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(長?短編小説) きゅうりの雄花
「黄色い花が咲いたら観察してみて下さい。雌花の下には、きゅうりの赤ちゃんがくっ付いていますから、すぐに分かりますよ」
園芸教室の先生は、質問に答えて、雄花と雌花の見分け方について説明した。雪子も質問してみた。
「先生。赤ちゃんが出来てるってことは、すでに受粉した後ってことですよね?」
「いい質問ですね。その答えは、Yesでもあり、Noでもあるんです」
生徒達は怪訝な表情をして、次の言葉
(短編小説)まっすぐなねじ花(2)
梅雨に入った。台風も次々やってくる。高い湿度は文字通り頭痛のタネになる。京子は重い頭と体を引きずるように、図書館通勤を続けていた。起き上がれるうちは、まだ大丈夫と他人のような自分の体に言い聞かせるのだ。
そんなある日、兄から長いメールが届いた。
(貴方の亡夫は前妻との離婚に際し、二人の子供が高校を卒業するまで養育費を払い続けることを確約したのにも拘わらず、途中で投げ出しました。再婚して子供を