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おすすめの本一覧

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「誰かにおすすめしたい!」と思った本をまとめています。ジャンル不問。
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#芸術

著…あべとしゆき『水彩画 光のアンサンブル 〜あべとしゆきテクニックノート〜』

著…あべとしゆき『水彩画 光のアンサンブル 〜あべとしゆきテクニックノート〜』

 野の花、森、山脈、川…。

 そうした自然を優しい光の加減で繊細に描き、見る人の心を和ませてくれる、あべさんの水彩画。

 これは、あべさんがどのように作品を描いているのか紹介している本。

 ●筆使い
 ●マスキング技法
 ●リフティング技法

 といったテクニックを丁寧に説明してくれるだけでなく、なんとYouTubeの解説動画ページに繋がるQRコードまで数多く付いています。

 わたしはつい

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編…美術手帖『葛飾北斎 江戸から世界を魅了した画狂』

編…美術手帖『葛飾北斎 江戸から世界を魅了した画狂』

 大胆にデフォルメしたり、執拗なほど細密に描き込んだり、「ベロ藍」と呼ばれる深いブルーで静と動を表現したり…。

 遊び心いっぱいで楽しい作品もあれば、同じ画家とは思えないほど狂気を感じさせる作品もある…。

 そんな多彩な北斎の世界を、ユーモアいっぱいに紹介している本。

 春画も結構あるので、小学生以下のお子さんには本音を言うとちょっとおすすめしにくいですが…。

 北斎作品の入門にぴったりな

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著…キャサリン・マーコック 監訳…池上英洋『名画を見上げる 美しき天井画・天井装飾の世界』

著…キャサリン・マーコック 監訳…池上英洋『名画を見上げる 美しき天井画・天井装飾の世界』

 大昔から人類は夢を描いてきました。

 きっと神様は雲よりも高いところにいる、と。

 けれど、人間がどんなに空を見上げても、天井世界を見ることは出来ません。

 それが、どうでしょう。

 壮麗且つ歴史ある美術館、教会、お城といった建築物の天井の中には、神話の世界を想像力豊かに描き込んだ作品もあります。

 そういう芸術を見つめていると、まるで自分が天上世界と一体化したかのような感覚になって、

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著…あべとしゆき『あべとしゆき水彩画集』

著…あべとしゆき『あべとしゆき水彩画集』

 わたしは書店でこの画集を見つけた時、雷に貫かれたような感覚になりました。

 透き通って輝く水面。

 木々を照らす、どこまでも清らかな光。

 まるで、自然の風景の明るく煌めくところを大切な宝物みたいに優しく掬い上げたかのような筆致。

 本の表紙に一目惚れするのは久しぶりの体験です。

 良い本と出会いました。

 どの作品を見ても、一つ一つに映画のストーリーがあるような気がしてきます。

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監修…小池寿子『美しすぎる女神  神話の世界とルネサンス (美術っておもしろい!)』

監修…小池寿子『美しすぎる女神 神話の世界とルネサンス (美術っておもしろい!)』

 ルネサンス期に描かれたギリシア・ローマ神話の女神たちについての児童書。

 クイズ、イラスト、間違い探し、塗り絵などを載せることで子どもを飽きさせない工夫がされています。

 文章も平易で分かりやすいです。

 子ども向けに出版された本ですが、「難しいことは分からない。まずはゆる〜く美術に触れてみたい」という大人にもおすすめ。

 特にメディチ家、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファ

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監修・文…稲田和彦 協力…銀座長州屋『図説・日本刀大全 決定版』

監修・文…稲田和彦 協力…銀座長州屋『図説・日本刀大全 決定版』

 日本刀の魅力を、時代の変遷、持ち主と刀のエピソード、名刀と呼ばれる刀の細部の一つ一つをカラー写真で解説し、手入れの仕方まで教えてくれる贅沢な本。

 人を斬るための道具であることはわたしも重々承知しています。

 日本刀は、たとえどんなに美しくても、武器。

 けれどその魅力はやはり人を惹き付けます。

 刀工たちが鍛え上げ、磨き、銘を刻み、持ち主のもとへ渡ってからは政の場や戦場や儀礼の場でも持

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著…内田広由紀(視覚デザイン研究所)『巨匠に学ぶ配色の基本 名画はなぜ名画なのか?』

著…内田広由紀(視覚デザイン研究所)『巨匠に学ぶ配色の基本 名画はなぜ名画なのか?』

 先日ご紹介した『巨匠に学ぶ構図の基本』と同じシリーズです。

 ↑前作のレビュー

 今回は色使いや光と影の使い方などについての本です。

 改変されたaとオリジナルのbを見比べることで、平凡な絵と名画の違いを明らかにしようという内容。

 色を変えるだけで、絵の主役となるものや、絵が訴えかけてくるメッセージが全く別のものに切り替わるのがとても興味深いです。

 例えば、P18~19で紹介されて

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著…内田広由紀(視覚デザイン研究所)『巨匠に学ぶ構図の基本』

著…内田広由紀(視覚デザイン研究所)『巨匠に学ぶ構図の基本』

 ●世界中の名画に似せて、けれど絵のモチーフの配置や背景や色調などを変えたものをa。
 ●オリジナルそのままのものをb。

 として、aとbの違いを見比べようという本です。

 名画と呼ばれる絵は世界中に数え切れないほどありますよね。

 では、なぜ人々はその絵を見て惹きつけられるのか?

 その謎のヒントとなる本だと思います。

 また、本を読むという行為は基本的に一人でするものですが、この本で

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監修…銀座ギャラリーズ 漫画…もなか『26歳会社員、絵画を買ってみた』

監修…銀座ギャラリーズ 漫画…もなか『26歳会社員、絵画を買ってみた』

 画廊巡りって、なんだかハードルが高い感じがしませんか?

 まるで、物凄くセンスの良い人間しか立ち入ることを許されないような…。

 もっと言えば、入ったら絵を買うまで出て来られないんじゃないか? と思わせるような雰囲気さえあります。

 実際にはそんなこと無いのに。

 この本は、そんな画廊巡りのハードルをグッと下げてくれる本。

 ほとんど漫画で構成されているので、読書の習慣の無い方にも手に

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監修…大友義博『消えた名画』

監修…大友義博『消えた名画』

 盗難に遭ったことのある名画や、今(2014年にこの本が発行された当時)もなお行方不明のままとなっている名画を紹介している本。

 フェルメールの『合奏』、レンブラントの『ガリラヤの海の嵐』『黒装束の婦人と紳士』、マネの『トルトニ亭にて』、ドガの『パドックからの退場』などなど…。

 名画はみんなにとって大切な文化の一つ。

 なのに、窃盗グループにとっては金目のものでしかないのが悲しいです。

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著…エドワード・ブルック=ヒッチング 訳…藤井留美『地獄遊覧 地獄と天国の想像図・地図・宗教画』

著…エドワード・ブルック=ヒッチング 訳…藤井留美『地獄遊覧 地獄と天国の想像図・地図・宗教画』

 「この世」に生きる人々の大きな関心ごとの一つは、「あの世」のこと。

 この本では、国、時代、宗教の異なる人々が「あの世」をイメージして描いた絵画・彫刻・書物等が紹介されています。

 古代エジプト、古代メソポタミア、古代インドといった古いものから、近代に至るまで。

 単に美術書として眺めたとしてもそのイマジネーションの豊かさに心を揺さぶられますし、世界史の書物として読んだとしても解説文に読み

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著…ステファン・パブスト『イラストと写真で描ける3Dアート トリックアート入門』

著…ステファン・パブスト『イラストと写真で描ける3Dアート トリックアート入門』

 「これはこういう物だろう」と思い込んで描くのではなく、形・色・明暗・濃淡・陰影・質感・大きさ・奥行き・傾き・距離感といったあらゆる要素を細かく観察して描くことの大切さを学べる本です。

 どんなに頑張って描いても、立体として矛盾するところがあると、人の目は立体として認識してくれません。

 観察と修整をしつこいくらいに徹底して「目で見たままの姿」を描く必要があります。

 この本に載っている画題

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著…綺想造形蒐集室『幻想仮面の作り方 妖しく美しい異形の仮面コレクション』

著…綺想造形蒐集室『幻想仮面の作り方 妖しく美しい異形の仮面コレクション』

 何を隠そう、わたしは「厨二病」という不治の病にかかっています。

 幻想的な世界観が堪らなく好き。

 だからこの本と出会った瞬間から、ときめきっぱなし!

 たとえば、狐の面、ペストマスク、般若の面、アヌビス神の面…。

 どれもこれもミステリアスで、厨二病患者の心をくすぐります。

 「もしかしたら、この仮面を被ったら二度と顔から離れなくなるのでは…?」と想像し、ドキドキワクワク。

 特に

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著…川内有緒『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』

著…川内有緒『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』

 目が見えなくてもアートを鑑賞することが出来る。

 誰かが代わりに目で見て、どんな作品なのかヒントをくれれば。

 アートを「耳」で見ることが出来る。

 作品の「声」を聴くことが出来る。

 …ということを教えてくれる本。

 この「どんな作品なのかというヒントを他人に伝える」ことって、実はとても難しくて、とても面白いですよね。

 人それぞれ解釈が全然違いますから。

 それに、芸術を言葉で

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