白井晃

草彅剛の魅惑的なパフォーマンスとファンクの生演奏が貫く切迫した危機感はブレヒトの警句を現代に降臨させる力に満ち満ちている…★劇評★【音楽劇=アルトゥロ・ウイの興隆(2020)】

歴史には時折、悪魔のような人間が現れる。中には生まれついての邪悪な魂を持った人間もいるだろうが、たいていは、そうした悪魔は人間が、そして社会が生み出す-。そのことをとびきりごきげんなファンクミュージックに踊らされながらしみじみと感じさせられた。その快楽的な愉悦は悪魔的な恍惚にも重なり合い、観客をあおり、沸騰させる。ヒトラーが独裁者になる過程をシカゴのギャングの勢力拡大と重ね合わせたブレヒトの戯曲「

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「アルトゥロ・ウィの興隆」を観た。

KAAT神奈川劇場で草彅剛主演の演劇「アルトゥロ・ウィの興隆」を観た。
 ベルトルト・ブレヒトの劇作を白井晃が音楽劇として再構成したものである。舞台の中央にばかでかいバンドワゴンがあって、生演奏を背景に草彅剛がジェームス・ブラウンの楽曲を唄い踊る。ライブか! と思ったくらい音楽性が高かった。
 ギャングのショーといった体裁で、合間合間にセリフが飛び交う。草彅剛演じるアルトゥロ・ウィは悪いやつなのだ

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三回回ってワン!
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【活動報告=舞台「バリーターク」劇評が「演劇感想文リンク」の週間アクセスランキングで他4人と合同で首位、12月中旬以降3作品で4週連続首位続行中(2020)】

noteやわたくしが運営するエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」に掲載した舞台「バリーターク」(白井晃演出)の劇評が、演劇やダンスなど舞台の感想、劇評、レビューを収集して分類掲載している劇評サイト「演劇感想文リンク」の公演別週間アクセスの1月5日から11日までのランキングで他の4人の方と合同で首位を獲得しました。このランキングでは12月15日から21日までのランキングで菅田将暉主演

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わたしもあなたのことがスキです
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「ビッグ・フィッシュ」(感想)人生に魔法をかけるとは✨

ミュージカル大好きメリアです。お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

あらすじは、前noteをご覧下さい_(._.)_

1,深いぞビッグフィッシュ

「ビッグ・フィッシュ」を観て、この舞台から受け取ったメッセージを自分なりに解釈してみた。きっと見るタイミング、状況により、受け取りかたは様々で、どれも正解だと思う。考えさせられるミュージカルだった~。

2,ビ

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ありがとう😭✨
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人生というものの不可思議さと幸福感に満ち満ち、よりその祝祭感を増した作品に成長していた…★劇評★【ミュージカル=ビッグ・フィッシュ(2019)】

親というものは自分の息子や娘になぜこうも本当かどうか分からない話をするのだろうか。自分を大きく見せるため? いやいや子どもの想像力をかきたてるため? いずれにしても、子どもたちがその真実を知った時、互いの真実はふつふつと音を立て始める。そんな世界中のどこにでもある普遍的な物語のようでいて、とびきり特別なミュージカル「ビッグ・フィッシュ」の日本人キャスト版が2017年の日本初演からわずか2年で再演公

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出口なし

首藤康之が踊るというので観に行くことにした。
フランスの哲学者サルトルの戯曲「出口なし」を演劇と舞踊の融合で作るという。

踊りパートによって、言葉で説明できない心情が雄弁に、切迫感を伴って伝わってきて、見入ってしまった。普段あまり演劇は観ないのだけれど、とても楽しかった。

ところで、この作品は演劇と舞踊の境界を超える作品として創作したとある。その試みは何を目指していたのだろう?一観客の感想をそ

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それを地獄と呼んでも天国と呼んでも構わない…★劇評★【舞台=出口なし(2019)】

人間とは何か、「私」とは何かを生涯追究し続けたフランスの哲学者、ジャン=ポール・サルトルが劇作家としてこの世界に残した最高傑作「出口なし」を、世界的なバレエダンサーで俳優の首藤康之と舞踊家で振付師の中村恩恵、そして俳優の秋山菜津子と白井晃の4人で、演劇と舞踊の境界線を越えた全く新しいパフォーマンスとして描き出した。これは演劇界にとってひとつの事件だ。ダンスによって描き出される感情は言葉によって強化

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絶望の中にも人間の果てしない可能性を感じさせる力強い作品に…★劇評★【舞台=華氏451度(2018)】

本を焼くという古典的な思想弾圧や自由の抑圧の方法は幸いにも今の日本では行われていないが、恣意的に創られたり、特定の考え方に染められたりした映像や、感覚だけに訴えて人間から思考する力を削いでいくような番組や音楽はむしろ現代のこの世界にあふれている。書物自体の所有や読書そのものを禁じ、見つかった場合は容赦なく強力な火炎放射器で焼却するという究極的なディストピア(反ユートピア)社会にはまだ到達していない

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うれしいです

【勝手に 『バリーターク』 妄想中】

白井晃さんの描いた『バリーターク』は、こういうことだったんじゃないかなぁ~ と考えてみたのですが、ほぼ私の妄想かもしれません。
(観劇レポではありませんが、ある意味ネタバレは満載です。)  
駄文の長文ですので、お暇つぶしにでも。
宜しければどうぞ。

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Chapter1:プロローグ

【幼い子】

家族とビーチで過ごした帰り道、その子は父親の運転する車に乗っていて事故に遭っ

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バリータークへようこそ!
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