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素敵な靴は、素敵な場所へ連れって行ってくれる。46(最終回)
地下鉄を降りて、日陰のない道を、汗をかいて歩き、ようやく会社のビルのポーチを抜けて入口まで来たとき、少し先を、着物を着た女性が歩いているのに、二人は気付いた。
こんなオフィス街に和服を着ている人自体珍しい、しかも盛夏は過ぎたとはいえ、まだまだ暑い日は続いている、ビルからか出てきた外国人達が思わずその人を振り返ってみていく、薄い水色の着物と、白い帯が涼し気で印象的だった。その人は何か急いでいるのか
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拓海とは、あの夜以来、互いに言葉を交わすことが少なくなった、拓海自身もあの賞を受賞以来、忙しいのか、遅くに帰ってきたり、場合によっては帰ってこなかったりした。
ある夜は、拓海の事が載っている新聞を有美に見せてくれたり、来週テレビにでるんだと明るく有美に話したりはした。何か気まずいような二人の間を払しょくしたいのか、気を使っているように有美には思えた。けれども、お互いにやればやるほど、空回りしてい
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「へぇ、すごいね、こんな賞をとるなんて。」
紗季は、注文したパスタを食べながら、早速スマホで、拓海が受賞した賞の事を検索している。
パスタがおいしいこの店に行ってみようと、昼前に紗季が、有美のところへ誘いにきたので、会社からは少し遠くなるけど、誘われてみて有美も久しぶりに行く気になった。
いつの間にか、会話の中で、拓海の話になり、二人の事情をよく知っている紗季に、有美は少し拓海の受賞の件を話してみ
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大津に付き合い、近くのバーへ二人で行った。そこは小さなビルの5階にある店で、表通りに面してはいるが、それとはわかりにくい店だった。
大津は、ここへはよく来るのか、慣れた足取りで、ビルの小さな入口から、エレベーターで店へと入った。
重そうな木目の扉を開けると、大きなカウンターが窓に向かって設えてあり、ちょうど六本木方面の夜景が正面に見えた。週末で店内は、混んでいたけれど、カウンターにちょうど空
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その後も、三人でたわいもない話をしていうちに、デザートが出た、柿とジェラートをあつらえた凝ったもので、運ばれてくるなり南村が珍しく声を上げて喜んだ。
早々に、デザートを食べ終わった、南村が
「ごめん、ちょっと煙草吸ってくるね。」
そう言って、席を立った。大津がすっと席を空けて彼女を通す、南村は場所を店員の女の子に聞いているようだが、どうやら店内には、喫煙できる場所は、ないらしく、階段を上って店
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南村の話が、大津の反論もなく尻切れトンボの様に終わると、大津が運ばれてきた魚料理を、二人に取り分けた。ここ柔らかいよと言って、有美にその皿を差しだすと、今度は同じように取り分けた皿を、熱いうちにたべな、と言ってやさしく、南村の前に取り皿を置いた。
南村は、視線を合わすように大津の方をみて、小さくありがとうと言って皿を取った、今まで話していた声と違い、やさしさにあふれるような声に、有美には聞こえ
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大津が、コースを予約していたので、順次料理は運ばれてくる、有美がいつも紗季と食べているような料理でなくて、懐石料理のような、あまり食べたことのないものが、次々と運ばれてくる。
「プレゼンは、どうだったの?」
運ばれてくる、料理をテーブルの上で整理しながら、南村が、そう尋ねた。
「うん、少し今までとは毛色の違う、提案だったからね、上手くいくかどうか、けど向こうには、結構受けがよかったよ、心配するほ
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駅から劇場までは、徒歩で五分ほどだった。
駅前繁華街の一角にある、その劇場は周りの商店などに挟まれた感じで、歩いていると突然現れた。
入り口付近は、開演時間が近いせいか、開場を待つ人たちで人だかりがしている。有美は駅から地図アプリを見ながら来たので、突然の人だかりに少し驚きつつも、結構な人数の観客の数に少し安心した。ここへ来る前は、観客が少なかったら、どうしようと少し不安だったからだ。紗季も
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コードを目視して、バグの個所を見つける、そしてそれを少し書き直す、そんな単純作業の連続だ。静かな音楽が流れる誰もいないオフィスで、一人有美は作業を続けた。
無人のオフィスは、有美とっては少し新鮮で、何ものにも妨げられず仕事に集中できるのは、心地よかった。
昨夜遅く帰ってきた、拓海に、仕事で会社へ行くというと、少し驚いたような眼を有美へと向けた。彼もここしばらくは、劇団の稽古で忙しいのか、帰って
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「どうしてですか?」
「うーん、ほらなんか、一番躍動的というか、横の二人を押しのけているような構図でしょ? 人から見れば私も、ああ見えてるのかなと思って・・・・ほんとは全然違うんだけどね・・・・」
少し寂しそうにそう話した。
「そうですか? 私にはそんな風には、見えませんけど」
そう有美が言うと、今度は南村が、あなたはどれが好きと聞いてきた。
有美は、少し考えるふりをして、おもむろに
「私も、真
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「演技、演技っていうけど、みんな一日中演技して生きてるんじゃないかなぁ・・・・私だって、会社へ行けばそれらしく振舞うし、友達のまえで、カッコつけるときもあるし、貴方の前でだって、気を使って振舞うときもあるし、それも全部演技なんじゃないのかな。そう思うと、演技なんて別段特別なものではないし、それをあえて、見に行こうとは思わない、ストーリーを追うなら本を読んだ方が早いし・・・身の回りの人を見ているだ
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