むらさきのペン

元大学院生が大学の外に出てみたら、どんな気付きがあるだろうか。そんな日常のつぶやきです…

むらさきのペン

元大学院生が大学の外に出てみたら、どんな気付きがあるだろうか。そんな日常のつぶやきです。 「がくろん 学生のための論文サイト」https://report-ronbun.sakura.ne.jp/column/index.html にて言葉について考えたことを書いています。

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    日常で浮んできた答えのない問いを書いていきます。 よかったら一緒に考えてみてください。答えはないですが。

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記事一覧

議論ができない。論破、問いとは何か。

都知事選が終わりました。 投票日からもう一週間、でもまだわたしは胃もたれしています。もうお腹いっぱい、食べられません。 さて、さまざまなメディアや個人の投稿で、…

3

1900年代の英語感

こんにちは。 みなさんお元気ですか? 今は6月の中旬、しかし気温は30℃。 また暑い夏がやって来そうですね。 この時期冷房を付けていいものか、 いやもうすこし付けずに…

1

20代

わたしにとっての20代は、 自分には何ができないのかを知る時代だった。 * 20代は成長の時代、チャレンジの歳 そんな風に言ったりする。 自分のできることを突き詰め…

身体と心

お世話になっております。お世話になっております。 検討させていただきます。 慎重に検討した結果ご希望に添いかねる結果となりました。 17時までに電話しなくちゃ。 ポー…

社会性と幸福度

 社会的な喜びについて考えてみる。社会的な喜びを感じられないとわたしたちはどうなるだろうか。  わたしたちは社会的な喜びを感じることができる。それは社会に出るま…

2

書き言葉はいつも手遅れだ。

書き言葉はいつも手遅れだ。このことを痛みをもって実感する。 「書き言葉は既に/常に遅れている。」 こんなことをどこかの本で読んだことがある。どの本だっけな。典拠…

3

生きてこそ

Kiroroの「生きてこそ」を知っている世代はもう少なくなったのか。 ムシキングというアニメの主題歌で、今聴いてもいい歌だなと思う。 子どもが何気なく見ているアニメの…

4

年の瀬――寒さと寂しさ

10代の頃は年末年始が怖かった。 普段行っている場所が全部閉まってしまう。 学校も、部活も、ファーストフード店も、図書館も、わたしの行っていた場所はどこもやってい…

2

世界がもし100人の村だったら――見えない世界に思いを馳せる

 こんばんは。12月も半ばですが暖かいですね。みなさんは何故だかわからないけど、日頃頻繁に思い出すことってありますか。  わたしは最近、「世界がもし100人の村だっ…

1

時代を生きる不甲斐ない自分

もうずっと何も出来ない。 毎日のニュースや世間の反応に気持ちが追いつかない。 食事をするのも起き上がるのもおっくうで、毎日何をしているのか覚えていない。 自分に…

2

未来へ

命は平等だ 命を大切に どんな人であれ重んじよう そんな教え、全部嘘だったじゃない。 こんなことに気付いてしまうのはわたしたちの時代まででいい。

1

言葉について考える(13)戦禍と言葉

 世の中は変わった。  noteを始めたころ、自分が書くものには政治的主義主張を含めるのはやめようと思っていた。そのようなことを発信するのは別の場所でいいからだ。自…

3

ホームと月

電車から降りる人の波を一番後ろから見ていた。 そういえば、いつだってわたしはこうして後ろからみんなを見てたっけな。 いつも気付けば一番後ろ。 なんで遅れてしまう…

5

大人になるって

「何歳までにしないと手遅れ、間に合わない。」 そういう言葉を疑いながら生きている。 多分それに全然間に合っていない自分と、間に合わないながらもやってきたことが全…

4

言葉を歩かせる

 今日も仕事終わりに散歩をして帰る。  なんだか最近、右脚のふくらはぎだけやけに痛いと思ったら、右肩にバックをかけて何時間も夜道を歩いているからだった。毎日取り…

3

バナナはおやつに入りますか?――これこそソシュールの問いか。

バナナはおやつに入りますか? 日本人であれば誰もが聞いたことのあるこの問い。 バナナ遠足のおやつに入るか問題。 ソシュールの言語学を学ぶにつれ、これこそソシュー…

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議論ができない。論破、問いとは何か。

都知事選が終わりました。
投票日からもう一週間、でもまだわたしは胃もたれしています。もうお腹いっぱい、食べられません。

さて、さまざまなメディアや個人の投稿で、都知事選についての意見が述べられています。胃もたれの原因はわたしがこういうのを見ているからなんですが、わかっていても気づけば追いかけてしまいます。

誰が投げたかもわからない言葉の断片が目に入ってきて、投げつけられた跡だけが心の中にべちゃ

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1900年代の英語感

こんにちは。
みなさんお元気ですか?

今は6月の中旬、しかし気温は30℃。
また暑い夏がやって来そうですね。

この時期冷房を付けていいものか、
いやもうすこし付けずに頑張ろうか、
迷うものです。付けるべきでしょうか。



 先日本屋に立ち寄ったらこんな表紙が目に入り、買ってしまいました。
最所フミ『日英語表現辞典』
ちくま文芸文庫、2004年

 最所フミさんは1908年生まれの辞書編集者

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20代

わたしにとっての20代は、
自分には何ができないのかを知る時代だった。



20代は成長の時代、チャレンジの歳

そんな風に言ったりする。

自分のできることを突き詰めるとか、
力を試すとか、
成長して仲間を増やすとか、

若さとはそういうプラスの歳月のことだと思っていた。



わたしにとっての20代は、

自分には何ができないのかを痛みをもって知る時代だった。

やりたいことがあっても、

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身体と心

お世話になっております。お世話になっております。
検討させていただきます。
慎重に検討した結果ご希望に添いかねる結果となりました。
17時までに電話しなくちゃ。
ポートフォリオの画像を修正して……。
明日の午前中までに内定辞退するか決めないと。

頭の中はいつもぱんぱんになって、頭痛がしても頭痛薬を飲む。

「ライターにこだわっているみたいだけど、何か自分でやってるの?」
「収益出てないってことだ

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社会性と幸福度

 社会的な喜びについて考えてみる。社会的な喜びを感じられないとわたしたちはどうなるだろうか。

 わたしたちは社会的な喜びを感じることができる。それは社会に出るまでは家庭や学校のなかで、社会に出てからは会社や趣味などの所属している集団の中で獲得する。青年期まででいえば例えば、周りの人に親切にしたら母親に褒められて嬉しかったとか、学校で表彰されて皆から認められるなどの喜びがあるだろう。大人になってか

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書き言葉はいつも手遅れだ。

書き言葉はいつも手遅れだ。このことを痛みをもって実感する。

「書き言葉は既に/常に遅れている。」

こんなことをどこかの本で読んだことがある。どの本だっけな。典拠を探している間に、世の中はどんどん巡っていって、見つけた頃には局面は既に過ぎている。

正しくものを書かなければ、間違いがないように文字にしなければ、そう思って確認をしている間に、書き言葉はもう既に遅くなっている。

ここ数か月、一体何

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生きてこそ

Kiroroの「生きてこそ」を知っている世代はもう少なくなったのか。

ムシキングというアニメの主題歌で、今聴いてもいい歌だなと思う。

子どもが何気なく見ているアニメの主題歌で、あなたたちの命は何よりも尊いと歌うこと。こういうことが大事だと思う。

この曲をここ数日よく思い出して、聴いている。

今年は世界や秩序とはこんなにも脆弱なものなのかということを知った。

子どもたちに今のわたしたちは言

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年の瀬――寒さと寂しさ

10代の頃は年末年始が怖かった。

普段行っている場所が全部閉まってしまう。

学校も、部活も、ファーストフード店も、図書館も、わたしの行っていた場所はどこもやっていない。

たかだか数日ぐらい、何とかなるでしょ。

それがなんとかならないんだ。

凍える寒さの中、家を出て、どこに行けばいいのか、街を彷徨う。

正月に流れる琴の音楽は、わたしにとっては不安と寂しさの音楽だった。

夜9時まで開いて

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世界がもし100人の村だったら――見えない世界に思いを馳せる

 こんばんは。12月も半ばですが暖かいですね。みなさんは何故だかわからないけど、日頃頻繁に思い出すことってありますか。

 わたしは最近、「世界がもし100人の村だったら」というトピックについてよく思い出します。

 これはもし世界が100人の村だったら、そのうち何人がどのような人かという想定を数字で示すという試みです。このトピックはもともとはチェーンメールで広がったもののようで、後々本にもなって

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時代を生きる不甲斐ない自分

もうずっと何も出来ない。

毎日のニュースや世間の反応に気持ちが追いつかない。

食事をするのも起き上がるのもおっくうで、毎日何をしているのか覚えていない。

自分に直接関係のないことでなぜそこまで落ち込むのか。周りによくそう言われたけど、わたしはこういう人間なんだ。

大学院に行って勉強をして、研究者になるつもりだった。

実際入ってみるとそこは、とても特殊な世界で、力があるだけで職に就けるわけ

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未来へ

命は平等だ

命を大切に

どんな人であれ重んじよう

そんな教え、全部嘘だったじゃない。

こんなことに気付いてしまうのはわたしたちの時代まででいい。

言葉について考える(13)戦禍と言葉

 世の中は変わった。

 noteを始めたころ、自分が書くものには政治的主義主張を含めるのはやめようと思っていた。そのようなことを発信するのは別の場所でいいからだ。自分の詩や言葉について書いていける場所でいいと思っていた。

 しかし、世の中は大きく変わった。政治的発言を含まない方が難くなった。

「何も言わなくていい」という時代は、平和だったのかもしれない。

 noteに書いてきたことで一つ自

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ホームと月

電車から降りる人の波を一番後ろから見ていた。

そういえば、いつだってわたしはこうして後ろからみんなを見てたっけな。

いつも気付けば一番後ろ。

なんで遅れてしまうのかいまだにわからない。



でも悪いことばかりじゃなく、

今日はみんなの後ろ姿の上に月を見つけた。

大人になるって

「何歳までにしないと手遅れ、間に合わない。」

そういう言葉を疑いながら生きている。

多分それに全然間に合っていない自分と、間に合わないながらもやってきたことが全部無駄ではなかった経験がそう思わせるのだと思う。



人の脳は○○歳までには固まる、成熟するから、何かするならそれまでに。

これはよく言われることだが、自分の経験を振り返って見ると実際そんなことはなかった。

わたしは成熟といわれ

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言葉を歩かせる

 今日も仕事終わりに散歩をして帰る。
 なんだか最近、右脚のふくらはぎだけやけに痛いと思ったら、右肩にバックをかけて何時間も夜道を歩いているからだった。毎日取り憑かれたように散歩をしているのは、日中のもどかしさを何とか埋め合わせしようとしているのかしら。

 街を歩いていると本当にいろいろな発見がある。東京はこんなに坂が多かったのかと驚いた。それもちょっとした坂じゃなくて、かなり急勾配が多い。生ま

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バナナはおやつに入りますか?――これこそソシュールの問いか。

バナナはおやつに入りますか?

日本人であれば誰もが聞いたことのあるこの問い。
バナナ遠足のおやつに入るか問題。

ソシュールの言語学を学ぶにつれ、これこそソシュールが打ち出した構造学的言語学の問うたことなのではないかと思った。
そんな冗談をと言わず、もうちょっと読んでみてほしい。



ソシュールは言語学を学ぶ上では欠かせない存在だ。
しかしその内容はとても難解である。
わたしは大学院生の時に

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