記事一覧
カルテ25:言葉の党派性
クソクレーマーの「お客様は神様だろ」という言葉がありますが、あの言葉の本来の意味は三波春夫の「芸をする上で雑念払って最高の芸に仕上げる。だからお客様は神様という絶対者だとみて臨む」なんですよね。
同じように「健全な精神は健全な肉体に宿る」というのも元は「願いごとをするならあまり大欲を抱かずに健全な肉体に健全な精神が宿ってほしいぐらいにしましょう」みたいなものだったはず。
最近だと「置かれた場所
カルテ22:自分の加害姓
最近「そんなに邪悪ではないはずが何の因果か他人を踏みにじる・尊厳を奪う側になる人物」という要素を持つ作品をよく観る気がします。
パッとあげるだけでも、進撃の巨人、歌われなかった海賊へ、ゲゲゲの謎、そして最近「ここはすべての夜明け前」が加わりました。
ちょっとネタバレになってしまうのですが、作中の主人公もかつて搾取される側だったのですが、愛の渇望ゆえにある人物の人生を搾取した(してしまった)という要
カルテ19:グレーゾーン
やっぱり世にいうグレーゾーンというのが苦手です。
前にも同じことを言ったと思いますが、正直「いずれ出すための答えの保留」という側面がすっぽり抜けて「理屈をとっかえひっかえする場合わけ的思考」あるいは「ジョージ・オーウェル的な二重思考の産物」とごちゃごちゃになってないかというのがあります。
曖昧で世が成り立っているならせめてこのグレーゾーン定義自体をごちゃごちゃにしないで欲しいなという思いがありま
カルテ17:救われた夢
なんだか今朝は変な夢を見ましてね。
いくつかの断章のように場面が切り替わっていって大半は覚えてないんですけど、ひとつだけ夜中に目が覚める直前のは明確に覚えてます。
どうやら自分はストレッチャーかなんかに運ばれてたんですけど、どうも姿勢からして起き上がってるようだけども視点が地面に置いたカメラから見たように低かったです。
それで看護師っぽい方が「少し注射をしますね」といって両方の人差し指に注射をぶ
カルテ16:絶望すら無価値にせよ
前に自分は「この世界は剥き出しの状態だと、無意義の集まりだ」みたいなこと言った(もしかしたら違う言葉かも)と思いますが、そこにある種の価値を見てる面があるのは一種の矛盾じゃないかと思います。
最近だと物語の作劇上で「負のご都合主義」という言葉があるので、その方面の比喩を用いた方が実像として近くなるかもしれません。
この世が無意義というなら、その無意義さすらも特権性があるわけもなく、無意義さを優位
カルテ14:「人間はどこまで家畜か」を読んだ
今回診察というより読んだ本についての感想ですかね。
熊代亨の「人間はどこまで家畜か」という本です。
生物進化学で「自己家畜化」というものがあって、「人間が生み出した環境の中でより穏やかに、群れやすく進化していく」とのことで、それが人間にも、ひいては文化的な事象をとおしておこる"文化的な自己家畜化"について書いています。むやみやたらに殺しては奪うより、コミュニティ内でルールを築いて穏やかにするの
カルテ12:ローティのせいだ
前に「精神障害を持ってる人の方が世界を正しく捉えていて、健常者の方が好意的に歪めて世界を捉えてる」という仮説があるらしいという話をどっかで聞いたことがあります。
正直これに関しては正しく捉えてる云々は思ってなかったわけですけど、バイアス抜きに世界を捉えるということは、「世界の側が美しくある義理はない」というように、この世界に対しての期待の一切が意義をなさなくなるようなことだと思います。
先ほど
カルテ11:石とならまほしき夜の歌と希死念慮
石とならまほしき夜の歌という中島敦の作品を知っているでしょうか。山月記で有名な方です。「その声は、我が友、李徴子ではないか?」の人の短歌です。R.Dレインの「好き?好き?大好き?」の訳者解説の中で引用されてたものなのですが、気になってその歌を読んで見るとその歌の中の石は有情の有機体と違って穏やかそうだなと思いました。
この石になりたいというのは自殺願望(というより希死念慮に近い)の形態近いものが