ホームセンターは楽しい
帰り道、少しだけ遠回りするとホームセンターが二軒ある。
ひとつはイオン系列の平均的な店、もうひとつはどちらかというとDIY用品が充実した店だ。イオン系列の店の方が近く、DIY系はそこから更に歩いて五分ほど離れている。
僕は二週間に一回ぐらいのペースでどちらかの店に行く。特に買いたいものもないのに。
日用品から木材、工具、自転車、自動車用品など何でも揃っているといっても過言ではないホームセンターの中で、長く留まる売り場が三つほどある。
ひとつ目は文房具売り場。
以前の記事で今あるものを使い切るために新しい文房具は買わないようにしていると書いた。
しかし、文房具というやつは油断しているとすぐに新商品が現れ店頭に並んでいるもので、僕はそれをチェックするのが好きなのだ。ジェットストリームやフリクションのような歴史的な商品は出なくても、日進月歩で進化する文房具は手の平や机の上に収まるサイズ感のモノの中に技術が詰め込まれていて見ていてとても楽しい。
週に1~2回ある早出のとき以外、僕は毎日弁当を作っている。中身は基本的に米とおかず三種類ぐらいなので三十分もかからず仕上げることができる。夕飯を作ることも多いし何気に台所用品は身近な存在だ。弁当箱や水筒はサーモスが気に入っていて長いこと使っている。
ホームセンターでは有名メーカーのコップに非常に似たコップを見たり、おかずカップやキッチンペーパー、ラップなどの消耗品を買ったりするので台所用品コーナーはまず間違いなく立ち寄るゾーンだ。
最後に工具コーナー。これはもう子供の頃から身の回りにあったモノたちだから単純に見ていて楽しいから立ち寄ってしまう。父親がそういう仕事だったし、なんなら父方も母方も祖父は二人とも海関係の仕事で納屋には様々な道具が仕舞ってあった。
シンワの直尺や巻尺を見ると落ち着く。多様なドライバーやラチェットが並んでいるのを見るとワクワクする。電動工具の力強さに憧れたりするし、アシックスやプーマから安全靴が出ているのを知った時には驚いたなあ。大抵は買いもしないのに500円コーナーは絶対に覗く。
他のモノにも当てはまるのだが、僕は何かに特化した専用器具を見ると興奮する癖がある。文房具も台所用品も工具も、専用器具だらけだからそれはもう見ていて楽しい。
余裕があれば木材コーナーも見るし座椅子が売っているようなところも見る。時計のコーナーでチープカシオを買おうか悩んだりもする。
僕がよく行く二軒は住宅街近くなのでこれといって大きな特徴があるわけではないが、店舗の立地によって置いている商品が若干違うことも楽しい。山間の県道沿いなら肥料などが充実しているし、海辺なら釣りコーナーがある。
マクルーハンのメディア論を持ち出すまでもなく、道具は僕らを拡張してくれる人類の叡智の結晶だ。それと気軽に触れ合えるホームセンターという場所はある意味最高のエンタメ空間かもしれない。