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【開幕レポート】寄せては返す不在と孤独。生と死のあいだの永遠と一日|ミクニヤナイハラプロジェクト『船を待つ』
慣れ親しんだ吉祥寺シアターの姿はそこにはなかった。常設の客席は撤去され、吉祥寺シアターはだだっ広い空洞となった。空洞には、失ったものを思う寂しさが漂っていた。
それは、本来の姿に還ったという、ただそれだけのことなのかもしれない。私たちが身勝手に意味を与えてきたその空間は、本来はただの空洞だったのかもしれない。だからそれは、不在とは、別れとは、本来は悲しいことではないのかもしれない。だけどどうして
【インタビュー】「自分達がどういったものをなくしてしまったのか」|ミクニヤナイハラプロジェクト『船を待つ』
吉祥寺シアターでは3月23日(土)より、ミクニヤナイハラプロジェクト『船を待つ』が上演されます。吉祥寺シアターこけら落とし公演より沢山の作品を当館で発表し続けている振付家、劇作家、演出家の矢内原美邦さんが、現代の船着き場を舞台に描く現代版『ゴドーを待ちながら』。今回は矢内原さんご本人に作品について伺ってまいりました!
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―――――では初めに、自己紹介をお願いいたします。
矢
【稽古場レポート】熱量の海を前にして|ミクニヤナイハラプロジェクト『船を待つ』
吉祥寺シアターでは3月23日(土)より、ミクニヤナイハラプロジェクト『船を待つ』が上演されます。吉祥寺シアターこけら落とし公演より沢山の作品を当館で発表し続けている振付家、劇作家、演出家の矢内原美邦さんが、現代の船着き場を舞台に描く現代版『ゴドーを待ちながら』。今回は稽古場の様子をお届けいたします!
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稽古場では今まさにシーンを組み立てていく最中であった。既に大阪公演を終え
【開幕レポート】美しい日本語で出会う日本~オペラシアターこんにゃく座 オペラ『神々の国の首都』~
3月8日(金)、吉祥寺シアターでオペラシアターこんにゃく座 オペラ『神々の国の首都』が開幕した。ラフカディオ・ハーン(のちの小泉八雲)が松江で過ごした日々を描く作品だ。坂手洋二氏が主宰する「燐光群」が1993年に初演した同作を、オペラ化して上演する。オペラシアターこんにゃく座は、[新しい日本のオペラの創造と普及]を目的に創立された。今作の見どころは何といっても、美しい歌唱で紡がれる日本の美しさに
もっとみる【稽古場レポート】劇場からあなたに手渡したい演劇の話とその制作現場の事 / あたらしい劇場プロジェクト『ハムレット・ハウス』
吉祥寺シアターの新企画が始動。あたらしい劇場プロジェクト『ハムレット・ハウス』が2024年2月18日に上演されます。今回は稽古場レポート!少数精鋭で、大切な一瞬のために走る彼らの姿をお届けします。
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稽古場に入ると、皆さんが揃って迎えてくれた。演出の小西さんより「同僚の…」と紹介され、いつも稽古場にお邪魔するのとはまた少し違う、顔見知りであるからか、不思議な緊張感を感じつつ
【インタビュー】劇場とお客様が改めて出会うために / あたらしい劇場プロジェクト『ハムレット・ハウス』
吉祥寺シアターの新企画が始動。あたらしい劇場プロジェクト『ハムレット・ハウス』が2024年2月18日に上演されます。この公演に懸ける思いを今公演の作・演出を務める小西力矢さんに伺いました。
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―――はじめに自己紹介をお願いします。
吉祥寺シアター職員の小西力矢と申します。今回、あたらしい劇場プロジェクト『ハムレット・ハウス』という公演の作・演出を務めさせていただく事になりま
"心にボーンと響く演劇"――オフィスコットーネプロデュース『兵卒タナカ』インタビュー
2024年2月3日(土)~14日(水)まで 、吉祥寺シアターにて上演されるオフィスコットーネプロデュース『兵卒タナカ』。戦時下の日本を鋭い眼差しで滑稽に、哀れに描く演劇作品です。本作の上演を記念して、演出の五戸真理枝さんと、主演の平埜生成さんにインタビューを行いました。その様子をお届けします!
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【ブラスに青春をかけたマーチングガールの稽古場レポート】オフィスコットーネプロデュース『兵卒タナカ』
いよいよ2月3日(土)に開幕が迫ったオフィスコットーネプロデュース『兵卒タナカ』。
神格化された天皇が率いる軍隊と、そこに身を置いた人間の誇りが崩れるさまを、”滑稽に、哀れに”描いた作品です。
戦争を止められない世界の中で、深い祈りを込めて、未来への希望を失わずに今を生きていくための『兵卒タナカ』に、新進気鋭の演出家・五戸真理枝(文学座)が挑みます。
演劇をより身近に感じていただくべく、今回は
【稽古場レポート】踊る身体の鍛錬 / 吉祥寺ダンスLAB.vol.6
2024年1月9日(火)にダンスの未知なる可能性を探求する吉祥寺シアターのオリジナル企画、「吉祥寺ダンスLAB.」。第六弾となる今回は、舞台芸術の新たな領域を開拓し続ける気鋭のコレクティブ・小野彩加 中澤陽 スペースノットブランクによる新作公演!本公演の稽古場の様子をお届けします。
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リハーサル(稽古)が始まると円になり、一人一つストレッチを提案して回していく。その間、それ
【出演者インタビュー】点と点が集合し、形作るものは【吉祥寺ダンスLAB. vol.6】
ダンスの未知なる可能性を探求する吉祥寺シアターのオリジナル企画、「吉祥寺ダンスLAB.」。第六弾となる今回は、舞台芸術の新たな領域を開拓し続ける気鋭のコレクティブ・小野彩加 中澤陽 スペースノットブランクによる新作公演!上演を前に、出演者の皆さまにインタビューを行いました。その模様をお届けします!
────『言葉とシェイクスピアの鳥』はどんな作品ですか?
黒澤)とりあえず自分が何をするかは知っ
“アウトサイダー”としてのヘルマン・ヘッセを描く──ティーファクトリー『ヘルマン』
“アウトサイダー”──社会から外れた、異端者。その言葉は、多くの人がヘッセに向けるイメージとは乖離している。
日本でヘッセと言えば、小学校の教科書にも掲載されている『少年の日の思い出』だ。
このセリフは多くの人の記憶に残っているだろう。罪を犯した少年の心の機微を描く、道徳的、教訓的とも言える作品だ。その作品から、ヘッセ自身にも道徳的なイメージを持つ人も多い。だが、『少年の日の思い出』が広く
あなたとほろびてが出会うためのnote 細川洋平インタビュー「ほろびてのこれまでとこれから」
劇作家・演出家・俳優の細川洋平が主宰する演劇カンパニー、ほろびて。
12月10日(日)に吉祥寺シアターにて上演を行う「『センの夢みる』リーディング公演」は、来年2月に東京芸術劇場にて上演予定の新作を、ムニ主宰・宮崎玲奈に演出を委ね、作品の新たな可能性を模索するワーク・イン・プログレス形式の公演です。12月8日(金)、9日(土)にはほろびての過去代表作の無料上映会を行い、ほろびての演劇をまだ観たこと
あなたとほろびてが出会うためのエッセイ
劇作家・演出家・俳優の細川洋平が主宰する演劇カンパニー、ほろびて。
12月10日(日)に吉祥寺シアターにて上演を行う「『センの夢みる』リーディング公演」は、来年2月に東京芸術劇場にて上演予定の新作を、ムニ主宰・宮崎玲奈に演出を委ね、作品の新たな可能性を模索するワーク・イン・プログレス形式の公演です。12月8日(金)、9日(土)にはほろびての過去代表作の無料上映会を行い、ほろびての演劇をまだ観たこと