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【夢日記】邪魔なラテ

 どこか遠くまで、出かけることになった。駅でナジェーテと待ち合わせて、駅の南のロータリーを歩こうとした。俺は彼女がちょっと疲れているようだったから、他愛もない話をしながらさりげなく彼女の手を甲の方から優しく握った。彼女は特に反応することなく話し続けるから、俺は彼女の手を握り続けた。彼女の小さくて、少し冷たい手が、細長くこんなにも綺麗な指が小刻みに震えていた。この震源がどんなものだとしても必ず駆逐してやると決心し、だが一方で憤った熱で血を沸かせ温めた手で、ひとまず彼女のその震えを止めようと、赤ん坊を触るように手を撫でた。

 ロータリーを進むと、「ロマ」という名前のカフェが右手に見えてきた。俺は以前一度来たことがあり、久しぶりに来るこの店の中を覗いたら、本を読む人や、喋る人がちらほらいるようだった。「この店は和菓子が美味しいんだよね」と彼女に言いながら、暖かい抹茶ラテを2つ購入して店を出た。彼女が先に店を出ると、僕は左手にあったラテを手渡し、その代わりにナジェーテの手を借りた。だが彼女があまりにもラテを飲み辛そうなので、僕は車道側の方に回り、また彼女の手を取った。

 僕らはそのままもっと南まで歩いていくと、ガード下があり、その暗くじめじめしたところを抜けると、潮風の匂いが光とともにやってきた。すると彼女の震えは止まり、彼女の手にはラテの温もりがあった。僕はその温もりを冷めないように、逃さないようにそっと手を握り、それだけで幸せだったが、僕はラテが本当に邪魔だと心から悲しかった。

2021年8月26日


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