のまつマノ

日常の中で出会うコトバをつい転がしてしまう回文脳人間。石川県在住。金曜の宵に投稿しがち。

のまつマノ

日常の中で出会うコトバをつい転がしてしまう回文脳人間。石川県在住。金曜の宵に投稿しがち。

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

【回文〆日記】 #12 あの凧

あっ!あの凧、出とる! 街灯がなくて墓地がある、夜はこわくて通らない近道。その道沿いにそう広くない田んぼがあるのだが、毎年実りの季節になるとそこに、防鳥用の凧が出される。 凧のある田んぼの風景に出くわしたときはいつも、妙にわくわくする。鳥を模した凧の珍しさと、黄金色に染まりかけた穂波の美しさと、おいしい新米への期待、それらがあいまって変にテンションが上がる。 それにしてもあの鳥の凧、かっこいいなあ。ほしいなあ。あの凧が世間で活躍し始めて以来、見かけるたびにそ

    • 【回文〆日記】 #34 チームワークへの欲求

      数年前から 年に一度 請け負っている 仕事がある。 今年も 引き受けることに決め 作業場所へ 赴く。 その仕事は 毎年 担当者が変わる。 初対面の 主担当さんと 副担当さんに ご挨拶する。 普通に 話しやすそうな方々で 安心する。 例年 仕事を始めるまえに 3人で 情報共有する 流れなのだが 今年は それがなく こちらからやんわり 簡単な打合せを 提案したものの なんとなく うやむやに。 その2人は 見たところ どうやら あまり コミュニケーションを 取らな

      • 【回文〆日記】 #33 青草のときめき

        冬の間は 根っこを切っていない 泥つきの長ネギを 常備するようにしている。 旬なので おいしく 常温で 保存がきくため 便利だ。 加熱したときの 甘さが好きだし なんとなく 冷え性の身体が 温まる 気がする。 スーパーには 1年を通して 長ネギが 売っているけど 春になると 自然と 買わなくなる。 冬じゅう食べて 満足している上 冬ほどには 身体が 長ネギの成分を 求めていない感じがして。 ただ 春でも 料理の風味づけに 少量の長ネギを 欲する ことはある

        • 【回文〆日記】 #32 春の見世物

          前回の日記も 桜のことを 書いたのだけど 時節がら また桜のこと。 4月の 2週目である 今週は 生活圏内の そこここで ソメイヨシノが 爆発するように 咲きくるっている。 たしかに みごとで きれいだけど あまりにも 体積がでかく 茫漠としていて 毎春 直視したいのか したくないのか よくわからない 気持ちになる。 せっかく 咲いているのだからと思って 意識的に見ようとすると 焦点が合わないような へんな感じになる。 この感覚は 子どものころから ずっと

        • 固定された記事

        【回文〆日記】 #12 あの凧

        マガジン

        • 回文〆日記
          34本
        • 回文〆ショートショート
          8本
        • 回文〆詩
          1本

        記事

          【回文〆ショートショート】 #8 うぬぼれの一族

          美しい姿になる素因も 美を見抜く才能も 美を愛さずにはいられない習性も 最初から 僕の中にあるんだから 僕が 己の美しさに酔うのは 当然のことなんだ ナルシストが 嘲笑の的になるのは 知ってるけど DNAレベルのことなんだから 僕個人の力で 自己愛を 封じようとしたって 不毛な努力だと 知ってるんだ ギリシャだかローマだかの 昔話に出てくる ナルキッソスは もともとは 人間みたいな姿をしてたらしい あるとき 池に映る自分の姿に見とれて 見つめすぎて 正気を失い 池

          【回文〆ショートショート】 #8 うぬぼれの一族

          【回文〆日記】 #31 川べりの発光体

          3月下旬のある午後。 用事をすませて 普段はあまり通らない 川ぞいの道を 自転車で走っていた。 日暮れより だいぶ手前の時刻だったが 空はどんよりうす暗く 小雨が全身をしめらせた。 うらさみしい気持ちで ペダルをこいでいたところ ある地点にさしかかったときに 突然 視界がぱっと明るくなり はっとした。 色の濃い 早咲きの桜が 1本だけ ぽつんと。 ソメイヨシノには まだ早いこの時期に その木はもう 葉桜になりかけていた。 とはいえ 花にはまだ ボリュームがあり

          【回文〆日記】 #31 川べりの発光体

          【回文〆日記】 #30 くりさがりの暗算

          10年近く前のことだが 原付バイクで事故を起こした。 幸い誰も巻き込まず 自分が電柱にぶつかっただけだった。 通りがかりの人が通報してくれて 救急車で病院に運ばれた。 らしい。 頭を打って意識を失っていたので 後から聞いた話だ。 骨折などの大きなケガもなく 数日の入院で済んだのだが 家に帰ってきてから あることに気づいた。 買いものに行ってお金の計算をするときに 足し算はできるのだが 引き算ができないのだ。 正確に言うと 「繰り下がりのある引き算」の「暗算」 が

          【回文〆日記】 #30 くりさがりの暗算

          【回文〆日記】 #29 カニカマの復活

          おかえり! 待ってたよ! 久々に スーパーの売り場に現れた スギヨの 「ロイヤルカリブ」 石川県では 定番のカニカマだ。 年始の地震で 能登の工場が被害を受け 生産がストップしていたのだけど 3月に入り ようやく 復活を遂げたのだ。 カリブっ!いつ振りか? → かりぶついつぶりか ← そう 昨年末に買って 年始に食べて以来だから 2か月以上ぶりだ。 供給が途切れるまでは 冷蔵庫に常備していた なじみのカニカマ。 また会えたことが とてもうれしい。 カリブ不

          【回文〆日記】 #29 カニカマの復活

          【回文〆日記】 #28 回文修業の1年間

          年始に目標を立てることが 苦手だ。 長い期間 必ず続けると決めた途端 やる気がしぼみ 気がめいるタイプなのだ。 そんなわけで よっぽどの必要性に 駆られない限り 長期的な目標設定は しないようにしてきた。 しかし 2019年の正月に ふと 「1年間、1日1回文を作る」 という 目標が浮かんだ。 なにか目的があったわけでも 誰かと約束したわけでもなく ほんとうに なんとなくだ。 続かなかったときに 罪悪感を抱かないで 済むよう いつやめてもいい という前提で や

          【回文〆日記】 #28 回文修業の1年間

          【回文〆日記】 #27 お肉の祭典

          朝 折り込みチラシを見ていたら 目に飛び込んできた 「お肉の祭典」 という文句。 スーパーのチラシ界では 同じジャンルの商品を特集して 売り出す際 いちご「まつり」 鮮魚「大市」 などの表現を よく使っている印象だけど 「祭典」は あまり見たことが なかった。 その言葉の 重厚感・特別感は うるう年の2月末に ふさわしい気がした。 いつもは行かない スーパーだけど 「祭典」が気になり 行ってみることにした。 - - - - - - - - - - - - - -

          【回文〆日記】 #27 お肉の祭典

          【回文〆日記】 #26 奄美からの小包

          奄美大島在住の 友人夫婦からの 小包を開ける。 中身は 地元産の たんかん。 「今年は裏年で  顔がわるい子しか入手できず…」 お便りには そう書いてあったけど 私の生活圏では あまり見かけない 果物 見た目はどうあれ とてもうれしい。 鼻を近づけると 柑橘ならではの さわやかな香り。 さっそく いただく。 とにかく甘い。 でも ちゃんと酸っぱさもある。 すんごいジューシー。 薄皮ごと食べられる。 行ったことのない 奄美の 春のエネルギーが 心身に満ちる。

          【回文〆日記】 #26 奄美からの小包

          【回文〆日記】 #25 へんな雪塊

          2月上旬のある朝。 ゴミを出すために 家の前の坂をのぼっていると 奇妙なものを発見。 へんな形の 雪のとけ残り。 こわれる前に この珍しい形を 画像に残したい! ゴミをすばやく ボックスに放り込み はや足で坂をくだり 玄関のスマホをひっつかんで 再び坂をのぼった。 めあての雪の塊は 崩れることなく さっきの場所に残っていた。 よかった。 写真に収めた それは 人の目? 猫の目? きわめて 目っぽい形。 人為的なもの? とも思ったが とけ残りの じゃりじゃ

          【回文〆日記】 #25 へんな雪塊

          【回文〆日記】 #24 ブタの片思い

          たまに行く本屋の 児童書コーナーに 靴を脱いでくつろげる カーペット敷きの 小上がりがある。 先日そこで ぬいぐるみの クマとブタを 発見。 売り物ではなく 雰囲気づくりのために 置かれているよう。 私が見つけたときは ブタがクマに 訴えかけているような ポーズだった。 しばらく見ていると ふたりのやりとりが 聞こえてくるような 気がした。   「 …行こっ 」 「 しつこいど 」    「 クマどん、今度、マクド行こっ!」 「 しつこい!」 → いこつしつこいど

          【回文〆日記】 #24 ブタの片思い

          【回文〆日記】 #23 いちごの吸引力

          いちご という果物の 吸引力はすごい。 まぶしい赤の ルックス。 独特な甘酸っぱさの 味と香り。 かわいさと おいしさの 合わせ技。 あざとい。 いちご大福をもらった。 自分では買わない 高級なやつ。 まるごと かぶりついても よかったのだけど いちごの姿を ちゃんと見たくて 包丁で 縦に割ってみた。 思ったとおりの 華やかな断面。 ずるい かわいさ。 味は あっさりしたこしあんと いちごが合っていて おいしかった。 まだまだ寒いけれど いちごで 心は

          【回文〆日記】 #23 いちごの吸引力

          【回文〆日記】 #22 葉っぱの模様

          ここ数年 年明けに値下げになった シクラメンを買うのが 恒例になっている。 暖かくなるまで けっこう楽しめる。 室内に置くと、 ほんわりと 放たれたものが 目と心に 温かい。 今年も買った。 濃いめピンクの ミニシクラメン。 まじまじと観察。 シクラメンの葉っぱって 模様、あるんだっけ? こんな繊細な レースみたいな。 もしかして 知らないうちに 特別なシクラメンを 手に入れていた? 気になって調べたら、 園芸店に売っているものは 葉っぱに模様があるのが ほと

          【回文〆日記】 #22 葉っぱの模様

          【回文〆日記】 #21 あこがれのお仕事

          家の近所に バイパスが通っている。 土地を掘って作られた低いところは 左右が 法面になっているのだが そこには 植物が植えられている。 こういう 植物ポットが連なったような 崖の崩れ止めを 考えた人はすごいなぁ。 アイデアに感心してしまう。 ひとつひとつのポットから 植物が顔を出しているようすは かわいらしく 変化があって 楽しい。 自転車で脇道を通った時は じっくり眺める。 ある日 その法面の高いところに 人が! スピードを出した車が びゅんびゅん走る上で 作

          【回文〆日記】 #21 あこがれのお仕事