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#269 人は「結論に飛びつくマシーン!?」

問題がある。すぐに答えが欲しい、と思うのは普通の感覚でしょう。でも目の前の「答え」に飛びつくことが、本当は問題を解決から遠ざけてしまうこともあるかも、というメモ。


1、人は「結論に飛びつくマシーン」!?

仕事で何か問題が発生した。
あるいは、何かを決めるための会議を行なっている。
こうした場合、とにかく早く「答え」や「結論」が欲しい、と思います。

アメリカの認知心理学者、行動経済学者のダニエル・カーネマンは、人は「結論に飛びつくマシーン」であると述べています。問題があれば、「答え」や「結論」が早く欲しいと思うのは万国共通なのでしょう。

ですから、こうした「何かを決めなければならない」という局面でビシッと答えを出して方向性を導いてくれるリーダーは頼りになるもの、でした。

そう、過去形です。

もう、過去の経験は、現在の状況に適用はできません。
1人のリーダーが短時間で自信を持って出した結論が正解とは限りません。

そもそも試験問題のように必ず問いと1対1で正解があるわけでもありませんし、それが本当に解くべき問いなのかもわかりません。

そのような状況を考えると、「結論に飛びつくマシーン」という人の特性は、マイナスに働くかもしれません。


2、なぜ問題は再発するのか?1つ目のケース。

問題解決が得意だ、という人がいます。
問題が発生すると、あっという間に鎮火してくれます。

周りの人からすればありがたい存在ではありますが、なぜかいつも忙しそうです。

そうです。ニワトリたまご、ではないですが、問題が頻発するから、問題解決が得意になった、というだけ、なのです。

これは、解くべき問いを間違えている典型的なケースです。

本当は、その問題を引き起こした根本原因は何か?その再発を防ぐにはどういった解決策が有効なのか?、というのが解くべき問いなはずです。
でも、目の前に燃え上がる問題がある場合、そして、それに対して答えがすぐ浮かぶ場合、「マシーン」が発動して、その答えに飛びついてしまうのです。

そして、よかったよかった、めでたしめでたし、で終わるのです。


3、なぜ問題は再発するのか?2つ目のケース

問題が起こった場合、再発防止について話し合う会議があったとします。

その場の「長」の意向が常に採用されるような状況では、「長」の意見が「正解」になるので、その他のメンバーは発言しません。

そこまでひどくなくても、いわゆる「声」の大きいメンバーが断定口調で意見を述べ、ほとんど誰も発言しない、ということがあるかもしれません。

本来なら、さまざまな目で見た意見をメンバーで出し合い、真の根本原因を見つけ、それに対する解決策の案も、多様な視点からの案を出し合い、その中から最も良いと思われるものを選ぶべきでしょう。

ところが、こういった「問い続ける」行為は負担も大きいので、誰かが最初に出してくれた結論に対して「マシーン」が発動して、その答えに飛びついてしまう。

2つ目のケースは、再発防止に関して何らかの手を打つ点で1つ目のケースより良いかもしれませんが、所詮1人の目から見たものですので、精度が悪い可能性が高いでしょう。

もっと悪いのは、そうして決まったものに対して、ほかのメンバーの「当事者意識」は非常に薄くなることです。

次に問題が起こったとしても、「自分のせいではない」という安全地帯に逃げ込んでしまい、ますます「考える」ことを放棄してしまうことになります。


4、まとめ

いかがでしたでしょうか?

人は「結論に飛びつくマシーン」だ、という人間の特性が、「問い続ける」ということを避けたり、本来解くべき問いを探すことを避けたりする、という弊害をもたらしているのではないか?ということでした。

しかも、それがチームというか集団になると、本来は多様な視点での意見を出し合うことでより良い答えを得られるはずにもかかわらず、他者の出した答えに「飛びついて」、それ以上考えない、ということが起こっているのではないか?ということでした。


よく「意見を出し合う」と言いますが、「意見を出し合う」という状態は「答えが出ていない」状態が続く、ということです。
しかも、複数人で行なっていると、「もういいよ、早く結論出そうよ」人が必ず出てきます。
「答えが出ていない」状態は辛いものです。せっかく意見を出し合うところから始めても、生煮えのままとにかく結論らしきものを出してしまう、というあの不思議な現象はこれで説明できる気がします。


が、説明できても、何にもなりません。

「結論に飛びつくマシーン」という人間の特性をどのように克服して、チームの多様な視点を取り込んだ真に解くべき問いを見つけ、メンバー全員がワクワクするような答えを見つけるには、どうしたら良いのか?

問い続ける価値のある質問、ではないでしょうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。

どこか参考になるところがあれば嬉しいです。

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