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自己紹介って難しい。 だいたい毎週金曜日か土曜日に更新。

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記事一覧

SNSのこと

2010年代以降的な暮らしとして僕が思い浮かべるのは、スマートフォンとその中にあるアプリケーションソフトだ。 LINEで連絡を取り、Instagramで情報収集して、Twitterに不…

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5日前

読書

1980年代の丁度真ん中に生まれた僕にとって、60年代の安保闘争や三里塚闘争(成田闘争)、70年代のあさま山荘事件で国内での急進的な左派運動が瓦解するまでのことなどは、あ…

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12日前
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自分で髪を切る

十年近く前に今暮らしている町に引っ越してきた。 それまで居た町と全然違う町。似ているのは日差しの強い日に潮の強いにおいが鼻先を掠めていくことぐらいだろうか。 以…

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2週間前
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福田平八郎の回顧展

これまで書いてこなかったが僕は大分県に住んでいる。 別府湾や佐賀関、豊後水道などの豊かな海と、由布岳、鶴見岳などの山、天領・日田や耶馬渓などの河川も充実した豊か…

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3週間前
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夏葉社の本と署名

もう十年ほど前になるか、昔からある地元の小さな本屋さんのおばちゃんに『本屋図鑑』を勧められて読んだことをきっかけに夏葉社という出版社を知った。 東京・吉祥寺で島…

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1か月前
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読書の思い出

以前も少し書いたように、子供時代からいわゆる文字ばかりが並んだ本が家にあるような家庭環境ではなかった。 こう書きながら記憶をたぐってみると、僕の子供時代うちにあ…

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1か月前
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お絵描きは楽しい

一人っ子で鍵っ子だったから、一人遊びが得意だった。 自分の中の妄想から世界までの距離は子供の頃は近く、今は遠い。 妄想の世界と現実が違うということを自覚しているだ…

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1か月前
3

予期せぬ実践編

今週ある日の夕方、駅前の大型スーパーに行こうと思って敷地内に入ると、短い白髪のお婆さんが店の搬入口と自転車置き場の間で顔に手を当てて立っているのが見えた。 よく…

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1か月前
1

利他

十代の終わり頃の一時期、「どんな人になりたいか」という問いを毎夜自分にぶつけていた。 具体的な「何をしたいのか」とは違い、どうありたいのかを根本から考えるような…

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2か月前
7

名入れタオルの話

昨日(6月1日土曜日)は、朝から日テレの報告書を読んで胸糞悪くなって一日体調がおかしかった。怒りに任せて書くこともできたが、いち消費者に過ぎない僕が何を言おうと空し…

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2か月前

ホームセンターは楽しい

帰り道、少しだけ遠回りするとホームセンターが二軒ある。 ひとつはイオン系列の平均的な店、もうひとつはどちらかというとDIY用品が充実した店だ。イオン系列の店の方が近…

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2か月前
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【エッセイ】学校サボって弁当

中学三年生の頃から諸々の事情で高校生のための下宿で暮らしていた。 学校と自宅が離れていて通学が大変な高校生が共同生活をする下宿で、僕のほかに男子七人・女子二人の…

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2か月前
3

映画を観た〈黒部とマイゴジ〉

昨日、Amazonプライム・ビデオで山崎貴監督・脚本による昨年公開の映画『ゴジラ-1.0』を観て、ものすごく違和感を覚えた。 それは、主演の神木隆之介や浜辺美波、佐々木蔵…

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3か月前
1

モノを持つということ

僕が幼少期に住んでいた家は、二階建ての団地だった。一階が狭い台所と八畳ぐらいの居間で、狭くて昼間でも暗い階段を上った二階も同じ広さの畳敷の部屋だった。そこに母と…

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3か月前
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本屋さんのこと

僕が住んでいる町には本屋さんがない。 数年前に引っ越してきたときには昔ながらの小さな書店と全国チェーンの小型店舗がひとつあったが、どちらも3年ほど前になくなって別…

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3か月前
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俺たちのフィールドのこと

1998年フランスワールドカップに日本代表は初出場。 アメリカ大会予選において今も語り継がれる「ドーハの悲劇」を味わい、次回2002年の母国開催を控えていた日本サッカー…

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3か月前
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SNSのこと

SNSのこと

2010年代以降的な暮らしとして僕が思い浮かべるのは、スマートフォンとその中にあるアプリケーションソフトだ。
LINEで連絡を取り、Instagramで情報収集して、Twitterに不平不満を吐露し、Facebookで滅多に会わない(さして興味もない)同級生の近況を知る。
もっと最近になると、YouTubeのコメント欄でレスバトルをして、TikTokを平気で2~3時間も見ている。というような生活。

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読書

読書

1980年代の丁度真ん中に生まれた僕にとって、60年代の安保闘争や三里塚闘争(成田闘争)、70年代のあさま山荘事件で国内での急進的な左派運動が瓦解するまでのことなどは、ある時期まで当時を振り返るテレビ番組で知るだけのもので、はっきり言ってしまえばフィクションと変わらなかった。

小説に興味を持つようになり、戦後派の作家の作品を読んでいるうちに当時運動に熱心に参加した学生よりも少し年上の彼らが語る言

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自分で髪を切る

自分で髪を切る

十年近く前に今暮らしている町に引っ越してきた。
それまで居た町と全然違う町。似ているのは日差しの強い日に潮の強いにおいが鼻先を掠めていくことぐらいだろうか。

以前暮らした町では行きつけの美容室があった。
そもそもものぐさな僕は一度髪を切るとそのまま放置でゆうに数か月は散髪に行かないような人種だが、突然思い立って予約なしで訪れても、少し待てばまあ何とかその日のうちには髪を切ってもらえる店だった。

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福田平八郎の回顧展

福田平八郎の回顧展

これまで書いてこなかったが僕は大分県に住んでいる。
別府湾や佐賀関、豊後水道などの豊かな海と、由布岳、鶴見岳などの山、天領・日田や耶馬渓などの河川も充実した豊かな県だ。日本一の湧出量を誇る温泉に関しては語るまでもないだろう。

そんな大分県出身の画家に福田平八郎という人がいる。

福田は1892年2月28日に大分市に生まれ、18歳で京都に出るとそれからは1974年3月22日に急性肺炎で亡くなるまで

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夏葉社の本と署名

夏葉社の本と署名

もう十年ほど前になるか、昔からある地元の小さな本屋さんのおばちゃんに『本屋図鑑』を勧められて読んだことをきっかけに夏葉社という出版社を知った。

東京・吉祥寺で島田潤一郎さんという方がひとりで営む出版社である夏葉社は、「何度も、読み返される本を」をスローガンに掲げてひとつひとつの作品に丁寧に向き合って本づくりをされている。

出版といえば講談社や集英社などの大手しか知らなかった当時の僕にとってひと

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読書の思い出

読書の思い出

以前も少し書いたように、子供時代からいわゆる文字ばかりが並んだ本が家にあるような家庭環境ではなかった。
こう書きながら記憶をたぐってみると、僕の子供時代うちにあった本といえば母親のレディースコミックと父親が出稼ぎ先からの移動のときに駅のキオスクなどで買ったらしい下世話な週刊誌ぐらいのもので、多少字が読めるようになって自分で漫画を集めるようになるまで絵本すらほとんどないような、とても文化的とはいえな

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お絵描きは楽しい

お絵描きは楽しい

一人っ子で鍵っ子だったから、一人遊びが得意だった。
自分の中の妄想から世界までの距離は子供の頃は近く、今は遠い。
妄想の世界と現実が違うということを自覚しているだけまだましだろう。この境界線が曖昧になり、崩れてしまうとたぶんかなりまずいことになる。

子供時代、自由帳やチラシの裏に絵を描くことが好きで、小学生までは漫画家になることが夢だった。コマを割って描いたこともあるが同じ顔を二度と描けないこと

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予期せぬ実践編

予期せぬ実践編

今週ある日の夕方、駅前の大型スーパーに行こうと思って敷地内に入ると、短い白髪のお婆さんが店の搬入口と自転車置き場の間で顔に手を当てて立っているのが見えた。
よく見ると顔に当てている方の手にはハンカチを持っていて、どうやら顔を押さえているようだ。普通じゃない様子だったから近くに寄って「大丈夫ですか」と声をかけると、お婆さんは僕の方を向いてぼんやりした目で「今ここで転んだのよ」と教えてくれた。地面を確

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利他

利他

十代の終わり頃の一時期、「どんな人になりたいか」という問いを毎夜自分にぶつけていた。
具体的な「何をしたいのか」とは違い、どうありたいのかを根本から考えるような行いで、今以上に塞ぎがちであった当時の僕はどんどん内に向かうようになっていった。

当時僕が至った結論は「誠実でありたい」というものだった。
それは当時夢中になってやっていた音楽活動に対してもそうだし、自分に関わってくれる人たちに対してもそ

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名入れタオルの話

名入れタオルの話

昨日(6月1日土曜日)は、朝から日テレの報告書を読んで胸糞悪くなって一日体調がおかしかった。怒りに任せて書くこともできたが、いち消費者に過ぎない僕が何を言おうと空しいだけのような気がして何も書けずにいた。

一日経って多少落ち着いたので、今回は好きなものの話をする。

「名入れタオル」と言われてピンとくる人がどれぐらいいるだろうか。1985年生まれの僕が成人を迎える頃まではちょくちょく見かけたよう

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ホームセンターは楽しい

ホームセンターは楽しい

帰り道、少しだけ遠回りするとホームセンターが二軒ある。
ひとつはイオン系列の平均的な店、もうひとつはどちらかというとDIY用品が充実した店だ。イオン系列の店の方が近く、DIY系はそこから更に歩いて五分ほど離れている。
僕は二週間に一回ぐらいのペースでどちらかの店に行く。特に買いたいものもないのに。

日用品から木材、工具、自転車、自動車用品など何でも揃っているといっても過言ではないホームセンターの

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【エッセイ】学校サボって弁当

【エッセイ】学校サボって弁当

中学三年生の頃から諸々の事情で高校生のための下宿で暮らしていた。
学校と自宅が離れていて通学が大変な高校生が共同生活をする下宿で、僕のほかに男子七人・女子二人の学生がいて、それぞれ通っている高校も部活も違うがそれなりに平和に過ごしていた。特に僕は唯一の中学生だったこともあり先輩たちによくしてもらった。
僕の事情を呑み込んで迎え入れてくれた下宿屋さん一家にも本当にお世話になって、それまでほとんど勉強

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映画を観た〈黒部とマイゴジ〉

映画を観た〈黒部とマイゴジ〉

昨日、Amazonプライム・ビデオで山崎貴監督・脚本による昨年公開の映画『ゴジラ-1.0』を観て、ものすごく違和感を覚えた。
それは、主演の神木隆之介や浜辺美波、佐々木蔵之介、山田裕貴だけでなく、群衆シーンの人々から元海軍軍人のモブに至るまで、一人として労働者の臭いを感じないということだ。血色もいいしすっきりとしている。もっと平たくいえば誰一人臭そうじゃない。
そこで二年ほど前、1968年公開の映

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モノを持つということ

モノを持つということ

僕が幼少期に住んでいた家は、二階建ての団地だった。一階が狭い台所と八畳ぐらいの居間で、狭くて昼間でも暗い階段を上った二階も同じ広さの畳敷の部屋だった。そこに母とたまに帰ってくる父(父は出稼ぎの土方だった)は布団を並べて寝る。僕は隅に置いた二段ベッドの下部分の中に布団を敷いて寝ていた。
母が片付け全般が苦手な人だったから、一階も二階も物が雑然と並んでいて、父が帰る前日には母と二人でそれをどうにかこう

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本屋さんのこと

本屋さんのこと

僕が住んでいる町には本屋さんがない。
数年前に引っ越してきたときには昔ながらの小さな書店と全国チェーンの小型店舗がひとつあったが、どちらも3年ほど前になくなって別の建物や業態に変わってしまった。
二駅先にそこそこ大きな書店はあるが、10~15分自転車を漕げば行ける距離に本屋さんがない生活というのは本好きにとってなかなか苦しいものだ。

思えば子供の頃から記憶のあちこちに本屋さんの存在があった。家に

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俺たちのフィールドのこと

俺たちのフィールドのこと

1998年フランスワールドカップに日本代表は初出場。
アメリカ大会予選において今も語り継がれる「ドーハの悲劇」を味わい、次回2002年の母国開催を控えていた日本サッカー界は歓喜に沸くと同時に金でW杯を買ったといわれずに済んだことに胸を撫で下ろした。

1993年Jリーグ開幕からの熱狂的なサッカーブームは、今にして思えばバブル終焉と共に下降線に入った経済を忘れるための狂った祭りのようでもあった。

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