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路地裏で揺らぐ -内在性解離の当事者研究-

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精神的虐待サバイバーであり、内在性解離を持って生きる僕たちを記録するエッセイを集めたマガジン。10人のパーツたちがそのときどきで思ったこと、考えたことをまとめている。
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2021年8月の記事一覧

私なりのミニマリズム

私なりのミニマリズム

こんにちは、亜麻(ああさ)です。

私についての紹介はこちらの記事をどうぞ。

私にとっての理想のミニマリズムとは私は、「少ないもので豊かに暮らす」のが好き。

いわゆるミニマリストだと思います。

理想は、クラシカルなスーツケースひとつで、どこにでも身軽に歩いて行けること。

エリサさんの著書『トランクひとつのモノで暮らす』は私の好きな本のひとつです。

……が、そう簡単に「トランクひとつ」にま

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最近、「監理者」と仲が良い。

最近、「監理者」と仲が良い。

こんにちは、「繊細」です。

なんか最近、「監理者」くんと仲良くできている自分にびっくり。

前は絶対相容れない相手かと思ってた。

これも「パーツ」という概念が私たちの中に導入されて、主さんの認識や印象が整理されていった結果なのかな。

前はお互いの顔が見えなくて、闇雲に批判し合っていたようなのが、どんな相手か見えるようになって、分かるようになって、共通点も見えるようになってきたというか。

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高さの変えられる机が、僕たちには合っている【僕とパーツの人生紀行】

高さの変えられる机が、僕たちには合っている【僕とパーツの人生紀行】

僕たちの机の好みはまちまちだ。

僕はこだわりが薄く、ごく一般的な学習机でも、ダイニングテーブルで作業しても一向に構わない。

一方「繊細」は、木目が優しいダイニングセットを机代わりにする暮らし方に憧れているし、

「監理者」は、飴色の木目の天板に、黒い金属製の脚がついたような、ス〇バにありそうなワークスペースがお気に入りだ。

「パニック少年」はかわいらしいサイズのテーブルと椅子を、部屋の一角に

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【パニック少年】ぼくたちは中途半端だ。

【パニック少年】ぼくたちは中途半端だ。

ぼくたちは「解離性同一性障害」にがい当するのだろうか。

ぼくは自分のことを発達障害的な特性をたくさん持っている人だとおもっている。

でも、そう診断されたことはない。

うつ病も、適応障害も、全部そう。

ぼくはこの症状を持っていて、ある程度困っているのに、診断基準に届いていないから、診断名がつくことがない。

これは、とても中途半端でもやもやする。

ぼくたちは自己分析というか、自分の内面を見

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泣いたあと、お風呂に入りたくなかったあの時の理由【僕とパーツの人生紀行】

泣いたあと、お風呂に入りたくなかったあの時の理由【僕とパーツの人生紀行】

どうも。直也です。

いろんなところでいろんなことを書いているうちに名乗る必要性が生まれて、定型文めいたあいさつが使えるようになった。

それはそうと、今日はふと思い出したことの話。

不思議な現象子どもはよく泣く。例にもれず、主もよく泣く子どもだった。

今、当時を振り返れば、泣いていたのは「パニック少年」や「たたかうパーツ」の方だったのかもしれないけど。

感情をふりみだしてわあわあ泣いたその

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引き金はなくならない【僕とパーツの人生紀行】

引き金はなくならない【僕とパーツの人生紀行】

僕の趣味図書館で、子育ての本を借りてきた。

僕は子育て系の本を読むのが好きだ。

これは「より良い過去の可能性」を探求したいがために生まれた好みなのかもしれない。

「もしも、違う育てられ方をしていたら」

「もしも、より良い対応の仕方があったのなら」

本を通して、(主の、ではなく概念的な)親の目線で子育てを知ることで、やり直せない過去の記憶と折り合いをつけようとしたのが始まりだったのかも。

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小さな遠足【僕とパーツの人生紀行】

小さな遠足【僕とパーツの人生紀行】

この間、僕たちはみんなで図書館に行った。

体はひとつしかなく、代表して歩いていたのは主だが、心の面では、僕たちはみんなで一緒に外出していた。

みんなで嬉々として出かける場所は図書館くらいではないだろうか。

「繊細」と「監理者」はカフェで読書や作業をするのが好きだが、「パニック少年」にとっては刺激でしかないから留守番を選ぶし、僕は部屋にこもって書いているのが主な役割みたいなものだから。

話を

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僕の興味関心は、誰かの無関心【僕とパーツの人生紀行】

僕の興味関心は、誰かの無関心【僕とパーツの人生紀行】

僕たちパーツはひとつの体に同居していながら、性別も性格も興味関心の方向も、まったくもって違っている。

例えば僕は、育児や保育系の本を読むことが好きだ。インテリアに大したこだわりはなく、無難なデザインで、問題なく使えればそれでいい。

一方「パニック少年」は僕と同じ本を、子ども目線や、主が子どもだった頃の記憶と比較しながら読む。ままごとセットを中心に、おもちゃも好きだ。いつか和室の隅におもちゃを飾

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「監理者」と僕【僕とパーツの人生紀行】

「監理者」と僕【僕とパーツの人生紀行】

今日は「監理者」というパーツについて話そうと思う。

正直、僕が直接的に関わることは少ないのだが、遠目から観察しているとおもしろい人だ。

「おもしろい」というのは「興味深い」という意味で。

彼は僕たちの中で「規律」を司っているような人だ。「日常を送る自己」の代理として、長く事務的なことを担ってきた。

まるでビジネスマンのように、のりの利いたスマートなシャツと細身のスラックス、ほどよく爪先の尖

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亜麻(繊細)と僕【僕とパーツの人生紀行】

亜麻(繊細)と僕【僕とパーツの人生紀行】

亜麻(繊細)は、数いるパーツたちの中の数少ない女の子。
「亜麻」と書いて「ああさ」と読む。
「あまちゃん」と呼ばれても構わない、本名が「ああさ」と分かってもらえれいれば。

彼女は「心豊かで、丁寧な暮らし」の達人だ。

彼女の見た目は20代くらい――だが、実際には10代半ばを過ぎたくらいである。大人っぽく見られる服装をすることが多いようだ。

淡い茶色の髪を後ろで太い三つ編みにしている。

趣味と

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主は時間を守れない【僕とパーツの人生紀行】

主は時間を守れない【僕とパーツの人生紀行】

主は、基本的に時間に遅れないことを自慢としている。

高校の頃、應援團で「時間厳守」が徹底されていた影響が大きい。

時間を逆算して準備をし、現地まで向かう所要時間を計算し、何時に出れば良いか計画する……。

そういうスキルが身についた。

……のだが、それで本当に主が「時間を守ることができる」と言えるのかは、少しあやしい。

そもそも主は、「時間が守れない」タイプの人間だ。

あれは小学2年生く

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名前を覚えられない僕たち【僕とパーツの人生紀行】

名前を覚えられない僕たち【僕とパーツの人生紀行】

僕たちは人の顔と名前を覚えるのが苦手だ。

これほど相手に申し訳ないことはない、というほど重大な問題だと思っているので、これまで無為に「頑張る」ことで克服しようとしてきた。

……大して効果はなかった。

なんとかその場はしのげても、やはり数日、数ヶ月、数年経つと記憶から名前が抜けてしまって、顔はぼんやりと覚えているので「どこかで会ったことあるんだろうなあ……」としか思えないのである。

だから街

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直(パニック少年)と僕【パーツと僕の人生紀行】

直(パニック少年)と僕【パーツと僕の人生紀行】

数いるパーツたちの中に、主が「パニック少年」と名付けたパーツがいる。

彼はいわゆる「インナーチャイルド」と呼ばれる心の部分とも共通項を持っているのではないか、と思われるパーツだ。

子ども心を持っていて、トラウマの影響を抱えた子どもであり、今でもおもちゃと遊びが大好きである。

今日はこの「パニック少年」について語ってみたい。

これは僕も最近発見したことなのだが、僕は「パニック少年」の支援者・

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育児本を読める時/読めない時【僕とパーツの人生紀行】

育児本を読める時/読めない時【僕とパーツの人生紀行】

僕は育児・医療支援系の本を読むのが好きだ。

パーツたちの中に5歳の子たちがいるので、彼らと接する時の参考になればと思って知識を増やしている。

少し前まではパーツの概念がなかったので、主自身がそれらの本が好きだと思っていた。(その見方も間違いではない)

……が、主ひとりが育児本が好きだという認識では説明できない問題も起きていた。

読める時と読めない時があるのだ。

主が本を読める時読める時と

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