誰か立っているなと建物に近づき、ギョッとした。頭がない。でも、マネキンだ。そうかそうかと胸を撫で下ろすが、けれどおかしい。たしかに視線を感じたのだ。これでも私は感受性が強い。過去のヤバい取材経験でも磨かれている。ともかく不思議である。無機質で頭部もない物体に凝視されていたのだ。