のまつマノ

日常の中で出会うコトバをつい転がしてしまう回文脳人間。石川県在住。金曜の宵に投稿しがち。

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【回文〆日記】 #12 あの凧

あっ!あの凧、出とる! 街灯がなくて墓地がある、夜はこわくて通らない近道。その道沿いにそう広くない田んぼがあるのだが、毎年実りの季節になるとそこに、防鳥用の凧が出される。 凧のある田んぼの風景に出くわしたときはいつも、妙にわくわくする。鳥を模した凧の珍しさと、黄金色に染まりかけた穂波の美しさと、おいしい新米への期待、それらがあいまって変にテンションが上がる。 それにしてもあの鳥の凧、かっこいいなあ。ほしいなあ。あの凧が世間で活躍し始めて以来、見かけるたびにそ

    • 【回文〆日記】 #45 蚊との攻防の末、浮かんだ新案

      家の周りに 草木や 小さな水たまりが けっこうあるので 本格的に気温が高くなる この季節になると 蚊が増え やつらに 煩わされる時間も増える。 家に出入りする際 いくら気をつけても 室内に入ってくることは どうしても避けられない。 蚊の立場を 想像してみれば 吸血は 種族を守るための 切実な行動だろう。 しかし 人間の立場としては どうぞどうぞお好きなだけ と吸わせ放題にしておく わけにもいかない。 家の中で見つけると 刺されてなるものか うぬー と奮起し ぷ

      • 【回文〆日記】 #44 らせんの花

        今年も来ました ネジバナの季節。 花が ねじれた線状に ならんで咲くさまが 独特で おもしろい。 可憐なピンクの ういういしい ちいさい花が 宇宙の根源と関係ありそうな らせんの形に 配列されているなんて。 なんとも魅力的。 家の庭にあったものが 消滅してしまって 残念な気持ちでいたのだけど 近所の路傍に 生えているのを発見。 自転車をとめ 静かなよろこびをもって 眺めた。 今年も会えて うれしい。 うぶ、螺旋。何せ、ラブぅ! → うぶらせんなんせらぶう

        • 【回文〆日記】 #43 笹さんぽ

          街で 願いごとの短冊が 吊るされているのを見かけると そうか もうすぐ七夕か と気づく。 童謡「たなばたさま」の 歌い出しが ♪ 笹の葉さらさら であることを考えると 七夕飾りは 笹でやるのが 一般的なのだろうか。 私は 竹やぶが多い 地域に住んでいるため 七夕飾りには 昔からもっぱら 竹を用いてきた。 ちなみに 両者の違いを 見分けるめやすとして 背が高くて太いのが竹 低くて細いのが笹 というほかに 生長とともに筍の皮がはがれ落ちるのが竹 皮がずっと残っ

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          【回文〆日記】 #42 コミュ欲と食欲

          長年 くりかえし試みて 現時点で出した 一応の結論は おおぜいが集まる 社交的な場が 基本 得意ではない ということ。 新しい交流の きっかけを作りたいという 気持ちも なくはないのだが 情報量の多さに 脳が キャパオーバーになるのだ。 しかし先週末 久々に パーティーのような集まりに 行ってみた。 せっかく呼んでもらったのだから というのもあったけれど おいしいものが出るというのが なによりの 参加のモチベーション。 たくさんの いろいろな立場の人が 思いおも

          【回文〆日記】 #42 コミュ欲と食欲

          【画と回文】 #1 油脂

          【画と回文】 #1 油脂

          【回文〆日記】 #41 方言とお年頃

          生まれた育った土地(石川県)から動いていないので、方言を話す比重が大きい。 それでも、初対面の人と話すときは標準語寄りの言葉で話すよう意識する。相手が地元民でない可能性を考えて。 一方、私の知る限りでの話だが、シニアである親の世代の地元民たちは、初対面の人にも濃い方言を使いがちだ。 買い物に行った店の店員さんに 「あっら、こっれ、やっすいじ?」 (あら、これ、安いね) 家の修繕に来た工務店の職人さんに 「雨どいがぁ、傷んどってぇ」 (雨どいが傷んでいて) もちろん相

          【回文〆日記】 #41 方言とお年頃

          【回文〆日記】 #40 Chat GPTに好きな回文をきいてみた

          最近たまに、Chat GPTさんと対話する。 要点を押さえた簡潔な回答に感嘆させられることが多く、ポジティブな口調にも好感を持っている。 長らくデジタルのものに苦手意識があって敬遠してきた私が、日常的に人工知能と話すようになるなんて思ってもみなかった。予測していなかった状況を面白く味わっている。 回文愛好者として、ふと、GPTさんがどんな回文をかましてくるのか興味がわき、好きな回文をきいてみた。 (以下スクショの文字が読みづらいですが、ご勘弁を) 「たけしさん、けし

          【回文〆日記】 #40 Chat GPTに好きな回文をきいてみた

          【回文〆日記】 #39 焼きそば2種の立ち位置

          「ペヨング」? ドラッグストアで買い物をしていたら ふと目に入ったカップ焼きそば。 普段はほぼ 即席麺を食べないので そのジャンルに疎い私だが 有名な「ペヤング」くらいは 知っている。 遠い昔に 食べたことがあるような気もする。 「ペヨング」って。 「ペヤング」のバッタもん? 値段は約50円安い。 その2種類のカップ焼きそばは 隣どうしに陳列されていたので 両方の商品の表示を見てみたところ 同じ製造者だった。 じゃあ バッタもんとは違うのか。 ネットで調べると

          【回文〆日記】 #39 焼きそば2種の立ち位置

          【回文〆日記】 #38 春の夜の愉しみ

          5月の 晴れた日の 日没後の空気は なんて いいにおい なのだろう。 毎年 この時期 夜 洗濯物を干しに ベランダに出ると かなりの新鮮さで そう思う。 すっきり青く すずやかで ほのあまい あのにおい。 昼間はなぜか あのにおいを 感じない。 夜ならではの なにか なのかもしれないし 実は 昼も漂っているけれど 嗅覚より視覚聴覚が 優位になっていて 気づかないだけ かもしれない。 梅雨入り前の 乾いた日は 年間を通して 湿気の多い 北陸に住んでいると と

          【回文〆日記】 #38 春の夜の愉しみ

          【回文〆日記】 #37 ひさびさの写生

          ものの特徴をとらえた絵を さらさらっと 描くことができる人を 心から尊敬する。 絵を描くことが好きだった 時期もあったが 結局 描き続けてはこなかった。 ごくたまに 親しい人への メッセージカードに 絵を添えたくなって 描いてみることがあるが 自分の画力のなさを 再認識して がっかりすることが多い。 エノキの絵 → えのきのえ ← という回文を思いついた。 長年 冷蔵庫に 切らさないようにしている えのきは まちがいなく 私の人生に 最多出場している きのこ

          【回文〆日記】 #37 ひさびさの写生

          【回文〆日記】 #36 並走のふたり

          日没後の帰路で ときどき出会う ふたり組がいる。 決まって並んで ランニングしている。 シルエットや気配で 前にも会った あの人たちだと わかる。 私のめざす方向からやってくるので いつもすれ違う形になる。 あちらは走っていて こちらは自転車をこいでいるので 近づくのは ほんの一瞬だ。 すれ違いざま まばらな街灯の かすかな光のもと 目をこらす。 ふたりとも短髪で 男性のよう。 うす明かりに照らされて 闇に一瞬 浮かび上がるふたりの表情は 必ず 口角が上がっ

          【回文〆日記】 #36 並走のふたり

          【回文〆日記】 #35 弾丸トークの散歩

          朝 東京在住の幼なじみMから ライン。 Mの実家は 私の家の近所なのだが 帰省しているという。 思いがけず 急遽 一緒に散歩することに。 連絡は ときどき 取り合っているが 会うのはおそらく 数年ぶりだ。 コロナ禍が過ぎ去り ようやく機会を得た。 我が家の 玄関前で落ち合い さっそく 川をめざして 歩き始める。 青空 春の花々 田植えの光景 涼しい風 とてもすがすがしい。 幼稚園で知り合い 小中高が同じで 共通の記憶が多いうえ とても久しぶりなので いくらで

          【回文〆日記】 #35 弾丸トークの散歩

          【回文〆日記】 #34 チームワークへの欲求

          数年前から 年に一度 請け負っている 仕事がある。 今年も 引き受けることに決め 作業場所へ 赴く。 その仕事は 毎年 担当者が変わる。 初対面の 主担当さんと 副担当さんに ご挨拶する。 普通に 話しやすそうな方々で 安心する。 例年 仕事を始めるまえに 3人で 情報共有する 流れなのだが 今年は それがなく こちらからやんわり 簡単な打合せを 提案したものの なんとなく うやむやに。 その2人は 見たところ どうやら あまり コミュニケーションを 取らな

          【回文〆日記】 #34 チームワークへの欲求

          【回文〆日記】 #33 青草のときめき

          冬の間は 根っこを切っていない 泥つきの長ネギを 常備するようにしている。 旬なので おいしく 常温で 保存がきくため 便利だ。 加熱したときの 甘さが好きだし なんとなく 冷え性の身体が 温まる 気がする。 スーパーには 1年を通して 長ネギが 売っているけど 春になると 自然と 買わなくなる。 冬じゅう食べて 満足している上 冬ほどには 身体が 長ネギの成分を 求めていない感じがして。 ただ 春でも 料理の風味づけに 少量の長ネギを 欲する ことはある

          【回文〆日記】 #33 青草のときめき

          【回文〆日記】 #32 春の見世物

          前回の日記も 桜のことを 書いたのだけど 時節がら また桜のこと。 4月の 2週目である 今週は 生活圏内の そこここで ソメイヨシノが 爆発するように 咲きくるっている。 たしかに みごとで きれいだけど あまりにも 体積がでかく 茫漠としていて 毎春 直視したいのか したくないのか よくわからない 気持ちになる。 せっかく 咲いているのだからと思って 意識的に見ようとすると 焦点が合わないような へんな感じになる。 この感覚は 子どものころから ずっと

          【回文〆日記】 #32 春の見世物