舞台メディスン感想②
ジョン・ケイン/ 田中圭
メアリー/ 奈緒
メアリー②/ 富山えり子
ドラマー/ 荒井康太
演出/ 白井晃
(敬称略)
⚠5月の初旬、3日間観たきりなので、台詞は記憶違い、妄想あると思われます。
⚠ネタバレ⚠
演劇セラピー
『Case : John Kane 』
人生の物語が始まる。
ステージ上手、メアリー②の指示したバミリの上に置かれたマイクの前に立ち、ジョン・ケインが語り始める。
僕の名前はジョン・ケイン。2月7日ラスティーニ村のセントマイケル病院で生まれた。両親は20代前半の若い夫婦。父は田舎町の労働者。母は主婦で今は母…。母さんは難産で僕は産まれた時息をしてなくて、何度叩いても産声をあげず青い死んだ魚みたいだったんだって。僕が冗談が分かる歳になると母さんは僕に繰り返し言った。
母「言ったかしら?ジョ~ン。青い泣かない赤ん坊は、死んだ魚みたいだった…死んだ魚みたいだった…死んだ魚みたいだった…」
ジョン「うん。もお100回聞いた…」
難産でなかなか産声をあげなかったジョン。
(医者ではないので違うかもですが…)
生まれた時に赤ちゃんが真っ青な色をしている、呼吸ができない、力強く泣けない、手足が動かせないような状態のことを新生児仮死というそうです。
そして高い確率で脳にダメージを受けてしまうと。(適応障害などの後遺症)
今より医療技術が遅れていた(であろう)ジョンの出生時。ジョンは産まれた時から人より生きづらい運命を背負って産まれてきたのかもしれませんね…
スポットライトに照らされて椅子の上に寝かされた赤ん坊の人形。
自らの手で繰り返し死んだ魚を表現する母親…
育て難いジョンに対するちょっとした(←ジョンの母親にとっては)イジワルな気持ちからのブラックジョークだったのでしょうか…?
見ていてゾッとする場面でした。
スポットライトがメアリーズを照らす
メアリー②は母親、メアリーは父親の衣装を着てジョンの両親を演じている。(劇中劇)
富山さんの母親の衣装がロシアのマトリョーシカみたいで可愛い♡
2人の歩く姿(マネ)がキュート!
奈緒ちゃんの大ガニ股歩き、好き(笑)
春になり病院に置いていかれたジョンを両親が迎えに来る。
そしてついに僕は母さんの胸に抱かれた。
母さんの肌からはバラと煙草の匂い
バラ(香水?)と煙草の匂い
母親の匂いのイメージとは遠いですね…
それを見ている看護師達が僕の破滅の未来を見たかのように口々に嘆いてる…
「ジョン…」「ああジョン…」「可哀想なジョン…」「さようならジョン…」「ジョン・ケイン…なんて頼もしい名前」
冬から春になるまで一生懸命助けた小さな命。
人より生きづらい上にあの両親では…
職業柄ジョンのこれからの運命が手に取るようにわかり嘆いていたのでしょうか…
そしてジョンは両親と共に家に帰ります。
ジョン「家についた僕には抱っこもおっぱいもない。僕は牛乳を飲まされて育った。父さんは牛の乳って呼んでた。僕はみるみる太った。」
不条理劇は夢のような構造で何でもアリな世界なのでアレですが、これはジョンの思い込みなのかな…?
(嫌いな牛乳をいつも飲まされたという記憶が作り出した?/被害妄想よりの傾向)
調べてみたら実際は母乳の方が糖分が多く、牛乳はタンパク質やミネラルが多すぎて赤ちゃんに与えると腎臓に負担がかかったり、貧血になったりするそうです。
ジョン「僕はあっという間に沈黙になれた」
メアリー②がジョンのところにやって来て、ここから5ページ飛ばしましょと提案する。
(3時から子供パーティがあるため、まきたい)
うまくメアリー②に丸め込まれ渋々了承するジョン。
早く進めようと勝手に次の台詞を言おうとするメアリー②
ジョンは慌ててマイクを奪い返し続きを語り始めます。
僕は1歳。季節は冬。キッチンの洗い場にお湯を溜めて母さんが僕をお風呂に入れる。湯気で曇った窓ガラスに指で線を描く。
「ジョン!じっとして!体をよじらないで!それ止めて!」
僕は面白がってもっと線を書く。
「それ止めてって言ってるでしょ!」
母さんが怒って僕をお湯にジャボンとつける。キッチンのシンクは冷たくてすぐ冷めるからお湯の温度はちょっと熱め。僕の足がヒリヒリして感覚がなくなってくる。僕はショックで涙も出ない。熱いお湯と感覚のない足。背中には、母さんの手。
母さんが僕をキッチンのシンクに残したままバタンと部屋を出て行く。
僕はお皿や鍋を洗うピンクの石鹸をぐにゃぐにゃにして遊ぶ。だんだんお湯が冷めてくる。僕は1時間以上その濁って油の浮いたよごれた液体の中にいた。母さんが出ていったキッチンの扉を見てみる。そして母さんの部屋を想像する。母さんはベッドに腰掛け煙草を吸っている。反対の手は額を覆い失望している。
当時の外の庭の様子は僕には記憶がない。でもきっと野原と木々に囲まれてシーンと静まりかえり、丘の上にはきっと雪。
分かっていたんだ!ここから落ちたらどうなるかなんて!床の上が真っ赤な血で染まるだろう…でも父さんと母さんの温もりをもう一度感じたくて。
「僕は落ちた!」
メアリーがバケツを倒し、赤ん坊の人形が床に投げ出される
父「この子はどうしたんだ?マーガレット!うわっ頭に血がついてやがる。もういっぺん洗うか?(笑)」
母「バカな子ね~」「バカな子ね~」「バカな…」
メアリーがパンと手を叩いて照明がつく。
ここで一旦(長い)休憩タイム。
ドラマーが部屋から出ていく。
とても詩的で美しく、覚え難い台詞(笑)
ニュアンスです。
このリアルな赤ちゃんの人形が絶妙で。
指で線を書く時はメアリー②が人形の腕をもって空に線を書くフリをするのですがちゃんと指が☝こうなってるように見える。(そういう作りになってるのかな?)
前方の席から観ている時は「止めて!」って言われても分からず笑って線を書いているように見え(見上げてるから?)、後方の座席から観ている時は置き去りにされ伏し目がちで悲しそうにも見え…
1歳の時の記憶がこんなに鮮明にあるとも思えないのでこれも大きくなってから母親から冗談交じりに聞かされたことで、今では自分の記憶の一部のようになっているのかな…
そして母親も閉鎖された田舎の村で、育て難いジョンのことを相談する相手もなくそれなりに苦しんでいたのかもしれませんね。
追記》
野原と木々に囲まれてシーンと静まりかえり、丘の上にはきっと雪。
悲惨な状況の場面であるはずなのに大好きな圭くんの声と叙情的な言葉の響きで心は恍惚となり、頭の中にしんしんと振る雪景色を見せる。
そして目線、手の動きもとても美しい。
(わあ…となるが故にここの台詞がイマイチ曖昧で申し訳ない。でもそんなには違わないはずw)
長くなるので今回はここまでにします。
読んでいただいてありがとうございます。
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