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感想文&推し事の記録

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#長屋和彰

二元論より人間論を / オンライン演劇 『SUPER FLAT LIFE』

二元論より人間論を / オンライン演劇 『SUPER FLAT LIFE』

オンライン演劇『SUPER FLAT LIFE』を二夜連続で鑑賞しました。主演は秋元才加さん。アーカイブは4/11まで。

結婚を目前に彼氏に突然の別れを告げられた”普通のOL” 棚橋エリ(秋元才加)は、コロナ禍でオンライン結婚相談所「スーパーフラットライフ」に出会う。性別不詳の支配人、アキラ(中山咲月)はエリに次々に理想の結婚相手を紹介してくれるが、その相手というのがちょっと異質だった。同性婚を

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受動態で始まる命を能動的に燃やして / 舞台『FANTASY WORLD?』

受動態で始まる命を能動的に燃やして / 舞台『FANTASY WORLD?』

ご時世なりの自制は苦しいけど辞世する訳にいかないし、迷いに迷ったけれど今回は配信で観劇させていただいた。

●あらすじ(チケットサイトより引用)国の管理の元、自殺者・自殺未遂者は臓器移植希望者に強制的に臓器を提供しなければならない右の世界で出会った、余命僅かながらも強く生きたいと願う臓器提供を待っている女の子と自殺未遂で病院に運ばれた男。

そして、3日おきに記憶をリセットされる左の世界で、街の人

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魂すらも行き交う港町で / 映画『横須賀綺譚』

魂すらも行き交う港町で / 映画『横須賀綺譚』

fictional reality
フィクションめいた現実に対し、心の距離の取り方に揺れる貴方へ

ネタバレに触れるかもしれないので観賞後にお読みいただければと思います。

初日舞台挨拶付き上映。昨年7月のカナザワ映画祭以来、1年ぶり/2度目の鑑賞。パラレルワールドよろしく「想像し得なかった未来」を生きる今、抱く感想も変わらざるを得なかった。1席飛ばしの椅子に腰を沈めて。

あらすじ(公式サイトよ

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Keep shooting your movie! / 映画『カメラを止めるな!リモート大作戦!』 #リモ止め

Keep shooting your movie! / 映画『カメラを止めるな!リモート大作戦!』 #リモ止め

皆さん「リモート疲れ」してませんか?
WEB会議、Zoom飲み会、テレビでも「リモートで繋いでま〜す」。
画一的な四角い枠の画面ばかり観ていると、状況として仕方ない(そして最大限みんな努力している)のは解っていても気が狂いそうになる瞬間があります。

さて、そんな中でご紹介するのが「リモート制作された映画」です。と言うと身構えちゃいますね。単に「リモートで作られた」というのがウリではなく、シチュエ

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夜空の星が、遠い昔の瞬きで在る様に / 村口知巳監督作品"音の3部作"シリーズ

夜空の星が、遠い昔の瞬きで在る様に / 村口知巳監督作品"音の3部作"シリーズ

村口知巳監督が手がけた短編映画"音の3部作"シリーズを鑑賞して、その世界観をすこしだけ覗いた気持ちになったので備忘録を残しておきます。これからも追いかけていきたい監督です。

⚠️ネタバレあり。1・2作目の詳細の感想はFilmarksリンクから。
<10/1追記:3作目「美しいロジック」もFilmarksに登場!>

聞こえない/聞こうとしないサイレン 『あるいは、とても小さな戦争の音』 "日常に

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令和初日の福島駅で、消えた旅館とソフトクリーム / 映画『FUKUSHIMA DAY』(3.11に寄せて)

令和初日の福島駅で、消えた旅館とソフトクリーム / 映画『FUKUSHIMA DAY』(3.11に寄せて)

出会いのきっかけは「カメラを止めるな!」。劇中で気になった役者さんの経歴を調べていると、初主演作の情報に辿りついた。

それまで自主映画というものを意識して観たこともなく、「映画=円盤化される2時間の映像」という認識だった私にとって、「観ることができない作品」の存在は信じ難いものだった。どうにかして観る術が無いかとせめてノベライズを購入し、桜井亜美監督のTwitterをフォローし、映像化の情報探し

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カメラを止めても、留めない様に

カメラを止めても、留めない様に

📸2019.6 新宿K's cinema

文芸サロン「青い傘」内の企画(*)にて、綴りそびれていた『カメラを止めるな!』の話。台詞を誦じるほどには観ているけど、内容ではなく自分との関わり方について少々。観た人が読む前提で書いてるからネタバレだらけにつき注意。またカメ止めについては書くかもね。

*映画の感想記事・映画に関した物語記事。テーマは2010年代の映画。#note映画部 #青い傘

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距離の中にある鼓動 / 演劇『嫌いだ』@下北沢スターダスト

距離の中にある鼓動 / 演劇『嫌いだ』@下北沢スターダスト

舞台とは文字通り「台の上で舞う」ということで、その意味で今回刮目したのは「演劇」なのだと思った。何故ならステージが無かったから。別にどちらがどうとか優劣は無い。
向かい合わせに並べられた客席の右側と左側に演じる場があり、役者がそこを行き交う。所謂"商業演劇"で育ってきた身としては斬新だった。

60分間で2個の短編オムニバス。同じフレーズや役者さんも出てきたけどリンクはしてないのだろうと解釈。
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人と人との"拠り所" / 映画『わたしは光をにぎっている』

人と人との"拠り所" / 映画『わたしは光をにぎっている』

▼翔べない時代の魔女の宅急便涙に濡れた新宿の夜。
映画『わたしは光をにぎっている』を観ました。
【公式】http://phantom-film.com/watashi_hikari/

宮川澪、20歳。
ふるさとを出て、働きだした。友達ができた。好きなひとができた。
その街も消える、もう間もなく。

両親に代わって育ててくれた祖母・久仁子の入院を機に東京へ出てくることになった澪。都会の空気に馴染め

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