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アダルトビデオ・スタディーズ

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AVについての、論文未満の思いつき
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#AV

見る主体としてのAV女優?[2021/3/13]

見る主体としてのAV女優?[2021/3/13]

・持病の「書くのが怖い病」が最近酷くて、今週のポモドーロ数(ポモドーロ・テクニックというライフハックにおける作業時間の単位)が短めだったので、昨晩「明日10:00からポモりましょう」とポモ仲間に呼びかけた。結局寝坊して10:30にスタートしたし、誰も集まらなかったんだけど、それでも研究が捗った。

・1人でも、宣言すれば多少、強制力が働くのだろうか。とはいえ、Twitterで「明日10:00から研

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バーチャルYouTuber・DWU公認AV『DeepWebUnderground 西田カリナ』感想、レビュー、覚え書き

バーチャルYouTuber・DWU公認AV『DeepWebUnderground 西田カリナ』感想、レビュー、覚え書き

※2019年10月10日にキズナアイAVとの比較を加筆。

・DeepWebUnderground(DWU)というバーチャルYouTuberのアダルトビデオが発売された。しかも非公認のパロディではなく、本人の公認で。

『Deep Web Underground 西田カリナ』

・なお、以下では分析しないがVR版もある。

『【VR】長尺VR Deep Web Underground「深層VRから

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女性向けAVと男性向けAVの違いを、AV研究者・Python初心者がテキストマイニングで分析する

女性向けAVと男性向けAVの違いを、AV研究者・Python初心者がテキストマイニングで分析する


まえがき私の所属ゼミで、今学期はPythonを使ったテキストマイニングの実習が行われています。

『Pythonによるテキストマイニング入門』に書かれている内容を実践していく……という内容で、私が報告を担当することになったのは、5.3節「語の重要性とTF-IDF分析」と5.4節「KWICによる検索」。
しかし、教科書に書いてあるとおりに、「問い」もなく青空文庫の小説を分析しても、正直言ってあまり

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時間停止ものAVとバーチャルYouTuber百合のリアリティ――郡道美玲の配信を手がかりに

時間停止ものAVとバーチャルYouTuber百合のリアリティ――郡道美玲の配信を手がかりに


要約本記事はまず、バーチャルライバーグループ「にじさんじ」に所属している郡道美玲というバーチャルYouTuberの配信で行われたやりとりを元に、時間停止ものAVとVTuberの百合営業をめぐる「リアリティ」について整理を行う。次いで、VTuberの百合のリアリティというこのテーマを考えるに際し、まさしく郡道美玲こそが重要な事例であることを論じる。

事の顛末バーチャルライバーグループ「にじさんじ

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難しいAV――「森川式美少年レズNTR」という性的嗜好

難しいAV――「森川式美少年レズNTR」という性的嗜好

難しいAVを見つけた。

『【VR】アナタの彼氏がイケメンに寝取られるファンタジーNTR!美少年レズ』という、あおいれなとあべみかこの作品である。

つまり、

①VRで女の子になる体験がしたくて
(パッケージは視聴者に「貴男」と語りかける)

②女の子として彼氏が欲しくて
(女性への変身願望を叶えてくれるAVは意外と少なくないが、「女性」とのセックスになることが多いと思う。)

③ネトラレたくて

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「乳首取れちゃいそうだね♡」の話

「乳首取れちゃいそうだね♡」の話

安田理央『痴女の誕生』(2016)にあるとおり、「少し前までは、男性の乳首を舐める行為は痴女の記号だったのが、現在のAVでは、どんな女優でも乳首を舐めるシーンがある」(pp. 201-2)。
そして、乳首責めが多くなるに従い、その際の言葉責めも、ボキャブラリーが増してゆく一方である。

「いっぱい声出して…女の子みたいだね♡」は序の口。
「乳首フェラできちゃうね♡」もあれば、「クリトリスみたいだね

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VR AVでキスすると女優が青鬼みたいに見える現象

VR AVでキスすると女優が青鬼みたいに見える現象

目次
1. VR AVでキスすると女優が青鬼みたいに見える
2. フェイク・ドキュメンタリーの編集技術
3. 結論――「青鬼」の有用性
余談1. 映画『湖中の女』のキスシーン
余談2. ホラーとAVの共通点と相違点

1. VR AVでキスすると女優が青鬼みたいに見えるVR AVの販売が開始したころ、僕は割と冷淡な反応をしていたのだが、今やそれを恥じている。

いつだったか、スマホを取り付けるタイ

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AV的キュビズム、そして不信の停止

AV的キュビズム、そして不信の停止

※2016年2月4日のブログ記事を移転しました

前の記事では、男性向けAVの特徴として「男性主観」を挙げ、かつその主観映像が視聴者に対して一般的な映画と異なる影響を与えているということを指摘した。

ここで「主観映像」とかなり重なりつつも微妙に異なる、「交差する視線」 という概念を提出しておきたい。卒論では、AV女優の視線が視聴者に(AV男優に、ではない!)向けられているように撮る技法、もしくは

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男性向けAVにおける視聴者の同一化――『湖中の女』を補助線に

男性向けAVにおける視聴者の同一化――『湖中の女』を補助線に

※2016年2月2日のブログ記事を移転しました

「主観」に関しては、映画理論や漫画理論に相当な蓄積があるので卒論のために少々参照した。
しかし、調べてゆくうちに私が思ったのは、映画理論をAVに対しそのまま当てはめることは、時に不可能なのではないかということだ。

映画理論家のジャン・ミトリによれば(※1)、「主観的映像」(AVでいうところの「男性/女性主観」)だけでは、視聴者は登場人物に同一化し

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フェルメール、AVの悲哀

フェルメール、AVの悲哀

※2015年9月6日のブログ記事を移転しました

テレビで見た情報だし、数年前の記憶だから本当かどうか定かでないが、瞳に白い星を描きいれると美しく見えるということに初めて気づいたのが、画家のフェルメールらしい。
たしかに、代表作『真珠の耳飾りの女』では、瞳に小さく白い点が打たれている。
耳飾り、唇、そして両眼。真っ暗な背景のに浮かびあがるこの4点の輝きが、我々の目を射抜いて離さない。

最近では、

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藤木TDC『アダルトビデオ革命史』を読んで

藤木TDC『アダルトビデオ革命史』を読んで

※2015年4月4日のブログ記事を移転しました

藤木TDC『アダルトビデオ革命史』(2009,幻冬舎)を読んだ。
機械音痴で録画すらまともにしたことがない僕が不得意な、ハード面の歴史、つまりAVにおける「産業革命」の記述が充実していて嬉しい。

僕の卒論的に興味深く読んだのは、第二章「AVの誕生」と第五章「AVの新しい波」。
第五章は、卒論で重要になるキーワード「ハメ撮り」の、誕生について書か

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