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KATARAのシナリオ

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KATARAのオリジナル脚本です。いずれもKindle本で販売中。ぜひ試し読みをどうぞ。
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#新型コロナウイルス

ソーシャルディスタンス

ソーシャルディスタンス

●テレビ画面

小池都知事の会見映像。「引き続き外出自粛」や「夜の街のクラスターの怖れ」などを話している。

急に消され、



●居酒屋なかむら

店主の仲村(34)がリモコンでテレビを消したところ。ため息をついて一方へ。客のいない店内を横切り、



●駅近の飲み屋横丁(夜)

仲村が店先に出て見まわす。周囲に人はいない。のれんを店内にしまう。看板の電気が消え

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ステイホーム

ステイホーム

●黒い画面に文字

4月26日 今夏のインターハイ中止が決定

●松岡家・勇樹の部屋

バスケットボール、バスケットシューズ、NBAのカレンダーなど。

松岡悠美の声「(先行して)そりゃね、落ち込んでる。そのためにずっと頑張ってきたんだし」

松岡勇樹(17)が机で勉強している。

●松岡家・ダイニング

松岡悠美(42)が夕飯の調理を中断し電話をかけている。

悠美「今は勉強。先月まで学

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自粛期間

自粛期間

●アヴァンタイトル

直人「と思ってたけど、こういう状況だからね」

舞「――」

直人「どうかしてんだろうな、やっぱ」

舞「そうだよ」

直人「忘れて。気にしないで」

舞「――でも」

直人「ん?」

●タイトル

●東京・郊外の夜景

道場直人の声「(先行して)いま地球温暖化してるじゃん」

保坂舞の声「うん」

直人の声「あちこち氷が解けて、北極に近いとこの凍土とか」

●置き時計

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楓

●夜桜

ほぼ終わりがけの桜。花びらが風に散る。

●ある病院・コロナ病棟

防護服で治療や看護にあたる男女。その中にいる長谷川楓(27)

●病棟の外

楓が防護服を脱ぐ。汗だく。細心の注意を払いながら防護服やマスクの後処理をする。

●病棟・廊下

休憩時間の楓がスマートフォンを操作しながら来る。マスク姿。歩調が緩くなる。

武村敏夫(28)の声「話したいことがあるんで連絡ください」

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医療崩壊

医療崩壊

●病室

F.I.ベッドに栗沢麻美(32)

意識が朦朧としている。鼻から酸素吸入をしている。一方を見る。

防護服の看護師がそばに来ていて、タブレット端末を操作しながら麻美の様子を見る。

看護師「まだ苦しいですね」

麻美「(小さくうなずく)」

看護師「もう少しの辛抱ですよ」

麻美「(小さくうなずく)」

看護師「(ウイルス防護用のゴーグル内の目がやさしくうなずく。目に特徴がある。病

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クルーズ船

クルーズ船

今井明彦(38)実家のコンビニ勤務。元医師。

岡本真治(42)明彦の先輩医師。

   ***

●ヘリの空撮

横浜港のダイヤモンド・プリンセス号。

レポーターの声「こちらがダイヤモンド・プリンセス号です。とても大きいです。予定を1日早め昨夜こちらの横浜港に入りました。先月20日に横浜を出発。25日に香港で下船した乗客が今月1日、新型コロナウイルスに感染していたことがわかり、そのためダイヤ

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コロナのせいで

コロナのせいで

杉崎笑美(26)派遣社員のOL。

皆藤菜々(26)笑美の友人。

横山悠美(26)笑美の友人。

河田朋絵(26)笑美の友人。

新井(37)笑美と同じ会社にいた男性社員。

   ***

●オフィス・廊下

杉崎笑美(26)が郵便物の束を手に来る。コロナ禍前でマスクはしてない。

エレベーターの場所に来るとラフな服装の男、新井が扉を入りかけていて笑美に気づく。笑美が急ぐ。


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