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泣いたあと、お風呂に入りたくなかったあの時の理由【僕とパーツの人生紀行】

どうも。直也です。

いろんなところでいろんなことを書いているうちに名乗る必要性が生まれて、定型文めいたあいさつが使えるようになった。

それはそうと、今日はふと思い出したことの話。

不思議な現象

子どもはよく泣く。例にもれず、主もよく泣く子どもだった。

今、当時を振り返れば、泣いていたのは「パニック少年」や「たたかうパーツ」の方だったのかもしれないけど。

感情をふりみだしてわあわあ泣いたその後、必ず起こることがあった。

お風呂に入るのが嫌になるのだ。

というより、服を脱いで裸になる機会があるのが、嫌だった。

これまで僕はその理由を、防衛本能に求めて説明しようとしてきた気がする。

つまり、根本的には信頼できないでいる親に対して感情が止まらなくなったあとの後悔と、本音という「よわよわしい部分」を表出させた後の無防備な感じがする自分。

そこからさらに入浴のために服を脱ぐという行為は、原始的な、物理的な「無防備」を塗り重ねる行動に思えるというか。


あまりにもお風呂に入るのが嫌すぎて、日中汗をかいたけど気にせずそのまま寝たりしたことも、何度かある。

べたべたのまま眠りにつく不快感よりも、たとえ入浴のためだろうが「裸になる機会」の方が何倍も嫌に感じられたのだ。

最近気づいたもうひとつの理由

ところがふと、「別の理由があったのではないか」と考えるようになった。

女みたいな体が見えるのが嫌だったという、理由。


現状、分かっている時点で、主のパーツは15人いる。

もっとこまごまとした役割を持っている人も発見していったら、今後も人数が増えるかもしれない。

そして現状でも男女比を比べると、半分以上が男性だ。僕や「監理者」「パニック少年」も男性である。

が、肉体が女性であることにはあまり違和感を持っていない。

パーツの中には「繊細」のようなフェミニンを大事にしている人もいるし、そもそも僕たちに肉体的な性へのこだわりが薄いというのもあるだろう。

やろうと思えばフェミニンな服も、ボーイッシュな服も楽しめる現状に満足している。


一方で、どうやらそうではないパーツもいるらしいのだ。

僕と主は仮に「イライラさん」と呼んでいるが、もしかしたら「たたかうパーツ」が感情的になっている時かもしれないし、まったく別のパーツなのかもしれない。

「イライラさん」は、主が寝不足で調子が出ない時に現れる。

些細なことになんでもかんでもイライラするのだが、そのイライラを原動力にして、眠かったり、疲れていたりしても、朝のやるべきことを片付けてくれるパーツだ。

先日こんなことがあった。

特別なお出かけのために、「繊細」が奮発してマニキュアを買った。

ずっと試してみたかった、日本の伝統色の名前がついたネイルで、悩んだ末「おみかん」を塗ることに。

お出かけは楽しかったし、「繊細」は自分たちが面倒にならない範囲のおしゃれを楽しめて満足していた。

ところが翌日。

前日の夜更かしがたたって、朝のルーティンをこなしているのは「イライラさん」だった。

「イライラさん」は自分の爪にかわいいオレンジ色が塗ってあるのを見て、難癖をつけたのだ。

「女みたいなことしやがって!」

よく表に出てくる僕や「監理者」「繊細」はその剣幕におどろいた。

けれどもその時は、本当に心から嫌だったのだ。同じ体を使っているのになんとも不思議なことである。

結局、前日とはあまりに違う感想を抱いたことで主がブレンド化に気づき、「イライラさん」と家事を代わったのだが、この出来事は僕たちにいろいろ考えさせるきっかけになった。


そのなかで思い至ったのが、「昔、泣いた後にお風呂入るのイヤだったな」ということだったのだ。

主はパーツとブレンド化しているからと言って記憶の断絶が起きるわけではないから、正直言ってパーツたちがいつからいるのかは分からない。

だが、こういう仮説が立てられるのではないか。

当たっていそうな仮説

「パニック少年」が感情的になり、涙を流した。

「たたかうパーツ」は周囲を信用せず警戒することが仕事なので、無防備に涙を見せたことに自己嫌悪の感情を起こす。

けれどいつまでもメソメソしているのもまた癪なので「イライラさん」が出てきて、夕食・入浴など日々のルーティンをこなそうとするのだけど……。

「イライラさん」の性自認は、おそらく男性だ。

だからこそ自分の「女性みたいな」体を見るのが、洗うのが嫌で、あんなに入浴を嫌悪していたのではないか。

かつてないくらい、僕たちにとっては納得のいく仮説。

嫌悪が薄かった時

逆に、たとえ「イライラさん」が表に出ていようが、嫌悪感が薄かった時期もある。

その時主が何をしていたかというと、男性的な部活に入り、毎日筋トレに励んでいた。

腕や肩にしなやかな筋肉がついてちょっと男性っぽかったのを、僕たちは気に入っていた。「イライラさん」も同じだったのではないだろうか。


それらも加味して考えると、やっぱり上の仮説は真実味があるのかなと思えてくる。

だからといってすぐに何かを変えるつもりはないけれど、「イライラさん」が表に出てきて不快な思いをすることがあるのなら、それは精神衛生上よくないとは思う。

できるだけ「イライラさん」に頼らずやるべきことをこなせるようになれば、みんな心穏やかにいられるのではないだろうか。

そんなふうに考えたりしている。

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