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夜空の星が、遠い昔の瞬きで在る様に / 村口知巳監督作品"音の3部作"シリーズ

村口知巳監督が手がけた短編映画"音の3部作"シリーズを鑑賞して、その世界観をすこしだけ覗いた気持ちになったので備忘録を残しておきます。これからも追いかけていきたい監督です。

⚠️ネタバレあり。1・2作目の詳細の感想はFilmarksリンクから。
<10/1追記:3作目「美しいロジック」もFilmarksに登場!>


聞こえない/聞こうとしないサイレン 『あるいは、とても小さな戦争の音』 

"日常に潜む戦争の足音、その予兆に気づけるか否かを問いかけられた気分になった。自分はどんな音が聞こえるのか、あるいは聞けていないのか。"

何度も見せて頂いている大好きな作品。台詞を誦じ聖地巡礼もしているのは我ながら気持ち悪い…(笑) 北海道は函館に始まり、東京、大阪、群馬、埼玉と遠征しました。1年を通して上映の機会を得続ける作品に出逢えたことを嬉しく思います。

◇2018.12.9 函館港イルミナシオン映画祭
◇2019.3.9 上映会@シネマハウス大塚(×3回)
◇2019.5.31 ショートショートフィルムフェスティバル
◇2019.7.27 門真国際映画祭
◇2019.10.26 渋谷TANPEN映画祭
◇2019.11.10 伊参スタジオ映画祭[ヘッダーの写真撮影日]
◇2019.12.26 キューポラのある街 映畫音樂會2019


心に遅れて届く声 『サウンド・リザバー』

"秒速340mでは難しくても、心に届く速度がやわらかなものであってほしいと、ふたりの女性の心の交わし方に願った。"

オンライン試写会でようやくお目にかかれた作品。Filmarksのレビューには書いてないけど、大石結介さんの一言が良い声なので必聴です。。そして私の推しは保険プランナー役の菊地美帆さん。一方的に好き。またお会いしたいです。

◇2020.4.12 オンライン試写会


生の命の咀嚼音 『美しいロジック』

生野菜=生の命を噛み締めた音が、彼女の"うち"に響いている。本当に彼は存在したのか? すべては彼女の妄想? 遺された音、すいかの種。

言葉すら失くした関係が奇妙にも成り立っていたのだとしたら、イヤホンで繋がる変態めいたコミュニケーションが彼らなりの愛情のやりとりだったのだと思わざるを得ない。失くすことで、削ぎ落とすことで、そして存在しないことで完成する美しいロジック。

部屋が答えを煙に巻いても、美しいロジックは確かに視えるし、聞こえている。その白さは、知りたくなかった切なさと無垢の色。

10/1追記:

◇2020.4.12 オンライン試写会
予定されていた上映会はオンライン試写に変更。この素敵な作品が沢山の映画祭で、また叶うなら映画館で、上映されることを願うばかり。。

*こんなこともしてました↓


"音の3部作"の交わり

ある音の宮野くんが美ロジの鎌田くんになって
ある音の旦那さんがサウリバの男の声を発して
ある音の女教師がサウリバの川音さんになって
サウリバのもとの物語をつかささんが朗読して
交差する音の3部作シリーズ。

上記サウリバのFilmarksレビュー内でも触れていますが、つかささんが朗読したリーディングコンテンツは無料公開中。

ある音を初めて鑑賞して以来、村口監督の作品は余韻というか、余白を残すのが巧いと感じてきました。「世にも奇妙な物語」の風味。
音の3部作シリーズとは別に鑑賞した『ゆるく、くだる』という5分の短編作品にも良い意味で鳥肌が立ちました。
私は村口監督から「答えを出さない」短編の魅力を教わったと思っています。


夜空の星が、遠い昔の瞬きで在る様に

それは映画も音楽もまた同じで…
いま観ているあなたも聴いている君も
いつか撮られた/録られた姿。
保存された姿を見ている。
保存された音を聴いている。

過去のあなたがくれた手紙をいま大切に読む。
遥か昔の瞬きがいまあなたの瞳の中にきらめく。

光の速度は秒速30万km、音の速度は秒速340m。
感情が心に届く速度は?

これからまた数多くの短編作品に触れる中で
耳と心を研ぎ澄まして
届いた速度のまま受け止めて
よく噛み締めて味わっていきたい。
"音の3部作"が教えてくれた出会い方で。


これは余談
スクリーンの中で輝き続けるひとへ
主役はスター、主演はstarring.
強い光は数億光年を飛び超えて眩しく輝くから、
闇の中でも目印になるスターで居てね。


いつか『美しいロジック』のスクリーン上映がある際には、本編映像&決定稿の台本を比べた感想も綴ろうと思います。カットされていたシーン、めちゃくちゃ妄想しました🤝


#スキしてみて


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