安&堵

畑の草取りをしていたら、鳥の巣発見。上手に作ってると感心。空の巣にショートストリーの卵を産みます。 無事育つといいな(^^♪ ☆短編小説&ショーショートを書こう☆

安&堵

畑の草取りをしていたら、鳥の巣発見。上手に作ってると感心。空の巣にショートストリーの卵を産みます。 無事育つといいな(^^♪ ☆短編小説&ショーショートを書こう☆

最近の記事

短編ショート「井の中の蛙 大海を知らず」

 「井の中の蛙 大海を知らず、と言ってだな・・」  井戸の底で蛙が説教を垂れている。  「つまり、見識が狭いのも知らないで偉そうにしてるってことですよね」  「偉そうかどうかはともかく、まあそんなところだ」    蛙は井戸の壁に張り付いて脱出を試みたがあと少しのところで体力がつき、井戸の中へ再度落ち、大けががやっと癒えたところだった。  そんな時に、田んぼで兄弟たちと一緒に捕まってしまい、バケツから渾身の力をふり絞って跳ねて落ちてきたのがおたまじゃくしだった。  おたまじゃく

    • 毎週ショートショートnote【不眠症浮袋】

       養殖マグロの体内に浮袋が見つかった。魚が眠る時、自分の重みで深海に沈んで行かないよう、体内の浮袋にガスを充てんして自分の位置を保つのが一般的だ。しかし、自然界のマグロは眠らない。高速で泳ぎ続ける宿命を負っている。だから、マグロは浮き袋を持っていない。ところが、人間に養殖されるうちに進化して、いや退化して?浮袋を持つに至ったのだ。  「餌はくれるし酸素は機械で補給してくれるし、そりゃ眠くもなるわな」  「なるほど~それで浮袋が必要になったんだ。でも養殖してる海ってそんなに深

      • 毎週ショートショートnote【無人島生活福袋】

         「俺さ、空気吸っても体重増えるんだよ」「んなアホな」  「でもさ、酒とつまみしか口に入れてないのに増えてるってことは、あとは空気しかないじゃん?」「風船みたいなやつだな。今度会ったときに針で刺してみるよ。空気が抜けて体重減るかもな」「わかった」  「わかったんか~い!」「ほなおやすみ」「ほいおやすみ」 ツー。  『酒つまみをやめて痩せよう無人島生活最低10日間ツアー開催!』  10人の男女が集まった。皆ほとんどが空気で太ってしまう人たちだ。 「普通に食事して運動して毎日体

        • 短編ショート「終活の誤算」

           入所していた施設で叔父が息を引き取り、葬儀社に電話をかけた。  「はい、ただちに向かいます」  まだ何も言ってないのにどういうことだ。あの世への身支度が終わった頃、葬儀社の車がやって来て斎場に向かうという。  「明日は友引なので、明後日の午後一時から告別式となります。参列者はご親戚のみ15名様の家族葬となります。よろしいですね?」  すぐには頭が回らない。疑問形ながらすでに決まってることだから了承して下さいのニュアンスがあって、つい「・・はい」と答えていた。    私の叔父

          毎週ショートショートnote【缶蹴り恋愛逃走中】

           「ありがとう」「なんのなんの。なんのようこ」  アイドル南野陽子が全盛の頃だった。缶蹴りで遊んでたオレたちに、学習塾帰りのミナミちゃんが参加したいと言い出して驚いたが皆色めき立った。クラスのひそかなアイドル・ミナミちゃんだもの。  しかし脚力ではかなわない。ずっと鬼を続ける羽目におちいったミナミちゃんがかわいそうになり、オレはわざと見つかって鬼になり、あっという間に鬼から逃げる側へ戻ると、ミナミちゃんと一緒に隠れた。見つかれば、鬼を追い越して缶を蹴とばす。得も言われぬ使命感

          毎週ショートショートnote【缶蹴り恋愛逃走中】

          毎週ショートショートnote【長距離恋愛販売中】

           秋祭りの屋台に古本屋が出現した。もともと焼きそばを売っていたのか、見やすいよう少し斜めに鉄板を起こして本が並べられている。  「腰を痛めちゃってね」と店主は苦笑い。文庫本も単行本もどれも一冊100円ぽっきり。ユニークなのは、長距離恋愛本ばかり並んでいるのだ。おすすめの本の横には、店主が書いた本の紹介ポップが添えられている。 「10年目の行方」・・鉄は熱いうちに打て! yakisoba は冷めても美味い。 「逢瀬デート」・・・中間地あたりの二人。yakisobaの各店味比べ。

          毎週ショートショートnote【長距離恋愛販売中】

          毎週ショートショートnote【きんもくせい盗賊団の池】

           マサキが不意に聞いてきた。  「ユウジの初恋っていつだった? 相手は誰よ?」  二人は小学校以来の同級生だ。思春期も同級生だったから、初恋の相手も誰だかすぐわかるはず。しかし、ユウジはその先を答えてきた。  「相手? 保育園の時のみゆき先生かなぁ」  「泥ダンゴを作った汚い手で抱きついて行って、逃げられた先生か」  「そうそう。そんな話してたんだ。よく覚えてんなぁ」  「って違うだろ、初恋ってそんな感じじゃないだろ?」  「そういうお前は誰なんだよ」  「オレは中学の時のマ

          毎週ショートショートnote【きんもくせい盗賊団の池】

          短編ショート〈 満開のコスモス 〉

              秋になり日没が早まって、暗いコスモス遊歩道でひったくり事件が頻発し、防犯を考慮した市政は急いで街灯を設置した。やがて明るくライトアップされた満開のコスモスの花々に吸い寄せられるように見物客が集まってきて、屋台も並び、遊歩道は昼間以上ににぎやかになった。その光景を苦々しく思う男がいた。近所に住み、コスモスを毎年見てきた男である。  「バカなやつらだ。このにぎわいも今年限りなのに」    年が変わり春になると、街灯のランプが投石で割られる事件がおきた。ひとつ、またひとつと

          短編ショート〈 満開のコスモス 〉

          毎週ショートショートnote【沈む寺】

           檀家もなく廃寺となった境内は周りの樹木が伸び放題で視界を遮る格好の不法投棄場所となり、解体された家屋の廃材が次々持ち込まれた。古い家の廃柱に巣くっていた白アリは、嬉々として新たに持ち込まれた材木に生息範囲を広げていった。    地面を廃材に覆われ危機感を持ったウスバカゲロウは大量発生し、その幼虫のアリジゴクは白アリが侵食した横たわる柱の残骸にすり鉢状の落とし穴を作った。自らボロボロにした柱のかけらをアリジゴクが投げてくる。シロアリはすり鉢の底に落とされ捕食され始めた。  

          毎週ショートショートnote【沈む寺】

          毎週ショートショートnote【お姫様ラッコ】

           笑って~許してぇ ラッコ~ ♪  小さな~ことと ラッコ~ ♪    笑って~許して~ お願いよ~♪  ブルースの女王のラッコがメディアを集めた記者会見が始まった。  「私ラッコは、普通のお姫様になります!」  は?  え?  どゆこと?  会場にたくさんの?が漂って何とも言えない空気が流れた。  「なんやなんや。皆ぽか~んとしくさって。なんか反応はないんかい!」  「・・あ、あの、お姫様とはどういう意味でおっしゃってるんでしょうか?」  「そりゃお姫様といえば、まだ結婚

          毎週ショートショートnote【お姫様ラッコ】

          毎週ショートショートnote【この中にお殿様はいらっしゃいますか】

           政権選択選挙だ!と言いながら、過半数にも満たない候補者しか出せない党。議席増が見込める情勢のなか、他の野党と組めばなんとかなるだろうとお殿様気分で政権が奪えるのだろうか? 結果は予想を超えた与党の惨敗。  「まじで連立政権を狙うつもり? やめてよね。派手な批判パフォ―マンスをすれば拍手喝采でご飯食べれるのに、与党になったらできないじゃない」と、あさましいお姫様気分の連中は冷ややかな反応だ。  「野党連立なんて自己主張の争いばかりで、法案ひとつ通せず税金の無駄使いになるだけよ

          毎週ショートショートnote【この中にお殿様はいらっしゃいますか】

          毎週ショートショートnote【それでも地球は曲がっている】

           「地動説より、体感的にはやっぱり天動説だよな。バカボンのパパも歌ってる。 西から昇ったお日様が~東へ~沈むぅ~♪  」  「東西を間違えてるけど、 敢えてそう歌ったのかな?」  「さあ、どうだろ? バカボンパパと天才は紙一重だからなあ」  「私も助手席で右を指さしながら、そこを左に曲がってって言っちゃったことある」  「それは天才的な方向音痴だ」  「ありがと! そういえば、最近の研究によると地動説の太陽を中心にした考え方も間違ってるらしいよ」  「え?どゆこと? 」  「

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          毎週ショートショートnote【人生は洗濯の連続】

           「日本を今一度、せんたく致し申し候」  龍馬が乙女ねえさんに手紙を書き送ってから早160年。いよいよ、衆議院選挙が始まった。裏金という事実上の脱税を働いた議員たちは、政権与党の新総裁から党公認のお墨付きをはく奪され、対応に大わらわである。選挙ポスターやパンフレットを新たに刷り直さなけらばならない。裏金で得た金額以上の出費である。  「何とか当選して、また与党に復帰するのだ」「いや、この際、新党を結成して、連立を組んでやるからポストをよこせと要求すべきだ」  どいつもこいつも

          毎週ショートショートnote【人生は洗濯の連続】

          毎週ショートショートnote【激辛の鏡】

           激辛ラーメン専門店がオープンした。カウンター席だけの細長い店で、ひとりずつに仕切りがあり、目の前に鏡が貼り付けられてあった。オーナーによると「ほら、激辛だからいっぱい汗かいて食べ終わったあと大変でしょ? とくに女性には化粧直しに良いかと思ってね」ということらしい。    連日、激辛好きが集まって来てすぐに行列ができる繁盛店になった。  オーナーには別の狙いがあった。激辛好きな人たちは、ストレスを抱えている人が多いという。自己承認欲求の強い人も多い。辛み成分が快楽ホルモンを分

          毎週ショートショートnote【激辛の鏡】

          毎週ショートショートnote【夜からの手紙】

           男はラブレターを書いた。すでに妻は先に逝き、独居老人になって以来、ペンを取り誰かに手紙を書くのは初めてだった。  「あなたは、私という存在を無視して別の男に恋をして、しかもそれをぬけぬけと私に告白して嬉しそうだった。私は苦しんだ。三日三晩眠れず、ふらふらになった挙句、ついにあなたと見知らぬ男をわが両腕に抱き締めるという妄想の中、ようやく立ち直った。私は、ひとまわり大きな男になったのである。その機会を与えてくれたあなたには感謝しかない」  (はて?これはラブレターなのか?)

          毎週ショートショートnote【夜からの手紙】

          毎週ショートショートnote【バンドを組む残像】

           高校の文化祭に出たくてバンドを組んだ。エレキ2人とベースとドラム。知り合いにドラムを借りに行くも断られてしまい、ドラム担当のT君は練習用に借りた田んぼの小屋には来なかった。本番までにドラムをどう調達するか決まってないし、最悪3人編成でやるという考えを見透かされてたのだ。       文化祭前に予選会があり、ドラムがないと音が締まらないのを実感し、合格するも参加することに意義あり状態。しかし、本番前日になって T 君がどこからかドラムを調達してきて「オレも参加していい?」と言

          毎週ショートショートnote【バンドを組む残像】