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#192 「AI分析でわかったトップ5%社員の習慣」より中高年の「学び」を考える

昨日、40代以上は学びの意欲が低い、という調査についてご紹介してきました。
もちろん、40歳未満が優れていて、40歳以上がダメ、ということではありません。
では、年齢に関わらず「仕事ができる人」が「学ぶ」というのはどんなポイントがあるのか、ある本に基づいてメモ。


1、どんな本?

元マイクロソフト業務執行役員で現在、株式会社クロスリバー代表の越川慎司さんが書かれた、「AI分析でわかったトップ5%社員の習慣」という本です。

数ある「こうすれば仕事できるよ」本の中からこちらをピックアップしたのは、データに基づいているからです(それに基づく解釈はまたまた別ですが)。

具体的には「25社の計1万8,000人」について、「デスクに定点カメラを設置したり、ICレコーダーやセンサーを装着してもらったり、クラウドサービスや対面ヒアリングなどを通じて行動や発言を記録」し、「メールの内容を分析したり、チャットやオンライン会議などの利用履歴も集め」て分析したものだそうです。

つまり、よくある、すごい人が個人的な経験や周りの人の観察でこうだと言っている、ということではなく、一定数の調査に基づくものだ、ということです。

本の中から、「トップ5%社員の5原則」をご紹介しながら、「仕事ができる人」のポイントを考えていきたいと思います。


2、「トップ5%社員の5原則」を「学ぶ」という観点で見ると?

☑️ 原則1   98%が「目的」のことだけを考える
☑️ 原則2   87%が「弱み」を見せる
☑️ 原則3   85%が「挑戦」を「実験」と捉える
☑️ 原則4   73%が「意識改革」はしない
☑️ 原則5   68%が常にギャップから考える

「原則」ですからいずれも大事な要素ですが、ここでは、「学ぶ」という観点で特にポイントと考えられる部分を原則2と3について見ていきたいと思います。

まず、原則2 「弱み」を見せる、から「学び」に関連がありそうな部分を抜き出してみます。

「5%社員」は、自分がわからないことに当たった時は、質問をし、わからないところをそのままにしてはおきません。問題に対して真摯に学び、新たな知識を得ようとします。
つまり、「5%社員」は、「自分がわからないことがある」「まだ学べていないことがある」という前提に立っており、他者から自分が持っていない知見を獲得しようとしています。
アンケート調査でも、「5%社員」は自分の弱みを出すことに抵抗がないと答えた人は73%いました。
一方、「95%社員」の中では弱みをさらけ出すことに抵抗がないと答えたのは23%でした。


つまり、トップ5%の人たちは、
☑️ 自分がわからないことがあると認識している
☑️ わからないことはそのままにせず、他者から学ぼうとする
☑️ わからない、教えて欲しい、と質問することは弱みを出すことだが、抵抗はない

逆に、95%の人たちは、
☑️ わからない、教えて欲しい、と質問することは弱みを出すことなので、抵抗があるので、仮にわからないことがあっても質問しない

ということです。

おそらく、この、つまらないプライドが邪魔をするのは、ある程度の年齢、役職以上である方が可能性は高いでしょう。

トップ5%の人たちは、おそらく評価が高いために、それなりの役職の方が多いでしょう。にもかかわらず、「まだまだ知らないことはある」ので、「弱み」を見せることを厭わず「学ぼう」とするのです。


次に、原則3 「挑戦」を「実験」と捉える、から、「学び」に関連がありそうな部分を抜き出してみます。

今回の調査で、「5%社員」は自分にない経験やスキルを身に付けようとする人が69%もいることがわかりました。一方、一般社員ではスペシャリストを目指す人が63%いました。
トップ「5%社員」は横の広がりがある幅広い知識と知見を持つことを、95%の一般社員は縦の専門性の追求を望んでいるのです。
「5%社員」は、変化の激しい中で対応力を高めていくには、1つのスキルや技術に固執することなく、より多様な能力を身に付けていった方が、市場価値が高まるとも思っています。彼らは足し算のスキルアップではなく、掛け算のスキルアップを狙っています。


つまり、トップ5%の人たちは、
☑️ 自分にない経験やスキルを身につけようとする
☑️ 横の広がりのある幅広い知識と知見を持つことを望む
☑️ 掛け算のスキルアップを狙っている

逆に95%の人たちは、
☑️ 今の業務に関する狭い範囲の専門的な経験やスキルを深めようとする

ということです。

一見、専門性を高める、というのは間違いでないように思います。
しかし、「慣れている今やっていることの延長線上でこれからも仕事をしたい」という意向の裏返しとも言えます。
こうなるのは、やはり、ある程度の年齢を重ねた人で、もう他の部署に行って1から学ぶなどしたくない、と考える人たち、なのではないでしょうか?

トップ5%の人たちは、現在でも仕事はできるでしょう。しかし、それにも関わらず、「自分にない経験やスキルを身につけようと」し、「幅広い知識と知見を持つことを望」み、「学ぼう」とするのです。


3、まとめ

いかがでしたでしょうか?

本書は、さまざまなデータと合わせてトップ5%社員の行動を紹介、分析していますが、それらを、「学び」という切り口で見てきました。

そうしてみると、中高年になると、
☑️「わからないから教えて」と聞くのは弱みを見せるようでできない
☑️ 未経験の業務を新たに学ぶよりは現業を深めたい(新しいことを1から学ぶのは難しい)
という意識が働きやすくなることで、「学び」に対する意欲が落ちる、という仮説が考えられるのではないか、と思います。

一方で、これは「若年層より中高年層がそうなりやすい」というだけであって、当然ですが、中高年であっても、「学ぶ」ことはできます。

本書から中高年が「学ぶ」には、以下の点を注意すればより効果的だと言えます。
☑️ 今の仕事に関係することだけでなく、無関係と思われることも幅広く学ぶ
☑️ 「知らないことがあるのは当たり前」「聞かぬは一生の恥」と捉え、わからないことをそのままにしないで積極的に質問し、疑問は解消する

40歳というのは、社会人生活で折り返しに過ぎません。まだまだ知らないことがある、というのはワクワクしませんか?

中高年にとって最も必要なのは、「好奇心」と「ワクワク」。
そしていらないものは、「つまらないプライド」と「過去の成功体験」。


最後までお読みいただきありがとうございました。

どこか参考になるところがあれば嬉しいです。

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