見たこともないような飲み物を片手に、同級生のシャーフを待っていた。僕が光で照らされた地面と暗闇の境界を見つめていると、彼女はその足から徐々に光の元に姿を露わにし、ちょうど首元近くまで見えた時、彼女は僕の手を
もっとみる【夢日記】エロスの有明
エロスはそこにあった。僕はそれをリューヌ、君へ押し付けた。だが、君の笑顔を見た時、僕の中に自我理想が生じたのだ。君に僕のすべてを吸い出される傍ら、もちろんこのエロスも吸い出され、その理想は蓄積されていた。
でもあの時。そう、ちょうど君が低俗的で、愚かで、冷血で、卑しく、不遜で、傲慢で、醜く、気取り、悲惨であることを知った時、死への階段を下っていたエロスは、一気に駆け上り、その勢いのまま天まで
【夢日記】銃口の先の透光
僕は通気口の下に隠れていた。通気口の外は明るく、沢山の人がいるようだった。よく見てみれば、サークルのみんなが何やら話し込んでいる。話している人達みんなを僕は知っていたが、僕は手にしていた拳銃で何人も撃ち殺した。何も感じず、考えず、ただひたすらにトリガーを引いたのだ。だが不思議なことに、彼らは血を出している様子もなく、銃弾が当たるとバタバタと倒れ、気にもせずに話を続けている。僕は何やら寂しい気持ち
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