見出し画像

#258 「サイボウズ 取締役に社内公募17人」

今日(3月29日)の日経新聞朝刊5面、サイボウズが取締役に社内公募の人材を充てた記事を読んで思ったことを、メモ。


1、どんな記事?

グループウェア等を開発、販売しているサイボウズが、28日、定時株主総会を開き、社内公募で自薦した取締役候補17人の選任議案を可決した、という内容です。

サイボウズは階層などをなくしたフラットな組織として知られる「ティール組織」のような運営をめざしている。これまで取締役は青野社長を含めて社内人材3人だった。今回の社内公募で青野社長など17人が候補に名乗り出た。

つまり、公募で立候補した人、全員が選任された、ということです。

青野社長は日経新聞の取材に対し、以下の通り述べています。

これまでも全社員が取締役の役割を担い、互いを監督し誰もが助言できる組織をめざしている

日経新聞側の評価としては以下となります。

社内公募を経て選任された取締役は、経営監督という監督対象との適度な間合いが必要な責務を、社員に近い距離感のもと果たしていく難しさに向き合うことになる。企業統治の面で有効に機能するのかが注目される。


2、株主総会資料を見てみると?

どんな人が立候補して選任されたのか?同社の株主総会資料を見て驚きました。
株主総会資料には、取締役や監査役等を選任する場合、その人物の経歴と保有株数を載せるのですが、中には同社に新卒で入社して1年目、2年目の社員も含まれているのです。

管理職は公募&抽選&期間限定で!という投稿をした私でも、流石に会社法上、株主が選ぶ取締役は想定していませんでした。株主総会決議が必要ですし…


しかも、前述した通り、立候補者全員選任されていますので、選考はしていないのです。従業員は857名、売上高156億円規模の会社で取締役が17人というのはかなり多いように思います。どちらかというと最近のトレンドは少なくして意思決定を早くする、という方向でしたし。

17人を選任できるように、選任決議に先立って、従来8人としていた取締役の上限の定めを定款から削除まで行っています(下 出典:同社株主総会資料)。

画像1


ちなみに、取締役17人の選任の第3号議案は以下の通り。ちょっと長いですが同社の想いが端的にまとまっているのでご紹介します(出典:)。

画像2

「全員が取締役」という理念を実行した、ということ、ですね。


前後しますが、第2号議案では、以下のような企業理念について承認を求めています(出典:)。

画像3

「チームワークあふれる社会を創る」のがサイボウズの存在意義、ということです。


3、まとめ(所感)

いかがでしたでしょうか?

以前、アマゾンの募集要項に「全員がリーダー」とあるのをご紹介しました。

サイボウズはその上をいく、「全員が取締役」ということです。

いやーすごい。

で、いろいろ調べると、過去には高い離職率に悩み、様々な人事制度改革を断行してきたことが分かります。


以下は株主総会時の説明資料からなのですが、社員数と離職率の推移です。さまざまな施策が効果を上げてきたことが分かります。

画像4


さて、皆さんはこのサイボウズの試み、どうお感じになりますか?

私は、本当にやってしまう、実行力(おそらく相談された顧問弁護士なんかは反対したと思います、最初は)にとにかく感心しました。

次に、サイボウズの製品、サービスである、グループウェアのマーケティングとしての効果も狙っているのだろうな、とも思いました。

サイボウズの製品、サービスは、導入することで社員の意思疎通が良くなり、生産性が上がり、売り上げものび、社員満足度も上がり、定着率も向上する、というのが「売り」です。

その会社がなんとなく暗く、覇気のない会社だとしたらどうでしょう?逆にとにかく明るく、生き生きとしていたら?

やっぱり後者の会社の製品、サービスが良いように思いますよね?

でも、会社の社員が生き生きしているか、なんて普通は分かりません。

ですから、「普通」ではない、「極端な」手を打つことで、「あの会社はすごい」という「宣伝」になる、というところまで考えているのではないか、と思いました。

もちろん、宣伝のためだけでこんなことできないですから、繰り返しになりますが、実行力がすごい、ですね。

日経新聞ではないですが、後は、今回の試みがうまくいくかどうか、ですね。
個人的にはぜひうまくいってほしいです。


最後までお読みいただきありがとうございました。

サイボウズのご紹介でしたがご参考になるところがあれば嬉しいです。

追伸:サイボウズの株主総会の第二部資料が「株」だけに、というイラストだったのでちょっとご紹介。

画像5


この記事が参加している募集

#最近の学び

182,276件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?