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Boys in the BAND 見てきた

Boys in the band 見てきたの。
板垣さんとの性差別の対談で私、「ジェンダーや、自分の恋愛対象は、すべての人が自分で選び取れて、その選択について尊重されるべきだ」って言ったけど違った。

選び取れないこともあった。

どうしたって、そうでありたくなくったって決まってしまうこともあって、ゲイであることや、生まれた人種もそうで、自分の身が捻り取られるみたいな苦しさを感じながら、あるいは自分で自分を騙してやり過ごしながら生きてかなきゃいけないこともあった。


ここからネタバレね!!


ちょっと昔のお話しで、まだ電話がぐるぐる回して電話をかけるタイプの電話機☎︎のころ。
ゲイの友達7人が集まるパーティー。
ニューヨークのマイケル(安田顕さん)のアパートで、ハロルド(鈴木浩介さん)のお誕生会のためにみんなが集まるの。

楽しいおかま()たちのパーティーなんだけど、そこにマイケルの昔の友達が泣きながら電話をかけてきて、マイケルのところに来るって言うの。その友達、アラン(大谷亮平さん)はストレートの男性でお堅い弁護士。

それまでみんなが「ねえあんた」って言ったり、ゲイの友達を「彼女」ってよんだりして、わたしたちがテレビで見てるあのおかま言葉で喋ってるのがちょっとづつ軋み始めるの。


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結局ゲイの人が女言葉で喋るのって(ゲイじゃない人にもゲイの人にも)わかりやすいカテゴライズなんだと思うけど、本当はそんな簡単な話じゃないじゃん。「そう」しゃべりたくて喋ってるのじゃないこともあるだろうとおもってて。それもつらい。どうなんだろう。
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ゲイフォビアっぽい反応を示すアランに、みんなはゲイっぽさを隠そうとするの。でも、エモリー(浅田陽介さん)だけはゲイっぽさ全開。上手に隠せてるハンク(川久保拓司さん。笑い一切なし笑笑)に好印象を抱いて、エモリーにはわかりやすい嫌悪感のアラン。

アランは、気持ち悪いっていって、エモリーを訳もなく殴って怪我をさせるの。

マイケルはアパートを出て行こうとするアランを強い語調で引き留めて、ゲームを提案する。一番好きな人に電話をかけて好きっていったひとが勝ちってゲーム。

いま考えたらこのゲームって私たちも悪ノリでしそうなゲームだよね。
でも、この7人にとってはそうじゃない。好きな人が好きを(振るにしたって)受け止めてもらえる確証がない。仲間の1人、バーナード(渡部豪太さん)は黒人で、好きになったのは自分が仕えてた白人家庭のご子息。電話をかけるんだけど奥様が出て、「おぼっちゃまに、すべてがうまくいくように祈っていますとお伝えください」っていうしかできない。

そのバーナードを「風と共に去りぬ」のマミーの真似をさせたりして差別してるエモリーに、バーナードは「エモリーは僕を差別することで最後の尊厳を保ってるんだ」って言ってエモリーの差別を許し、差別を憎みながらも自分や他人を差別してる。

もう、みんながそれぞれ、自分のアイデンティティを受け入れるためにズッタズタになってる。

マイケルは、仲間一人一人の傷をさらに爪を立てて引っ掻くように傷つけて、そのたびに自分も傷ついてるのがわかる。なんでそんなに自虐的だし他虐的なの?相手を傷つけるたびにまだ血が乾いてない自分の傷口にも爪を立ててるよう。

ゲームの最後に弁護士のアランに、「君はぼくたちの共通の友達の男のことが好きだった。そいつに電話をして愛してるっていえ」っていうの。
お前も「クローゼット」(隠している)ゲイだろう?って。

でもアランが愛してる人として選んだのは女性である奥さんだったの。


マイケルはアランが好きだったのかな?どうだったのかな?でも、自分がゲイであるってことがものすごく苦しくて、どうにもならなくて身悶えしているのがよくわかった。

最後、みんなが帰っていった自分のマンションで、狂ったように身悶えして泣いて、「ぼくたちはどうしたら自分を傷つけないで済むんだ!!」って叫ぶアランを、恋人のドナルドが「shhhhhhhh」って宥めて落ち着かせて、だんだんマイケルの体から力が抜けてくったりするのが、ちょっと最後、マイケルにとっての救いになるかもしれない愛を見た気がしたの。

Rentよりまだまだ前の、黒人差別もゲイの人への差別も酷かった時代のお話しだけど。いまも、こんな、胃が痛くなるようなままならなさ、自分が自分であることの苦しさってあるなっておもったのん。

ほんっっと凄かったし息ができかなったし、胃が痛い。。。でもものすごい観劇体験でした。安田顕さんがものすっっっごいもの。
コロナ中だけど、これは劇場でみんな見られるといいなあ。

ひろこつんとあーりんとちょこっとお茶して帰ったのも幸せだったし、なんだかこの舞台が見られて本当によかったし、神様、演出家の白井さんと安田顕さんとか渡辺豪太さん(動きだけで、顔はそのままですぐ黒人だってわかるの。凄かったし、ブロードウェイよ見たか!黒人じゃなくても黒人の人の気持ち伝わったよっておもった!!)と、あとこのカンパニーの人とスタッフの皆様をありがとうって思いましたん。あと何度もいうけど川久保拓司さんふっつうにかっこ良かった。抑えめの川久保さんすてき。


はああああ。劇場って本当すてきだねええええ!!



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