【ブラスに青春をかけたマーチングガールの稽古場レポート】オフィスコットーネプロデュース『兵卒タナカ』
いよいよ2月3日(土)に開幕が迫ったオフィスコットーネプロデュース『兵卒タナカ』。
神格化された天皇が率いる軍隊と、そこに身を置いた人間の誇りが崩れるさまを、”滑稽に、哀れに”描いた作品です。
戦争を止められない世界の中で、深い祈りを込めて、未来への希望を失わずに今を生きていくための『兵卒タナカ』に、新進気鋭の演出家・五戸真理枝(文学座)が挑みます。
演劇をより身近に感じていただくべく、今回は演劇初心者🔰が、僭越ながら本番約2週間前の稽古場の様子をお届けします!
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まず稽古場に入ってとにかく驚いたことは、”雰囲気の良さ”だ。
どの劇団もこんなに和気あいあいとしているのだろうか…。
稽古開始の挨拶からはさらに雰囲気が高まり、連られて笑顔になるほどだ。
稽古前には、いくつかのシアターゲームが行われた。
特に、劇中では名前のない”村人”に、それぞれ名前を付けて記憶し、お互いを呼びながら場所を入れ替わっていく、というゲームが興味深かった。
名前自体もユニークなものが多く、こういった工夫が稽古場の親密な雰囲気を作り出しているのかもしれない。
稽古は、話し合いからスタートした。
貧しい農家の出身である兵卒タナカと村人、また村人同士の関係性が話し合われていく。
細かな設定がこのように話し合いで、全員に認識されていくことに驚いた。
話し合いは、タナカに対する印象や憧れから兄弟構成、家同士の距離まで、様々な内容に及んだ。こういった各々の想いや関係性を演技に見つけることも、公演の見どころだと思う。
休憩後から、立ち稽古が始まる。
「タナカが休暇をとり、戦友ワダとともに実家を訪れる」という、先ほど話し合われたタナカと村人が中心の場面だ。
演出の五戸さんを中心に、注目度の優先順位や動作の目的、テンション感など、俳優の意識が合わせられていく。
私には最初から修正点など見当たらないが、確かに修正後はよりシンプルに物事が伝わってくるように感じた。
緊張感が漂いながらも、先ほどまでのあたたかい雰囲気も残って、皆で協力して作り上げられる姿が印象的だった。
短時間の見学だったが、目が離せない、とても密度の濃い時間に感じた。
個人的に、戦争が題材の作品は重々しく苦手に感じていたが、こんなにも丁寧に、静かに、あたたかく作り上げられていると知り、今から上演が楽しみでならない。
演劇がお好きな方はもちろん、私のように演劇初心者の方も、是非「タナカ」の世界へ足を運んでみて欲しい。
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