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高井宏章 雑文帳

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徒然なるままに。案外、ええ事書いてます
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#高井浩章

日経新聞を辞めること、今後のこと

日経新聞を辞めること、今後のこと

28年勤めた日経を退職します

いままで内緒でしたが。
『おカネの教室』の著者で、このnoteの主の高井浩章さんは「日本経済新聞社の高井宏章さん」でした。
バレバレ、でしたよね。でも、一応内緒だったんです。
そして、もうすぐ「元日経新聞の高井宏章さん」になります。
6月末の退社予定。あと1か月です。
これを機に、ふたりの「高井さん」は対等の精神で合併し、存続会社を本名の「高井宏章」とします。
分か

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仮想通貨 vs 国民国家

仮想通貨 vs 国民国家

暗号資産(仮想通貨)が史上最大の破綻劇に揺れています。
経過は報道に譲ります。たとえばこちらとか。

代表選手のビットコインをはじめ、マーケットは大崩れです。

仮想通貨の未来を信じる人たちの間では、「仮想通貨は冬の時代に入った」「いや氷河期だ」と悲観ムードが広がっています。
一方、懐疑論者は「もともと、ただのバブルだった」「予想された事態」といった厳しい声が聞こえてきます。

この文章ではもうち

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住宅ローン「変動・頭金ゼロ」のなぜ

住宅ローン「変動・頭金ゼロ」のなぜ

こちら、ツイッターのアンケートで一番人気だったテーマです。
私自身のケースと考え方を書きます。

2007年に中古マンションを買うとき、ローンを組みました。ビックリするほどではないけど、それなりの金額。
この時は「頭金ゼロ&変動金利」を選びました。
2011年に某ネット銀行で借り換えた際、従来より借入期間を伸ばしました。
その後、繰り上げ返済は一切やっていません。
総返済額は増えるし、金利変動リス

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バスケ部のT先生と肉まん

バスケ部のT先生と肉まん

小6の時、バスケ部の練習試合で庄内川の向こうの小学校までバスで行った。相手には175センチくらいの大型センターがいて、確か試合は負けてしまったはずだが、ゲーム内容はまったく覚えていない。
でも、試合の後で起きた出来事は、鮮明に記憶している。
顧問のT先生が帰りに肉まんを買ってくれたのだ。

試合が終わり、私を含む部員十数人とT先生はバス停にいた。次のバスまで20分ほど時間があった。みんな腹ぺこだっ

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「しあわせな片思い」の記録 #子どもの後ろ姿をアップする

「しあわせな片思い」の記録 #子どもの後ろ姿をアップする

まず、この投稿、メーンディッシュはこの文章ではありません。
ツイッターで、
#子どもの後ろ姿をアップする見た人もやる

のハッシュタグを検索してみてください。
数百枚、すばらしい写真がみつかります。
以下、このハッシュタグについての備忘録。

思い付きのハッシュタグこのハッシュタグ、作ったのは私です。
思いのほか反響が大きくて驚きました。

きっかけは自分の何気ないツイートでした。

10年前の

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1万回「スキ」されたnote書きが思うこと

1万回「スキ」されたnote書きが思うこと

noteをはじめて2年ちょい。

「スキ」された回数が1万回を超えた。

嬉しい。みなさま、いつもご愛読ありがとうございます。

まずは証拠画像。

今朝起きたら気持ちよーく、ちょうど「超えて」いた。

さて、記念すべき1万人目の「スキ」をつけたの高井さん自身である。
昨夜、ダッシュボードを開いたら、こんな気持ちよい数字が表示された。

なんと、9のゾロ目。あと1個で1万。
そこで、はたと気づいた

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好きな人と、歩けばいい。 『会って、話すこと。』を読んで

好きな人と、歩けばいい。 『会って、話すこと。』を読んで

田中泰延さんの『会って、話すこと。』を読んだ。
面白かった。

前著『読みたいことを、書けばいい。』の読後、私は長い文章を書いた。

長くなったのは、面白かったから、なのだが、世評と自分の受け止め方にズレがあったから、でもあった。
『会って、話すこと。』については、書評やネット上の感想に違和感はない。「元電通マンが金欲しさで書いた本」と正当に受け止められている。

どこかの本に「誰かがもう書いてい

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魅惑の「大判本」10選+α

魅惑の「大判本」10選+α

我が家のリビングのテレビの下の棚には「大判本」がそこそこ並んでいる。

ここでは大判本を「普通の本棚には収まらない大きめの本」としておく。置き場所に窮して集めてあるという事情はあるが、このスペースには普通のサイズの本も並んでいる。
ここにあるのは「ちょっと変わったお付き合い」をする本たちなのだ。

ギアチェンジのひととき

「ちょっと変わったお付き合い」とは、拾い読みだ。
ご紹介する10冊プラスア

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古くてあたらしい、資本主義と出版 「ひろのぶと」株主ミーティングに寄せて

古くてあたらしい、資本主義と出版 「ひろのぶと」株主ミーティングに寄せて

去る8月6日、田中泰延さんの経営する出版社「ひろのぶと」の株主ミーティングが開催された。

登壇予定だったが、諸般の事情で出席がかなわなかった。私自身、とても楽しみにしていたので、とても残念だった。
未練がましくプレゼンまがいの祝辞を送った。
田中さん、代読ありがとうございました。
短時間で書いたので少々粗いが、少しだけ手を入れて残しておく。
では、ごゆるりと。

おカネの教室 in ひろのぶと皆

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ある政治家の死と、その遺志 現代の病「孤独」との戦いについて

ある政治家の死と、その遺志 現代の病「孤独」との戦いについて

2016年6月16日、イギリスでひとりの下院議員が銃殺された。
41歳で亡くなったジョー・コックス氏は労働党の次代を担うホープであり、2人の幼い子の母親だった。
欧州連合(EU)残留を問う国民投票の直前の悲劇に世界の目が集まり、日本のメディアでも広く報道された。ロンドンに赴任して間もなかった私もその一端に携わった。

暗殺直前の地元紙によるインタビューと悲報の第一報、Wikipediaのリンクを置

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【考察】『チ。ー地球の運動についてー』最終巻をどう読むか【ネタバレ】

【考察】『チ。ー地球の運動についてー』最終巻をどう読むか【ネタバレ】

『チ。-地球の運動について-』が完結した。
面白かった。ここ数年で屈指の収穫だろう。

最終巻を読了した後、私はこんなツイートをした。

少し補強して書き残しておく気になった。
ネタバレ全開につき、マンガを先にどうぞ。全巻大人買いで損はない。

最終話はパラレルワールド?この傑作のラストについて、ネットには戸惑いの声があふれている。

淀みなく進んできた物語は、最終ランナーのアルベルト・ブルゼフス

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円安加速を「お金の値段」から考える 『おカネの教室 in ほぼ日の學校』補講

円安加速を「お金の値段」から考える 『おカネの教室 in ほぼ日の學校』補講

糸井重里さんに誘われて、「ほぼ日の學校」に登壇しました。
「おカネの教室 in ほぼ日の學校」のテーマは「お金の値段」。
モノに値段をつけるのがお金の役割だから、なんだかおかしなタイトルだけど、3つの側面から「お金の値段」を考えると、経済の勘所が見えてくる(のではなかろうか)というお話をしました。
ご興味のある方は、下のリンクからどうぞ。
会員登録が必要ですが、1か月は無料でお試しできます。素晴ら

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「投資や経済の『それ先に言ってよ!』を全部書きました」高井宏章インタビュー by 高井浩章

「投資や経済の『それ先に言ってよ!』を全部書きました」高井宏章インタビュー by 高井浩章

以前インタビューしてくれた新聞記者の高井宏章さんが本を出した。

どう見ても『おカネの教室』のパクリだ。
けしからんので呼び出したのだが、話してみたら案外エエこと言うので、剽窃は不問に付してインタビュー記事にしてあげることにした。こちらのnoteのお返しだ。

「お仕事」のはずが本気に--よくもこんな露骨なパクりのタイトルつけたね
高井宏章さん(以下、宏章)「いや、タイトル決めたのは編集者なんです

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稀有な書き手による、生涯に一冊だけ書ける本 『ウナギが故郷に帰るとき』

稀有な書き手による、生涯に一冊だけ書ける本 『ウナギが故郷に帰るとき』

どんな人でも、ある程度の年齢になれば、一冊は本が書ける。自伝だ。
退屈な自分語りに終わるか、興味深い本になるかは、その人の歩みによるだろう。
『ウナギが故郷に帰るとき』は後者のなかでも、極めてユニークな傑作だ。

謎に満ちたウナギという生物を追う人類の歴史と、著者の子ども時代のウナギ釣りの思い出が交互に差しはさまれる構成に、読者は最初戸惑うだろう。

地理としては大西洋から欧州大陸全域、時間軸はア

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