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添削エッセイ

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文化・社会特殊講義という大学の講義では、毎回エッセイを提出し、教授に添削してもらいます。 先生からのアドバイスを元に、書き直したエッセイをまとめました。
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#大学

夢と現実の狭間で

夢と現実の狭間で

「音楽に対する熱量が保てないなら、バンドは続けへん」

ライライこと村上来汰には、4歳の頃から変わらぬ夢がある。
それは、ロックンローラーになることだ。

彼とロックの出会いは、4歳のことだった。

ロック好きな父親の影響で、毎日のようにロックバンドを聴き、テレビに映るライブの様子をいつも真似していた。

家族と一緒に、何度もロックバンドのライブへ足を運び、中学生になると、2人の兄と共にバンドを結

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排外思想

排外思想

「韓国なんて最低よ!あの国はダメ。みんな頭がおかしいの!」
普段、虫も殺さないような心優しい祖母は、韓国の話題になった途端に豹変する。

テレビのニュースで国際問題を取り扱った時、
何気なく韓国ドラマの話をした時、
祖母の地雷を踏んだ途端、韓国大批判大会が始まってしまうのだ。

幼い頃は、適当に聞き流していたが、大学生になってからは、祖母の嫌韓に対して、とてつもない不快感を抱くようになった。

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母の空気

母の空気

「雪奈、ただいま」

雪が降り、凍るような冷たい夜空の中、母は私をぎゅっと抱きしめる。
冷たい空気、冬の寒さを感じるたびに、私は母のことを思い出す。

共働きの家庭で育った私は、幼い頃から留守番をすることが多かった。
特別支援高等学校で教師をしている母は、残業が多く、帰宅するのはいつも22時を過ぎていた。

母は帰宅すると、一目散に私を抱きしめる。
外の冷たい空気が、部屋のぬくぬくとした空気と溶け

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もし

もし

大きな檻の中いっぱいに詰められたビキニ姿の女の子達。
私と同じ歳くらいか、もう少し若い子もいる。

激しいビートの洋楽が鳴り響く中、そんな彼女を舐め回すように見て、品定めをする観光客。
女の子の着る水着には、番号札が付けられており、男性客は気に入った番号をスタッフに伝える。

番号を呼ばれれば、知らない人と一夜を共にすることになるし、呼ばれなければポツンと檻の中に取り残されてしまう。

ここは、タ

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道

「今日はこっちから帰ろうよ」

幼馴染のリンは、生粋の冒険家だった。
変化を嫌う私と、積極的になんでも挑戦するリン。
はたから見ると、正反対の2人に見えただろう。

近所に住んでおり、部活も習い事も一緒だった私達は、毎日一緒に登下校をしていた。
いつも新しい道を開拓し、突き進むリンは、私にはない所ばかりで、憧れの存在だった。

リンの選ぶ道は、どんな道でも輝いて見えたし、
少し険しい道でも、リンと

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